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尋問
コーヒーができたので、ボクはカルロスにマグカップに入ったコーヒーを手渡した。カルロスは角砂糖を2つ入れるとスプーンでかき混ぜて、美味しそうにコーヒーに口をつけた。頃合いを見てボクはカルロスに尋ねた。
「ねえ、一体何があったの」
カルロスはマグカップを机の上に置くと、鋭い眼差しでボクの目を見ながら言った。
「ヒデヤには理解不可能なことなんだ。特にカトリックの信仰に理解がないと分からないと思うよ」
「ボクは一応仏教徒だけど、正直言ってカトリックの教えには全くの門外漢だね。説明してくれる」
「ヒデヤは日本の作家の三島由紀夫の作品とかを読んだことはあるの?例えば『仮面の告白』とか『禁色』とか」
「『仮面の告白』なら読んだことはあるよ。それとカルロスと何か関係あるの?」
「簡単に言うとその作品の主人公と俺は同種類の人間なんだ。分かる?」
「分かるけど、それと君の事件とどういう関係があるの?」
「ここから先はカトリックについての素養がないとついてこれないと思うよ」