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死にはしなかった。

八日の行呈を経て平園にも辿り着いた。

キリヤマ氏も、市民として迎える事を歓迎する旨を伝えてきてくれた。

本来市民は武装を許されないのだが、格別に、非常事態時に平園の防衛に協力することで許してもらえた。

平園での位置づけは自警団、ということにされた。


平園の空き家の幾つかを買い上げ、本拠の屋敷を瑞葉様が購入された。

平園では身分制度が存在し、最下層の奴隷から、商業や農民で構成される二等市民、軍務に服役する一等市民、街の運営に参加する参与市民、という具合だ。

私たちは軍務に服役する自警団、という位置づけなので、一等市民の地位を全員に与えられた。


当初税金を払ってもらう、ということだったが、軍務に服役する一等市民は納税の義務がないらしい。兵装に金がかかる上に、その準備は自前でするからだ。


軍務にあたる者たちの兵装は火器での武装が義務だったため、街の商人と交渉して、鉄砲を予備を含めて100丁と、弾薬を多数量注文した。町でもかなり大口の取引である。この地方では金貨、白銀貨、銀貨、銅貨が流通貨幣となっている。金貨には大貨、中貨、金貨半の3種類があり、一枚重さ22グラムの金貨半で、家賃ならだいたい十か月分、お米ならだいたい五石2斗、780キロ買える。金に限っては絶対量が昔に比べ非常に少ないので、価値が暴騰している。

その金貨半で、100丁の鉄砲と弾薬を購入するのに357枚必要となる計算になった。

瑞葉様の財産は金貨が全体で46キロ。白銀貨が35キロという具合なので、当面金には困らない、というような状態であった。ちなみに白銀は金の半分ほどの価値だ。


お金が足りなくなったら国主への国体への斡旋などの営業や、家財を売って金を得ているらしいという懐事情も聞いた。呪物など放出すれば、国主から莫大な金品をもらえることも想像に易かった。


わたくしたちのお給金の話をすると、向こうは色々考えてくれていたらしく、フクワラ様のもとにいたころと変わらない額の金を出してくれるらしい。


私は金剛の領主の孫娘だったのだが、祖父の年間の領地からの税収入が金貨半83枚分だったので、その分を毎年一月初旬に払っていただけるとのことだった。

いまは9月だが、今までの護衛への感謝も込めて、一年分の給金を頂いた。一月にもまた支給してくれるらしい。太い。


私からすれば、当主でもない孫娘だったのだから、超高給取りに早変わりである。

その代わり自分の兵士や従者については給金をその中から出すのが筋、ということで、兵士や従者たちには私から払うことになった。


アベやササキ、ムラキは土地持ちの小領主だったので、別途瑞葉様から支給してほしかったが、そこまではしてくれないようだった。


当面の給金、戦における報奨金、負傷者への見舞金、はすぐさま支払う必要があったから、私の給金の半分以上が飛んだ。


しかし兵装などの武装にかかる費用は、瑞葉様が負担してくれたので、それでも結構余った方だった。

残りは私の手取りだ。いい家に住もう。周りは閑散とした緑地で、綺麗で、広い家に。


護衛隊の活動はあまり使われていない市民の寄り合い所をキリヤマ氏から「自警団の本拠として」借り受けたので、そこを活動の場とした。

長山という地名を取って長山会館と呼ばれるその建物は、そのままの名前で使うことにした。

この会館に従者を常駐させながら、護衛隊の庶務をこなすという場所にすることにした。

本来の役割である瑞葉様の護衛には、瑞葉様の屋敷に常に兵士1名を常駐させ、従者も15名配置することにした。

根拠はいざとなったらその程度は必要だろうというただの目算だ。


何かあれば長山会館とすぐに連絡を取り合えるようにそれぞれに騎兵も配置してある。


そしてわたしは、全ての雑事を終えると、寝込んでいた。

熱が上がったり下がったりを繰り返して、正直死ぬほどしんどい。

家は郊外の一軒家を借りて、身の回りの世話をする従者を四名選抜して、私自身はひたすら布団の上にいた。

もうこのまま動けないんじゃないかというくらい、起きてもだるく、横になっていないと辛い。


一か月が過ぎ、二か月を過ぎても、私は快方に向かわなかった。


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