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手紙

寄宿舎には各寮生用のポストがあった。カルロスがいつエルナン•コルテスに帰ってくるかは分からなかったので、ボクはカルロスのポストに一通の手紙を投函した。ボクのスペイン語力は甚だ不十分な物だったが、辞書に首っ利きで次のような手紙を綴った。

「カルロス、事件のことを聞いて驚いています。もし、気が向いたらエルナンに戻って来たらボクの部屋を訪ねて下さい。忌憚なくお話できたら嬉しいです。ボクの部屋番号は215です」

簡単な手紙だった。カルロスが来てくれるかどうかは自信がなかったが、もし来てくれたら微力でいいから彼の力になりたいという思いで一杯だった。

手紙を投函してから1週間でカルロスは寮に戻ってきた。夜の7時半頃、誰かがボクの部屋のドアをノックした。少し動揺しながらドアを開けると、そこには微笑を湛えたカルロスが立っていた。ボクは彼を部屋に招き入れて椅子に座るように促すと、コーヒーメーカーでコーヒーを用意しながら、ベッドの端に腰掛けた。

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