第14話 瘴気晴れゆく時、勇気の買い増し、未来への一歩
灰色の世界、静寂の予兆
魔人ブクーケイキの自爆から月日が経った。
世界は灰色の霧に包まれていた。
かつて活気に満ちていた市場の通りは閑散とし、人々の顔には不安と疲弊の色が濃く刻まれている。
ニュースは連日「暴落」「底なし」「歴史的安値」と煽り、SNSには絶望の叫びが溢れていた。
俺たちの資産管理画面も、赤い数字がずらりと並ぶ。
「含み損」「評価額急減」「資産溶解」……。
だが、俺はまだ信じていた。
積立の剣を抜き、仲間と共に進むこの道が、必ず未来を切り拓くと。
そんな静寂を切り裂くように、奴は現れた。
狼狽売り魔獣・パニックベア、降臨
「グルルル……売れ……売れぇぇぇ……! 含み損の恐怖に飲まれろぉぉぉ!!」
突如、空が暗転し、街路を覆う灰色の霧が渦を巻く。
その中心に、巨体の獣――狼狽売り魔獣・パニックベアが姿を現した。
ベアの巨体から放たれる暴落の霧が、街全体を覆い尽くす。
市場の住人たちが次々に資産を投げ売り、絶望の叫びが響き渡る!
「やばい、みんなが…! このままじゃ俺たちも…!」
「負けるな!ここが正念場だ!」
俺は積立の剣を抜いた。
この剣は、長年の積立投資で鍛え上げた信念の結晶。
どんな暴落の嵐にも折れない、俺たち勇者の魂そのものだ。
暴落の霧vs積立防壁
「喰らえ!恐怖の咆哮!!」
パニックベアが吠えると、
狼狽売りの鎖が俺たちの手首を絡め取る!
「くっ……手が勝手に売却ボタンを……!」
ハイレが苦悶の表情でスマホを握る。
指先が震え、売却の誘惑が脳裏を支配し始める。
「絶対に売らせない!」
ブリジットが【狼狽売りキャンセラー】を発動!
光の盾が仲間たちを包み、鎖を弾き返す!
「オルカ、今だ!」
「いくぞ!積立斬・信念一閃!」
俺の剣が、霧を切り裂き、
自動積立魔法陣が地面に展開される!
「これが俺たちの、積立の力だ!」
魔法陣からは、毎月の積立資金が湧き上がり、
暴落の霧を少しずつ押し返していく。
パニックベアの猛攻と気絶投資
「グオォォォォォ!!」
パニックベアが【含み損の嵐】を放つ!
俺たちの資産画面に赤い数字が吹き荒れ、
「評価額 -20%」「-30%」と絶望の通知が次々に表示される。
「うわっ、資産が……溶けていく……!」
ハイレが膝をつきかける。
「ここで動いたら、奴の思うツボだ!」
ランスが【家計簿の剣・真】を振るい、ベアの爪を受け止める。
「俺は……俺は動かない!気絶投資発動!!」
俺は目を閉じ、スマホを封印。
【気絶投資の結界】が俺を包み、狼狽売りの呪いを完全防御!
「動かない勇気……それが、最強の盾だ!」
ベアの【狼狽売りの鎖】が何度も襲いかかるが、
俺の結界はびくともしない、
「しかし気絶とはなんともカッコ悪い勇者だ……。」
市場の絶望、仲間たちの葛藤
だが、ベアの猛攻は止まらない。
市場の住人たちが次々に資産を投げ売り、
「もうダメだ」「全部売って現金にする!」
と叫びながら、街から消えていく。
「オルカ、俺……もう無理かもしれない……」
ハイレが涙目で訴える。
「大丈夫だ。信じろ。積立の力を、俺たちの未来を!」
ブリジットも、手を強く握りしめていた。
「でも……本当に戻るの?このまま資産がゼロになったら……」
「信じるしかない。今は、動かない勇気が一番の武器だ!」
俺は二人の肩を抱き、結界の力を高める。
ジミ銀魔導師団の逆転魔法
その時、空に巨大な魔法陣が現れる!
「政策金利引き下げ!量的緩和!マクロフロー・リバース!!」
王国の大魔導機関《ジミ銀》の魔導師団が、
【金融緩和の光】を市場全体に放つ!
暴落の霧が徐々に晴れ、
パニックベアの動きが鈍る。
「今だ、反撃の時!」
勇気の買い増しラッシュ
だが、ベアは最後の力で【恐怖の幻影】を放つ。
ブリジットの前に「底なし暴落」の幻影が現れる。
「今が底かもしれない……でも、怖い……」
「今こそ、勇気を見せる時!」
ブリジットが【勇気の魔法石】を掲げ、
「勇気を出して買い増し!!」
5万ベルを追加投資!
「俺も続く!積立二段斬り!」
俺が追加で5万ベル投入!
「俺は……20万ベル、突撃だ!」
ランスが【投資家の槍】をベアに突き立てる!
買い増しの光がベアを貫き、
暴落の霧が一気に晴れていく!。
ベア撃破とイナズマのカケラ――雷光の奇跡
「グオオオオ……まさか……積立と買い増しの力がここまでとは……!」
パニックベアが断末魔の咆哮を上げ、巨体が崩れ落ちる。
その瞬間、地面がパキィン!と轟音を立てて割れ、
闇の底からまばゆい紫電が天へと迸った。
空間が震え、世界が一瞬静止する。
俺たちの視界に、雷光が凝縮したかのような、
眩いばかりの結晶がゆっくりと浮かび上がる。
それは、
《イナズマのカケラ》。
ただの鉱石ではない。
紫電のオーラがカケラの周囲を旋回し、
稲妻の紋様が内部で脈動している。
その輝きは、どんな宝石よりも神秘的で、
まるで天の意志が形を成したかのような神々しさを放っていた。
「これは……伝説のイナズマのカケラ……!」
俺は息を呑んだ。
手を伸ばすと、カケラはふわりと浮かび、
俺の掌の上で静かに脈打つ。
その瞬間、
世界が一変した。
カケラから放たれる光が、俺たちの周囲に雷光の魔法陣を描き、
空中に幻のチャート板が浮かび上がる。
そこには、暴落と反転、絶望と希望が交錯する市場の運命が、
まるで神託のように映し出されていた。
「暴落の底でしか現れない、雷光のチャンス……!」
ブリジットの声も震えていた。
ランスが静かに警告する。
「だが、このカケラは、無理に狙えば感電死する……
選ばれし者だけが、その真価を引き出せるのさ」
俺はカケラを見つめる。
手のひらに伝わる電流は、
恐怖と希望、勇気と覚悟――
すべての感情を一つに束ね、
新たな未来への扉を開こうとする力だった。
「これが……俺たちが暴落を乗り越えた証。
偶然のチャンスを掴む資格、今の俺たちにはある!」
カケラは静かに、しかし確かに雷光を宿し、
俺たちのポケットに収まった。
その瞬間、
世界は再び動き出した――
だが、俺たちの心には、
あの神秘と興奮が、永遠に刻まれていた。
勇者たちの新たな夜明け
ベアの消滅とともに、
市場の霧は晴れ渡り、回復の兆しが広がる。
「俺たちは、暴落にも、恐怖にも、勝ったんだ……!」
「積立と買い増し、そして動かない勇気……それが最強の資産防衛スキルよ!」
勇者たちのポケットには、
《イナズマのカケラ》が確かな雷光を宿していた。
――
「金利が下がってる今、あれを買うべきか……」
俺は空を見上げ、
新たなバトルの予感に静かに拳を握る。
資産形成の旅は、まだまだ続く――!