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思索

ボクはカルロスの話を聞いて、何とも言えない悲しみに襲われた。本来、宗教は人間解放のためにあるのではないか、人間のための宗教であるはずだ。それが、人間を抑圧してたとしたら本末転倒ではないか、そんなことを考えた。

20歳のうら若き一青年を自殺未遂まで追い込むカトリックの教えに、ボクは心の中で大きな声で「ノー」と叫んでいた。

この一件から30年を経た南米初のフランシスコ教皇の時代にいわゆる性的少数者の権利もローマ教会で認められることになるが、それまでどれだけ多くの人が苦しんだだろうと想像するとボクの心は締め付けられるように苦しくなる。

日本では、1990年当時、性的少数者に権利は未だ確立されておらず、お笑いのネタにさえなっていたが、由々しき事態であったことには変わりがない。性的少数者を認知してその権利を擁護しようと、社会の潮流が動くまでには更に30年の年月を必要とした。


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