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始まりの日

この世界は人が世界の半分を占める世界。

故に人が最も優れた生き物とされてきた。

人以外にも魔族、エルフ、獣人、亜人、精霊、竜族、など様々な種族が存在してる。にも関わらず、最も多い種族が人なのである。

この世界には人の国が四つ存在している。そのすべての国が人類至上主義を掲げている。にも関わらず平民より貴族の方がより優れているという思考を持っている。人の中にも優劣があるのだ。そのヒエラルキーの底辺に近い平民より下が人類以外全ての種族らしい。

エルフなども国があるがどれも国というよりは小規模な集落のようなものであるがどの種族もそれほど規模が大きいわけではない。そのため同盟を組み、人との戦争を繰り返していた。

この世界には魔法も存在している。魔法には様々な種類があり、その人の相性により使用できるものと使用できないものが存在する。また、生物には生まれたときに魔力特性と呼ばれるものを持つものがおり、この魔力特性により、使用できる魔法とできない魔法が生まれるほど生物に影響する。

例えば魔力特性が(火炎強化)というものだとしたら、火魔法の威力が飛躍的に上昇するという効果になる。代償に水魔法系統を使用する際威力が半減するなどの効果も生まれる。

奴隷などもほとんどが人じゃなくエルフなどの異種族が多い。人の奴隷なんかはほとんどが犯罪などを犯した犯罪奴隷くらいである。

そんな世界に人として俺ことレイジ・アランは生まれた。

俺は孤児院で過ごしていた。いつ孤児院に預けられたとかはわからない。だけど、生活は苦ではなかった。孤児院ではいつも一緒に遊んでいたやつがいる。名前はマキナ•オルテナという少年とレイナという少女の2人だ。マキナは俺と同い年で俺と同じ黒髪で子供ながらに整った顔立ちをしている少年だ。レイナは一つ年下で茶髪のショートカットの可愛い顔立ちをしている女の子で毎日のように3人で遊んでいた。だから寂しいとかは感じなかった。

そんな毎日が続くと思っていたが。俺が6歳のある日突然そんな日常が終わる日が訪れる。

その日はいつものように3人で何をするか話していた。

「マキナ今日は何する?」

「うーん。なんでもいいかな。レイナは?」

「私も特にしたいことはないかな。」

 最近は追いかけっこやかくれんぼはやりすぎて飽きてきていたし。2人も特にしたいことはないらしい。

「2人ともいつもそれじゃん。もう俺も何するか考えるの疲れたよ」

「だってしたいことないんだもん」

レイナはいつも俺かマキナがしたいことをしたいと言ってる。2人がしたいことをしたいらしい。少し変わってるかもしれない。

「ん?あれ何かな?」

「どれ?」

「ほら、入り口のとこ」

結局何をするか決められずにいた時だった。20人ほどの武装した集団が孤児院を訪ねてきていた。

「あの。どのようなご用でしょうか?」

孤児院の院長のおばさんが対応していた。

「この孤児院に茶髪の女の子はいるか」

「えぇ。うちには3人いますが」

「よし。その3人を連れてきてもらえるか。昨日の夕方この周辺で獣人の少女が目撃されている。その獣人の少女は姿を人に擬態できるらしく。昨日獣人になる前の姿を見た者がいてな。各孤児院を見て回っているところだ。」


 獣人の少女か。ここは国より少し離れてるからなもしかしたら近くまで来ていたのかもしれない。

「獣人がいたんだってさ。見つけてどうする気なんだろうな」

「そりゃ捕まえて奴隷にされるか処刑されるんじゃない?院長も言ってたよ。人以外は国じゃ見つかったら即処刑されるって」

 そうだ。院長も俺たちにも言っていた。人以外は見つかった場合高くで売られるか国で処刑するって。俺は間違ってると思う。だって何もしてないのに殺されるのはおかしい。

「でもさ。獣人って言っても何もしてないんだよな。それで処刑されるっておかしくない?」

「まぁ。僕だってそう思うけど。それが当たり前だってみんな言ってたよ。」

 当たり前か。なんでそうなっちゃったんだろうな。俺には理解できないなんでわざわざ殺す必要がある。他の種族とだって共存できるかもしれないじゃないか。

「なぁ。レイナもおかしいと思わな…い?」

「………」

レイナに俺が話を振ろうとレイナのほうを向くとレイナは震えていた。顔が真っ青になっていた。

「レイナ?大丈夫か?顔色悪いぞ。」

「えっ…あっあの。うん。大丈夫」

「ほんとに?全然そうは見えないけど」

 レイナの様子がおかしい。さっきの武装した集団を見てから…

俺は嫌な予感がした。茶髪の少女。もしかして

「レイナ。もしかして お前」

「おいっ!そこの茶髪のガキ!」

さっきの武装したやつらの1人が俺たち3人のほうへ来ていた。

「なんかやけに震えてやがるな。それに昨日報告のあった獣人のガキに似てやがるな。よし。こっちへこい。」

  武装した男はそういうとレイナの腕を引っ張り連れて行こうとする。

「やっやだ!離してっ!」

 レイナは全力で対抗している。が武装した男にレイナのような少女の力では勝てない。ずるずると引っ張られていく。

「おい!離せよ。レイナが嫌がってるだろ!」

「そっそうですよ。離してあげてください!」

 俺とマキナは2人でそう叫ぶ

「うるせぇな。ガキが。こいつは獣人の可能性があるんだ。お前達は獣人を庇う気か?そうなるとお前らも少し痛い目にあってもらわないといけなくなるがな。」

 武装した男はそう言うとニヤニヤ笑い始めるとレイナの手を離した。が次の瞬間。俺とマキナの腹目掛けて両手の拳で殴ってきた。

「「うぐっっっつ!」」

 痛い!体が冷えるような感覚が全身を巡ると次には鮮明な痛みが襲ってくる。この男!俺たちはまだ子供だぞ!マキナのほうは顔を歪めて必死に痛みに堪えている。

「けけっ!わかったかそれ以上痛い思いをしたくなかったら大人しくしてな!」

「レイジ!マキナ!」

「お前はこっちだよ!」

「いやっ!いやぁーー!離してっ!」

 レイナの悲鳴があたりに響く。院長たちやほかの武装兵もこちらに気付いたようだ

「隊長。このガキが怪しいですぜ。昨日見たって言ってた証言とほぼ一緒ですぜ」

「それはいいが。少しやりすぎだ。その娘はともかく。あちらの子供は人間だろう。もう少し手加減してやれ」

「獣人を庇ってたんですぜ?あんぐらいで済んでむしろ感謝して欲しいくらいですよ」

 男は俺たちを殴ったことを何とも思ってないような雰囲気で喋る。

「はぁ。まぁいい。その娘が獣人か確かめる。」

そういうと男は懐から小瓶を取り出した。

「これは解魔の薬という物でな。これをかけると魔法を強制的に解除できる薬だ」

  隊長と言われた男はそう言うと小瓶の中身をレイナに浴びせた

「いっいやぁー!レイジ、マキナ見ないで!」

 レイナは涙を流しながら必死に抵抗している。が、次第にレイナの体に異変が起こり始める。レイナの頭から耳が生え始め、鋭利な牙が生え、みるみるうちに獣人へと変化していく。

「やっぱりこいつでしたね。隊長!」

「まさかこんなところに潜んでいたとは。では王国へと連行するぞ」

「ハッ!」

 瞬く間にレイナは武装兵たちに拘束されてしまった。レイナはもう抵抗しようともしない。

そのままレイナを連れて行こうとする。止めないと!友達を!このままじゃレイナが!

「おい!マキナ動けるか」

「うぐっ。まだお腹痛いよ。」

「そんなこと言ってる場合か!レイナがこのままじゃ殺される!」

「でも。僕ら2人であんな大勢の武装してる大人に勝てるわけないじゃん」

 そんなのわかってる。わかってるさ。でも、今なんとかしないと絶対に後悔する!痛みなら堪えながらなんとか立ち上がり、声を振り絞る

「待ってくれ!」

武装兵達は立ち止まることはない。こちらなど眼中にないのだろう。

「レイジ…」

「待てって言ってんだろ!」

その瞬間身体全体になにかが纏われるような感覚がした。身体が軽く感じる。いつもより速く動ける確信がある。次の瞬間には何かを考える前にはもう身体が動いてしまっていた。

「レイナを離せーーー!」

武装兵が握っている手を強引に解き、レイナを手を取る。そして抱き寄せ、思いっきり地面を蹴り、後ろに飛び退く。

「なんだっ!」

「あのガキっ!」

なんとか武装兵達からレイナを取り返せたのはいいけど。ここからどうする。考えろ考えろ考えろ考えろ!

「レイジっ。ひっく。わ、わたし、2人にほんとのこと言えなくて…怖くて、わたし、ほんとは獣人で!だから2人とは友達になれないと思って。だから隠してて」

「うん。いいんだよ。レイナが獣人だったとしても。俺にとっては大切な友達さ」

「あ、ありがとう!レイジ」

 レイナは泣いている。けど、さっきとは違う涙だとわかる。よかった。けど、さてここからどうしようか。

目の前には臨戦状態の武装兵が20人ほど対してこちらは子供は子供だ。無謀にもほどがある。

「マキナ。起きろ!」

「レイジ。助けるのには賛成ではあるんだけどさ。これ、どうするの?僕ら3人であんな大人数相手に勝てるわけないよ。それとも何か作戦でもある?」

「ごめん。ノープラン。」

「このままじゃ僕ら2人も仲良く投獄されるんじゃない?」

「それはごめんだね。だからなんとかしたいんだけど。」

やばいなぁ。ほんとにノープランだしな。レイナはまだ泣いてるし。

「おいガキ!自分が何してるか分かってんだろうな!」

「わかってるつもりですよ」

「よぉし。なら覚悟はできてんだな。容赦しねぇぞ。やっちまっていいっすよね?隊長」

「さすがに獣人を逃すわけにはいかない。殺さない程度にやれ」

「了解!」

武装兵は槍を構える。まずい。あれは本気にで殺しに来てる。武装兵が一気に距離を詰めに来る。やばい!

「ちょぉっとそこまでにしてもらえるかな」

武装兵の槍は俺の目の前で見えない壁のようなもので阻まれた。助かったのか?

「誰だ!」

「わるいねぇ。この子達3人は私の養子にしようと思っていた子たちなんだ。」

声のする方を見ると俺の真後ろに女性が立っていた。

赤髪のロングヘアーの女性。身長はだいたい165cmくらいか。

「誰だって聞いてんだよ。そこの獣人が見えねぇのか」

「私はマーリン。マーリン・テレジア。よろしく」

「ま、マーリン様!」


隊長と呼ばれた男はこの女性のことを様と呼んでいる。偉い人なのか


「なぜ。あなたのような方がここに」

「なぜって。この子たちを引き取ろうと思ってきたらなんか大変なことになってるじゃない?さすがに止めないとやばそうだったし止めたわよ」

「ですが、マーリン様そこの少女は獣人でございます。」

「そうね。見ればわかるわ。けど、関係ないわ。私はこの子たちのこと養子にしようと思ったんだもの。」

「で、ですが」

「おい!獣人は敵だ!殺さなきゃ俺たちが殺されるんだ。おんたが誰だかしらねぇがそれを邪魔するならまずはテメーを」

瞬間武装兵の首から下が一瞬にして氷漬けとなった。


「は?」

「あら。私とやるつもり?私は構わないけど、手加減はしないわよ。」


このマーリンとか言う人がやったんだろうか。ほんとに一瞬だったから何をしたのかもわからない。ただ。直感でわかるこの人異常に強い。

「申し訳ありません。マーリン様。こやつはまだ新入りでして。あなた様のことを知らないのです。どうか。お許しください」

「別にいいわ。やるつもりがないならわざわざ無駄に戦いたいわけじゃないわ。」

「ありがとうございます。四大英雄の1人のあなた様のお力十分に部下に伝わったことでしょう。ですが、このことは報告させてもらいますがよろしいですね。」

「えぇ。構わないわ。それがあなたの仕事だろうし。」

 四大英雄?そんなのがいるのか。とりあえず。この人がとんでもなく強い人だと言うのはわかったが、養子だって?そんな話今まで聞いたことない。俺たちを守るために言ってくれているのか。


「さてとじゃ。あなたたち3人に話があるのだけどいいかしら?」


先ほどの氷魔法を解除させながら何事もなかったように言うマーリンさん。解放された武装兵は震えながら隊長と呼ばれた男たちと共に引き上げていった。


「あっ。あの」

「ん?何だい?少年。あっ名前を聞いてなかった。教えてくれるかい?」

「えっと、俺はレイジ•アランで、こっちがマキナ・オルテナでこいつがレイナです」

「レイジにマキナ、それにレイナね。了解覚えたわ。じゃ。単刀直入に言うけどあなたたち3人私の弟子にならない?」

「「「え?」」」

3人で声がハモってしまった。さっきは養子って言ってたよな。

「さっきは誤魔化すために養子とか言ってたけど。私あなたたち見た時に思ったのよね。磨けば光るとね。」


ニコニコ顔でそう言うマーリンさん。 


「あのっ。私獣人なんですけど。何とも思わないんですか?」

「ん?私はそういうの気にしないよ。別に人間至上主義を掲げてるわけじゃないし。」


本心で言ってるんだろうなこの人。でも弟子にしたいってだけでわざわざ俺たちを助けるなんて

「あっ。孤児院の方にも話をしておかなくちゃ。どうする?いやなら別に断ってからも構わないけれど。」

「俺はさっきみたいな人たちにも勝てますか?」


無力だった。レイナが連れていかれるのを助けられない無力な自分はもういやだ。


「そりゃ。もちろん。私はこう見えて強いんだよ。しっかり強くして見せるよ。」

「僕も弟子になります。」

「わ、私も!」

「よーし。3人ともだね!じゃ。私は孤児院の方と君たちを引き取る準備をしてくるから待っててね」


そう言うとマーリンさんは孤児院のほうへと歩いて行った。

あんなことの後だ。孤児院は院長含めてまだ混乱してるっぽい。


「あの、2人とも。」

レイナは俯きながら俺たちに言う

「ごめんなさい。ずっと今まで隠してて。獣人ってこと。言ったらもう友達じゃいられなくなると思ってそれで、言えなくて。」

「いいよ。獣人でも友達だ!俺は気にしない。」

「僕も気にしないよ。友達だし。それに獣人ってだけでレイナはレイナだよ。僕らの友達さ。」


マキナも俺と同じように思ってたんだな。よかった。安心した。


「うぅっ。あ、ありがと〜ふたりともぉ〜」


泣きながらレイナは俺たちに抱きついてくる。

2人でレイナを抱き止める。姿が少し変わっても中身はレイナのままだと改めて思った。


「ほら。レイナそんなに泣くな。」

「だっでぇ。嬉しいんだもん〜」


そんなこんなでレイナが泣き止むまでマキナと2人でレイナが泣きやむまで背中をさすってあげているとマーリンさんが手続き等を終わらせてきたらしく。俺たちはマーリンさんの住んでいる家で暮らすことになった。


「さて。じゃ。3人ともいい?これからはあなたたちは私の弟子。毎日キツイ修行つけてあげるから覚悟しなさい」

「「「ハイ!」」」

「よろしい。いい返事!じゃ。行きましょうか。」


こうして。俺たち3人のマーリンさんによる修行が始まった。そして、それから10年の月日が経った。




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