交友
カルロスとはその夜の会話を境に一緒に寄宿舎の食堂で食事をしたり、地下2階のバーでコーヒーを飲みながら談笑するようになった。カルロスには一つお世辞にも僕には納得できない口癖があった。「セックス、アルコール、音楽、最高」て奴で彼が医学生で優れて知的であることを勘案しても、何か退廃的な香りのするものだった。ボクは車を持っていたので、下手くそな運転で街の高台にあったパラドール(国立ホテル)の喫茶室に遠出してドリンクを飲むこともあった。カルロスの寄宿舎での親友で法学部のヘススもよく同行していた。ヘススもまた非常に興味深いというか俗物的な人物で、よく弁護士よりもnotario(公証人)にさえなればサイン一つでいくらでも儲けられると豪語していた。カルロスの交友関係は広く、特に女友達が多かった。カルロスは男のボクから見ても、背が高く細身でイケメンだったので、女友達が多いのも頷けた。中でもアナは美人で人柄もよく、その上、才女だったので、ボクもカルロスとアナの会話にはよく加わった。こうしたカルロスの友人達との交友を通じて、ボクにスペイン語は飛躍的に上達していった。




