表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/46

第5話 盗まれた資産!暗躍する影のフィッシャー

 サクシュの町で「時を奪う者」との死闘を終えた俺たち勇者パーティーは、

 ようやく自由な時間と健全な働き方を取り戻し、資産運用と副業の両立にも慣れてきていた。

 ハイレとランスは町のパン屋でコツコツ働き、ブリジットは節約術や家計管理ノウハウをブログに綴り、アフィリエイト収入を僅かだが得ている。

 俺も投資と日々の管理を怠らず、パーティーの資産はゆっくりだが確実に増えていた。


――


 そんなある朝、町の広場がざわついていた。

 「ちょっと!私の銀行口座、昨日から残高が減ってるの!」

 「俺の投資口座も、見覚えのない引き落としが……」

 「パン屋の売上金も、なぜか足りないんだ!」

 住民たちが口々に訴え、町役場には苦情が殺到していた。

 「これは……普通じゃないな」

 ランスが眉をひそめる。

 ハイレがパン屋の主人に話を聞きに行くと、

 「昨日の夜、パン屋の売上管理アプリに[認証が必要]ってメールが来て、言われるままにパスワードを入力したら……」

 「それ、まさか……」

 ブリジットが青ざめる。

 「これはフィッシャーの仕業だ」

 ランスが険しい顔で言う。

 「最近、この界隈で資産を狙う闇組織[影のフィッシャー]が暗躍しているという噂がある。

 やつらはネットや魔法の通信を使い、巧妙に情報を抜き取って資産を盗むんだ」


 「フィッシャー……釣り人って意味だよな?魚じゃなくて、みんなの資産を釣るってか!」

 ハイレが悔しそうに拳を握る。

 「しかも、フィッシャーは見えない負債も残していく。

 不正送金の借金、情報流出による信用低下……資産だけじゃなく、未来のリスクまで背負わされるの」

 ブリジットの声も震えている。

 

俺たちはすぐに対策会議を開いた。

 「まずは被害状況を整理しよう。どの口座から、どのタイミングで、どんな手口で抜かれたか」

 ランスが住民たちの資産履歴を分析し始める。


 「パン屋のバイト代も、数百ベルずつ消えてる……」

 「ブログの広告収益も、なぜか“未払い”になってる……」

 「投資口座も、謎の引き落としが……」

 住民たちが次々と被害を訴える。


 「これは魔法のフィッシングメールだな」

 ランスが一通の怪しいメールを見せる。

 口座認証のため、こちらのリンクをクリックしてください――

 「このリンクを踏むと、偽の銀行サイトに誘導され、IDやパスワードを盗まれる仕組みだ」

 「やられた……昨日届いたメールにうっかり……」

 パン屋の主人が頭を抱える。


 「でも、まだ間に合う!被害を最小限に抑えるには、すぐにパスワードを変更しよう!2段階認証も設定だ!」

 ランスの指示で、住民たちは慌てて各種手続きを進めた。

 しかし、影のフィッシャーは一筋縄ではいかなかった。


 夜になると、町の広場に不気味な影が現れる。

 「資産を返してほしければ、我らの試練をクリアしてみせろ」

 黒いフードを被ったフィッシャーたちが、住民たちを挑発する。

 

「これは放っておけないな」

 俺は剣を握りしめ、仲間たちと共に立ち上がる。


 最初の試練は、「偽サイト迷宮」。

 無数の扉が並ぶ部屋で、本物の銀行サイトにたどり着かないと、資産がさらに減っていく。


 「こっちのサイト、ロゴが微妙に違う……!」

 「URLが“https”じゃなくて“http”になってる!」

 「問い合わせ先がやたらとフリーダイヤル……怪しい!」

 ランスの冷静な分析とブリジットの観察眼、ハイレの直感も合わさり、

 俺たちは次々と偽サイトを見破って進んでいく。


 二つ目の試練は、「情報流出の罠」。

 魔法の水晶球が並び、「SNSで自分の資産自慢をした者は、負債を背負う」と書かれている。

 「ここは慎重に、個人情報は絶対に出さない!」

 「SNSの投稿も、公開範囲を限定しよう!」

 「うっかりパン屋のバイトで月収◯◯ベル!なんて呟いたら、また狙われるぞ!」


 全員で声を掛け合い、誘惑を断ち切る。

 そして、最終試練。

 広場に現れた影のフィッシャーのボスは、

 巨大な釣り竿と闇のネットワークを操る魔物だった。


 「お前たちの資産も、未来も、ぜんぶ釣り上げてやるよ……!」

 「させるか!」

 俺は剣を構え、バトルが始まる。

 フィッシャーの放つ「フィッシングフック」は、当たると資産が一気に引き抜かれる呪い。

 「オルカ、右から回り込んで!」

 「ハイレ、パン屋仕込みの素早い動きで囮になって!」

 「ブリジットはブログ仕込みの情報防御魔法を!」

 仲間たちの連携で、俺はフィッシャーの本体に迫る。

 「これが、俺たちの情報リテラシーだ!」

 剣を振り抜き、闇のネットワークを断ち切る。

 フィッシャーは断末魔の叫びとともに消滅し、

 盗まれた資産と、見えない負債の一部が町の住民たちに戻ってきた。


 「やった……!」

 住民たちは互いに顔を見合わせ、安堵の息をつく。

 「でも、資産管理と情報防御は、これからも油断できないわ」

 ブリジットが真剣な顔で言う。


 「副業も投資も、リスク管理が大事だな」

 ハイレが頷く。


 「これからは、二段階認証と定期的なパスワード変更も徹底しよう」

 ランスが決意を新たにする。


 こうして俺たち勇者パーティーは、

 影のフィッシャーとの戦いを通じて、

 資産と負債、そして情報の大切さを改めて町の人々と共有したのだった。

 魔王ジミン討伐への道は、まだまだ続く――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ