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第30話 資産武道会 二回戦3 ブリジットvs赤スパ魔神

──リング中央、光の粒子が舞い踊る。

私はブリジット、勇者パーティの資産形成メンバーとして、今この瞬間、全ての視線を集めている。

マルサ(実況)

「お待たせしました!続いての試合は、可憐さと堅実さの化身、勇者パーティが誇る節約のエース!ブリジット、登場です!」

観客席が一瞬沈黙し、次の瞬間、爆発するような歓声。

私は静かに微笑み、魔法陣の光をまとってリングに歩み出す。


「応援、ありがとう。今回も、堅実に、コツコツと──ぶちのめします」

その言葉に、ブリジットコールが巻き起こる。

けれど、歓声を切り裂くような不気味な音が場内に響いた。


ギィィィ……

リングの反対側、ねばついた足取りで現れたのは──

赤スパ魔神。

マントの裾から大量の領収書がひらめき、頭には赤いティアラ。

満面の笑み、スマホを掲げ、すでに両手が震えている。

マルサ

「さあ対するは……資産を燃やし!投げ銭に命を懸ける!赤スパの狂戦士ッ!その名も──赤スパ魔神!!」

観客席がざわつく。

「やばいぞ…」「あいつ、投げ銭の鬼だ…!」

私はリング中央で構えた。

(この男、ただの変人じゃない。何か、底知れない狂気がある…)


「試合開始!!」


赤スパ魔神

「ブリジットちゃあああん!!!君の勇姿に……赤スパじゃぁあああああああ!!!」

バシュウッ!

真っ赤な高額スパチャ光線が一直線に私を撃ち抜く。

通知音が耳をつんざき、資産残高が急増する。

「──な、なにこの通知音ラッシュ!?資産が……増えてる?え、ちょっと待って、なんか……気持ち悪い!!」

マルサ

「来たぞォォ!!これが赤スパ魔神の逆攻撃ッ!!資産を増やすことで対戦相手の精神を揺さぶる恐怖の戦法!」

だが、赤スパの攻撃はそれだけじゃなかった。

赤スパ魔神

「いっけぇぇ!赤スパ・エクスプロージョン!!」

スマホから赤い魔力弾が物理化し、

リング上に炸裂する。

爆風が私のローブをはためかせ、足元の床石が砕ける。

「うっ……物理的にも来るの!?」

赤スパ魔神

「まだまだァァァ!赤スパ・ギフトハンマー!!」

巨大な赤いハンマーが空から降り注ぎ、

私は咄嗟に節約シールドを展開。

だが、衝撃で体が後退する。

(やばい……この攻撃、ただの精神攻撃じゃない。資産という名の魔力で、現実をも歪めてくる…!)

赤スパ魔神

「もっとだァァァァァ!!赤スパ・カーニバル!!」

リング上に無数の赤いコインが降り注ぎ、

その一枚一枚が小さな爆発を起こす。

私は家計見直しカウンターで一部を無効化しつつも、

爆風で体がしびれる。

「くぅっ……気持ち悪い!けど、私が下がったら……コツコツ勢の名が廃る!」

私は歯を食いしばり、前に出る。

(大丈夫、私は負けない。コツコツの力は、どんな狂気にも負けない)


赤スパ魔神

「まだだよぉおお!?君への初スパ記念に、さらに赤スパ!40万、いくよおおおおお!!!」

バシュゥウウウウウ!!!

赤スパ魔神の最大奥義、資産型メンタルクラッシュが炸裂。

真紅の光線が私の心を貫く。

資産残高は増えているのに、全身がだるく、手足が震える。

これは……感謝ではない。狂気だ。

(頭がぼうっとする……資産が増えてるのに、なぜか怖い……!)


赤スパ魔神

「好きだァァァァァ!!節約型美少女ォォォォ!!!!応援に金を惜しまないッ!!!俺の人生の全部だァァァァァァァァ!!」

(こいつ……資産の減少を恐れていない……まさか、赤スパするためだけに……生きてる!?)


マルサ

「おいおい!これはもう戦いというより愛の押し売り!!いや、資金で殴ってるねッ!!」

私は、もう限界……って思ったけど、

まだ、いける……!コツコツこそが私の戦い方ッ!

「この人がやってるのは、高コストメンタル破壊戦術。資産が有限である以上、続かない!」

私は積立インデックス・アローを放つ。

コツコツ積み上げた資産の一撃。

赤スパ魔神の周囲を矢が囲み、

「コツコツの力、見せてあげる!」


赤スパ魔神

「そんなもの、赤スパ・リフレクト!!」

赤い盾が矢を弾くが、

一部の矢が魔神の肩をかすめる。

「くっ……でも、効いてる!」

赤スパ魔神

「赤スパ・スプラッシュ!!」

リング全体に赤い液体が降り注ぎ、

床が滑りやすくなり、足元をすくわれる。

私は家計簿バリアで足元を固め、

「こんなトリッキーな攻撃、家計管理で無効化よ!」

さらに私はサブスク断ちの矢を連射。

赤スパ魔神のスマホに次々と「定期課金解約」の通知が飛び、

「うわああ!俺のサブスクがぁぁぁ!」

赤スパ魔神

「まだまだ!赤スパ・ギフトストーム!!」

無数の赤いギフト箱が空中から降り注ぎ、

一つ一つが小爆発。


私は予算斬りの短剣でギフト箱を斬り払い、

「無駄な贈り物は、ここで断つ!」

赤スパ魔神

「うおおお!でも俺は止まらない!赤スパ・アンリミテッド!!」

スマホから無限に赤スパ光線が放たれ、

私は積立貯蓄バリアで防御。

だが、バリアがひび割れ始める。

(このままじゃ、押し負ける……!)

「……さようなら、狂気の人。あなたの赤スパ、確かに届いた。

でも私は、コツコツの力で──乗り越える!」


私は資産安定化・フィナーレを発動。

全ての資産を一点に集め、

「これが、コツコツの集大成よ!!」

魔法陣が輝き、

感謝と引導の光が赤スパ魔神を包み込む。


──ドンッ!

赤スパ魔神はスマホを掲げたまま、静かにリングに崩れ落ちた。

マルサ

「勝者、ブリジットぉぉぉぉぉぉ!!!赤スパの猛攻に耐え切り、メンタルも資産も守り抜いたぁあああ!!!」

観客

「ブリジットおおおお!!!」「メンタル強すぎィィィ!!」「お前は俺の精神の守護神!!」

私はそっとため息をつき、手を振る。

その笑顔の奥には、ほんの少しの恐怖と、しかしそれを上回る「乗り越えた者」の誇りがあった。

──こうして、私は、狂気の赤スパと物理技のラッシュに耐え、

コツコツの力で勝利を掴んだのだった。

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