ドキドキ青年。
まだ暑い夕暮れ、トラが公園のベンチに向かうと、ベンチには青年が先に座って居たの、青年は中学生位かなぁ〜、制服を着ていて、あどけない顔つき。青年はトラに気付くと、少し笑みを浮かべてベンチの中央から腰を浮かせて、端に座り直して、トラが座れる空間を作ってくれたの、トラは(ニャン!)ひと声、青年にお礼を言ってベンチにピョンと飛び乗り青年の隣に座らせて貰ったの、青年はフゥ〜っと何度もため息を付いてる、何かを一生懸命に考えてはみるが、良い答えが出てこない様子だ。すると青年はトラの方を見て話かけて来たんだ、青年(猫ちゃん、実はね、ココだけの話なんだけど、最近同じクラスの女の子の事が、とても気になるんだ、その子の事を考えると胸がドキドキするの!どうしてかな?)。トラは青年に問い掛けられ思ったことは、(それは確実に、その女の子に「恋」をしてます!)と感じたので、青年にトラは(ニャァ〜)と、お返事した。青年は続けて、その子に「ドキドキ」するようになったキッカケをトラに話始めたんだ、青年が言うには、ある暑い日の体育の授業中、炎天下で持久走のタイム測定中に青年は急に体調が悪くなり・走るのを止め、その場にしゃがみ込んでしまったらしい、すると、真っ先に青年に駆け寄り、「大丈夫?」と声を掛けて青年の背中を、優しく、さすってくれたんだと。青年はその瞬間に体調の悪さは一瞬で、どこかに吹き飛び、胸がドキドキして、この状態が1秒でも長く続いて欲しい、と思ってしまった自分が、今になると恥ずかしいやら情けないやら、複雑な気持ちらしい。その翌日も、その同級生の女の子は(体調は大丈夫?)と青年に声を掛けて気づかってくれたようなんだけど、青年は(何だか恥ずかしくて・うん・と頷くだけで、その女の子の目を見れなくて、お礼もキチンと言えなくて・・)と、今現在そんな状況のようだ。トラは青年のお話を聞いて思ったの(人は自分の気持ちや思いを言葉にして伝えないと相手には伝わらないと言う人達も居る、それも正解。でも伝えたい思いがあっても、相手を大切に想うがゆえに・うまく言葉に出来ない事もあると思うんだ。)トラはベンチに座る少年の膝の上に乗り、身体を丸めた。青年は(猫ちゃん・)と、つぶやき、トラの背中を優しく撫でながら、また同級生の女の子に想いをめぐらせた。