ボス人間。
トラが公園で夜風にあたっている時、人の声が近づいて来る、男の人が3人横に並んで歩いて来た、真ん中の男性は小柄で、両脇の2人は、とても大柄でガッチリした体型で目付きも鋭い。真ん中の小柄な男性が公園のベンチに腰を下ろした、大柄な2人の男達は座らない、辺りの様子を気にしてるようだ、すると大柄な1人が手に持っていたビニール袋からペットボトルを取り出して、(親分、お疲れ様です、お茶をどうぞ、)と言って、ベンチに座る小柄な男性に丁寧に両手でペットボトルを手渡した、小柄な男性はお茶を受け取りながら、(おう、ありがとう、)とお礼を言った、お礼を聞いた大柄な男性は小柄な男性に頭を下げた。トラは、その様子を見て居て感じた(この大柄な強そうな2人の男性は、ベンチに座る一見普通のおじいさんに見える小柄な男性に対して「恐れている」と同時に「敬意」を持って慎重に接して居るように感じた、トラが3人の様子をうかがって居たら、小柄なおじいさんがトラに気付き(おう、猫さん!騒がしくさせて申し訳ないね、お茶を飲んだら、すぐに他所に行くよ。)とトラに言った。おじいさんは立って居る2人に向かい語りかけた、(俺はもうすぐ、この世界を引退する・だが、辞めたからって今までの過ちが消える訳じゃ無い、汚れた手は幾ら洗ったって綺麗には・ならない、しかし・残りの人生、少しでも世間様のお役に立ちたい、罪滅ぼしではないが・・)それを聞いた大柄な2人は黙って頷く。おじいさんは立ち上がり、トラに向かって(猫さん、おじゃましたね、そうそう•思い出した!俺が子供の頃、家に猫ちゃんを飼って居てね、確か父親が、誰からか貰って来たんだ・可愛くてねぇ•家族みんなで可愛いがってたなぁ・・俺にも、そんな時代があったんだなぁ・・)と切ない表情で笑うと、来た時と同じように大柄な2人に挟まれる形で帰って行った、その、小柄なおじいさんの背中に向かって、トラは(ニャォーン!)と大きな声で鳴いたが、おじいさんが振り向く事はなかった。