表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

先祖が残したヤバい本

作者: 神崎玄

 父の遺品整理で出てきた一番ヤバい本が『陰陽道秘伝集』と称する筆書きの本でした。

 というと、男女のまじわりのことを描いたヤバい本かと思われるかもしれませんが、そうではありません。祖父以前のご先祖が各地をまわって集めた怪しげな術集だったのす。

 その中で一番憶えているのが「全てのことを嘘に変える真言」です。


「オンウソウソウソウソソワカ」


 普通はこれを見たら、中二病のご先祖が書いたアホな呪文と思うことでしょう。

 しかし、そのページには続きがあったのです。


「○○山○○寺の住職○○上人より伝授さる。秘すべし秘すべし」


 頭を抱えました。

 今では立派なお寺として知られている某寺のトップが、裏でこっそり変なマジナイを作って伝授していたのです。これが世に出たら一大スキャンダルです。

 伝授というからには、ご先祖も相応のお礼をしていたと思います。ご先祖がいいカモにされていたのです。

 

 その他の内容も、壁をぬける法だの空を飛ぶ法だの、ろくでもない術ばかり記されていて、伝授した者の身分と名前がしっかりと記されていました。大体は辟穀(五穀断ち)をして山中の洞窟で暮らし、斎戒沐浴して何ヶ月、といった、ほぼ不可能な修行法が書かれていました。

 そして、雨乞いや晴れ乞いといった世の役に立ちそうな術は一つも書かれていなかったのです。


 頭が痛くなりました。

……こんな本を世に出してはいけない。いかに民俗資料とは言えヤバすぎる。


 一通り目を通してから庭で燃やしました。


 その他に『神足歩行術』の版本も出てきました。

 これは国会図書館にも入っている本なので、古本屋で売りとばしました。


 以上、ご先祖が残したヤバい本の話でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ