表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/46

番外編 母なる魔導士、クラスチェンジ 愛と成長の記録

育児魔導士ブリジットの冒険譚

~ダンジョン・オブ・チャイルドケア~


プロローグ:伝説の魔導士、母となる


かつて私は、魔導士ブリジットとして名を馳せた。

ドラゴンの吐息を封じ、ガーゴイルの呪詛を打ち破り、幾多の魔法バトルを生き抜いた歴戦の冒険者。

だが今、私の肩書は変わった。


現・育児魔導士。

私が挑むのは、かつてない難関ダンジョン──

その名も「育児」。

「……この世で一番強いモンスター、それは赤ん坊じゃない?」

私は密かにそう呟いた。

だが、これはただの冗談ではない。

このダンジョンには、想像を絶する連戦と、未知の魔法、そして愛と成長の奇跡が詰まっているのだ。


第一章:名もなき日々の連戦


【夜泣き魔獣】とのバトルは毎晩発生する。

深夜の静寂を切り裂く咆哮──「ギャアアアア!」

私は即座にスキル《ダッコアンドスタンド1hour》を発動。

腕力ゲージを消耗しつつ、HPとMPを同時に削られる苛烈な戦いだ。

「眠気デバフ……最大値……!」

だが、戦いの中で得られるものもある。

抱っこクエストを繰り返すたび、私の腕力は着実にレベルアップしていく。

筋力ステータスが上昇し、かつての魔導士時代にはなかった肉体的成長を感じる。

【離乳食バトル】もまた、魔法戦のように繊細だ。

《ホットでもクールでもダメ魔法陣》の中で、適温を探るスキルチェック。

一瞬の油断が、赤子の「拒否呪文」発動を招く。

「ぬるすぎても、熱すぎてもダメ……この温度管理、Sランク難易度!」

食べてくれた瞬間の「にこっ」という笑顔。

それは、どんな魔法のドロップよりも貴重な報酬だった。


第二章:魔力の芽吹き──子の発現スキル


生後9ヶ月。

息子は突如、謎の魔力反応を示した。

「ぎゃおおおお!」

その咆哮は部屋の空気を震わせ、父オルカの脳を30秒間フリーズさせる特殊効果付き。

「やばい……この子、才能あるわね……」

1歳を迎える頃、彼は《ものまね魔法》を発動。

オルカの「投資魔導書」を咥えて真似をし、

私の「ブログ魔道端末スマホ」を指先でスライドする。

「この子、早熟系……!今後の成長ログは絶対に記録しなきゃ!」

私は冒険記録としてのブログを書き綴る。

それはいつしか、読者たちに癒しのバフを与え、ブログ収入も最高値を更新していた。


第三章:母の葛藤、再出撃の決意


子どもが1歳になり、私は再び社会というフィールドに出る決意をした。

新たな職場は、冒険者たちを導くギルド《ミネルヴァ》。

私は「子育て魔導士」として、若き冒険者たちに知恵と魔法を伝える役割を得た。

だが、心には葛藤があった。

「この子の“初めて”を見逃すかもしれない」

「母親失格」と囁く幻聴魔法が、私の心に忍び寄る。

けれど、私は思う。

「働くことは逃げじゃない。私なりの誇りだってある」

だから私は選んだ。

母であり、子育て魔導士であるという生き方を。


第四章:夫婦再連携──支援魔法と物理の共鳴


ある日、私は高熱でダウン。

その瞬間、夫オルカが全てのクエストを休み、ワンオペの迷宮に単身突入した。

【ワンオペバトル・オルカ編】

夜泣きイベント、離乳食クエスト、オムツ交換トラップ……

彼は魔法のような手際で洗濯物を干し、赤子のよだれを拭き、

家事と育児の全てを同時攻略してみせた。

「俺、完全にナメてた。毎日これやってたんだな……」

その言葉に、私は戦友としての尊敬を新たにした。

結婚はゴールじゃない。

子育ても、片方の責任じゃない。

家族という名のパーティーで挑む、終わりなき冒険なのだ。


第五章:育児ダンジョンのサブボスたち


【偏見の魔獣】

「母親なら家事も育児もやって当然!」

「父親が育児?ありえない!」

この呪詛を放つサブボスが、時折家庭フィールドに出現する。

私は《論破魔法・リベリオン》を詠唱。

「家族は共闘!ワンオペに未来はない!」

オルカも《物理支援スキル》で応戦。

二人の連携魔法が、偏見の魔獣を撃退する。


第六章:子の未来、母の願い


この子は、どんなスキルを得るのだろう。

勇者?魔導士?それとも、投資の賢者かもしれない。

けれど、どんな道を歩むにせよ──

私はこの子の、最初の支援魔法使いであり続けたい。

今日も、彼の小さな「できた!」に魔力を注ぐ。

それは、世界を変える力になると信じて。


エピローグ:新たなるクエストの予感


「ピンポーン」

玄関のインターホンが鳴る。

私はそっと我が子を抱き寄せ、扉の向こうを見据える。

そこには、また新たなクエストが待っているのだろう。

私たち家族の物語は、まだ始まったばかり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ