第1話 勇者、100万ベルを手に旅立つ
「オルカ、これが王国の未来を託す初期資金、100万ベルじゃ!」
国王タマキの声が高らかに響く。
玉座の間で、俺は思わず息を呑んだ。
目の前には、ずっしりと重みのある金貨の山。
人生で初めて手にする大金に、手が震える。
「この資金を元手に、魔王ジミンを討伐してまいれ。
ただし、資産が尽きれば、その時点で勇者失格じゃ。
この国の物価はとても高い。モンスター討伐だけでは、とても暮らしていけぬだろう。
知恵を絞り、資産を増やし、己を鍛えよ!」
王の言葉は重かった。
俺は18歳。貧しい村で育ち、家計のやりくりには慣れている方だ。
だが、冒険の旅で資産運用? そんなの聞いたことがない。
――
旅立ちの朝。
俺のパーティーには、個性的な仲間が集まった。
まずはランス。理論派で、投資や経済の知識なら誰にも負けない。
「オルカ、資産形成の基本は[長期・分散・低コスト]だ。焦るなよ!」と、冷静なアドバイスをくれる頼れる参謀だ。
次にハイレ。お調子者で、いつも「一攫千金!」と夢を語る。
「オルカ、俺も資産運用デビューだ! でも、今回はちゃんと勉強してからにするぜ!」
彼の明るさはパーティーのムードメーカーだ。
そしてブリジット。節約の達人で、俺の幼馴染み。
「お金は使うより守る方が大事よ」と、財布の紐をしっかり握っている。
彼女がいれば、無駄遣いの心配はない。
――
城下町に着いた俺たちは、物価の高さに唖然とした。
木の剣が4万ベル、宿屋一泊が1人1万ベル――。
「これじゃ、普通に旅するだけで破産しそうだな……」
俺は思わずため息をつく。
その時、ランスが静かに言った。
「オルカ、モンスター討伐報酬は低い。資産を守り、増やす工夫が必要だ。
投資、副業、節約――これがこの世界で生き抜くカギだ」
ハイレがニヤリと笑う。
「よーし、俺も副業やってみるか! お宝探しとか!」
ブリジットはしっかりと財布を握りしめ、
「まずは出費を抑えましょう。無駄遣いは厳禁よ!」ときっぱり。
俺は100万ベルの重みを改めて感じた。
魔王ジミンを倒すためには、資産を増やし、仲間と共に強くならなければならない。
「よし、やってやる! 資産運用で世界を救うんだ!」
その瞬間、体の奥から不思議な力が湧き上がる。
【スキル:資産運用の加護 発動条件達成】
俺の冒険、そして資産運用の旅が、今始まる――!