番外編 ふるさと納税ダンジョン・返礼の迷宮
ここは、どこにでもあるようで、どこにもない不思議なダンジョン。
その名も「ふるさと納税ダンジョン・返礼の迷宮」。
勇者でも魔王でも、冒険者でも納税者でも、誰しも一度は噂を耳にしたことがあるという。
「納税すれば返礼品がもらえる」――そんな甘い誘い文句の裏に、果たしてどんな罠が待ち受けているのか。
俺――オルカは、仲間のハイレ、ブリジット、ランスとともに、
巨大な自治体ゲートの前に立っていた。
迷宮の入口・自治体の門番
「いらっしゃいませ、納税者様! 本日はどちらの自治体にご寄附なさいますか?」
門番は満面の営業スマイルで、各地の特産品パンフレットをこれでもかと差し出してくる。
「カニ、りんご、牛肉……お好きなものをどうぞ!」
「寄附額に応じて、豪華返礼品がもらえます!」
「今なら自治体限定・幻の金の鍋も!」
「なんだこの圧……」
ハイレが目を白黒させる。
「選択を誤れば、家計が火の車になるぞ」
ランスが冷静に警告する。
「でも、やらなきゃ損だよな!」
ハイレがパンフレットを握りしめる。
寄附金控除の間 ~計算機スライムとの頭脳バトル~
迷宮の最初の部屋には、巨大な計算機スライムが待ち構えていた。
「納税者よ、控除上限を超えた寄附は負債となる。正しい金額を見極めよ!」
スライムは【控除限界ビーム】を放ち、部屋を紫色の数式で満たす。
「住民税所得割額の約2割が目安だな」
ランスが【課税ベール・ディスペル】でビームを打ち消しつつ、冷静に計算を始める。
「えーと、年収から社会保険料を引いて……」
ブリジットが【節税ノート・クイックライティング】で計算式を書き込む。
「とりあえず全部寄附しときゃ得だろ!」
ハイレが豪快に【寄附オーバードライブ】を発動!
スライムが【無謀寄附カウンター】でハイレに【ふるさと納税破産の呪い】を放つ。
「やべえ!」
ハイレが【家計防御バリア】でギリギリ防御。
俺は【上限ギリギリ・ピンポイント申告】を発動し、
控除上限ギリギリの寄附額を申告。
スライムは満足そうに【道開きスライムゲート】を展開し、次の部屋への扉が開いた。
返礼品の誘惑 ~特産品モンスターの罠~
次の部屋は、全国各地の特産品が山積みされた返礼品ホール。
カニ、米、メロン、ブランド牛、鍋セット、家電、果ては自治体限定の謎グッズまで。
「うおお、どれもこれも欲しい!」
ハイレが【返礼品ハンターアイ】で目を輝かせる。
「でも返礼品は寄附額の3割以内って決まってるのよ」
ブリジットが【ルールブレイカー・リーディング】でパンフレットを指さす。
「高級品に惑わされて寄附しすぎると、家計が火の車になるぞ」
ランスが【冷静分析・バジェットカット】で警告。
「俺は……地元の米を選ぶ!」
「私は鍋セット!」
「俺はカニだ!」
それぞれ【返礼品セレクトスキル】を発動し、
ホールの奥の扉が音を立てて開いた。
~ハンコゴーレムとの書類バトル~
「ここは申請の間だ」
部屋の中央には、書類の山と巨大なハンコゴーレムが待ち受けている。
「ワンストップ特例申請書を期限内に提出するか、来年確定申告をしないと控除を受けられぬ!」
ゴーレムが【書類嵐パンチ】を繰り出し、
無数の申請書が空中を舞う。
「5自治体までなら申請書を送るだけでOK。でも忘れると控除されない!」
ブリジットが【スピード記入・ペンシルラッシュ】で書類を記入。
ハイレが【ハンコスタンプ・ラピッド】で押印!
ゴーレムが【期限切れストンプ】で床を揺らす。
ランスが【タイムリミット・セーフガード】で時間を稼ぎ、
俺が【申請書一括提出・フィニッシュ】で書類をまとめてゴーレムに提出!
「これで税金もバッチリ控除だな!」
ハイレがガッツポーズ。
返礼品モンスターとの大乱闘
突如、部屋の奥から巨大な米俵ゴーレム、カニクラブ、鍋アーマーが出現!
「返礼品を手に入れたければ、我らを倒してみよ!」
「来たな、ご当地モンスター!」
俺は剣を抜き、仲間たちも戦闘態勢に入る。
米俵ゴーレム
【コメラッシュ・ローリングアタック】で転がりながら突進!
ハイレが【パン屋のバイト仕込みのフットワーク】で翻弄し、
【グルテンブレード・スラッシュ】で米俵の結界を切り裂く!
カニクラブ
【ハサミクラッシュ・ツインブレード】で連続攻撃!
ランスが【カニ弱点スキャン】で関節部を見抜き、
【家計簿カッター・ピンポイント】で急所を斬る!
鍋アーマー
【熱々スチームバースト】で蒸気を噴射!
ブリジットが【ブログ知識・レシピ魔法】で鍋の中身を分析、
【シチュー・エクスプロージョン】で内部からダメージ!
俺
【パーティーシナジー・コーディネート】で全員の攻撃力を強化し、
【納税者の一閃】でモンスターたちを一気に薙ぎ払う!
モンスターたちは【返礼品ラストギフト】を発動し、
豪華な米、カニ、鍋、牛肉をドロップして消滅。
最終層 ふるさとの想い
迷宮の最奥、静かな光に包まれた部屋で、
「ふるさとへの寄附は、返礼品だけじゃなく地域の未来を支える力になる」
という声が響く。
「寄附金の使い道も自分で選べるんだな」
「災害復興や子育て支援、伝統産業の応援もできるなんて……」
「ただの節税やお得だけじゃない、想いを込めて寄附できるんだ」
俺たちはしみじみと実感する。
ダンジョン脱出――返礼品パーティー
迷宮から脱出した俺たちは、手に入れた返礼品で盛大なパーティーを開いた。
ハイレは【焼き立て牛肉グリル】を振る舞い、
ブリジットは【鍋セット・シチューオーバードライブ】で絶品シチュー、
ランスは【カニクラブ・サンダーカット】でカニを豪快にさばく。
「ふるさと納税、最高だな!」
「これが本当の返礼の宴よ!」
「でも、寄附のしすぎで上限突破には気をつけろよ~」
笑いとご馳走に包まれ、心もお腹も大満足。
エピローグ
ふるさと納税ダンジョンは、資産運用と節税、そしてふるさとへの想いを学ぶ特別な迷宮だった。
俺たち勇者パーティーは、これからも堅実な資産形成と、地域や人を思いやる心を大切に――
今日もどこかで、返礼品の誘惑と戦いながら歩き続けるのだった。