表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/128

賢者の加護⑥

しかし、アレンは動じない。

マーリンの姿。

それをその瞳に捉え、一言。


「速度の加護が三つ」


呟き。

瞬きの間にマーリンの後方へと、移動するアレン。


そして。


「魔力の加護がひとつ」


胸中で呟き、アレンは自身の魔力を底上げ。

その流れで、マーリンの背に向け手のひらをかざす。


しかし、マーリンは動じない。

背後を仰ぎ見、アレンに向け一言。


「へぇ。すごいね、アレンくん。これが勇者の力なの?」


子どものような笑顔。


「でもね。魔法でこのぼくに勝てるなんて思わないほうがいいよ? こっちは専門だからね」


そのマーリンの言葉。

それに、土下座姿勢の面々はそそくさとその場から退散。

周囲の草むらに身を隠し、事の成り行きを息を飲んで見守ろうとする。


自信満々なマーリンの言葉。

それを聞き流し、アレンは魔法を使う。


火球ファイヤー


アレンの手のひらの上。そこに現れる、小粒の火球。

それは最も基本的な火の魔法。

その大きさ。

それは、駆け出しの魔法使いと同じくらいの大きさだった。


それを、マーリンは鼻で笑う。


振り返り--


「面白い、面白いよ。それが勇者の力なのかい? ははは!!」


マーリンもまた、空いた手のひらの上に火球をつくる。


その大きさ。

それは、アレンの数倍。

そして更に響く、マーリンの勝ち誇った声。


「言っておくけどこれでもまだ本気じゃないからね? 本気を出せば……これより更に大きな火球を」


つくれるよ?


刹那。


「魔力の加護がふたつ」


アレンの魔力。

それが倍になり、火球の大きさも倍になる。


「へぇ、やるね。でもまだまだ」


「魔力の加護が三つ」


3倍になる、アレンの火球。

そこでマーリンも少し本気になってしまう。


「な、中々やるね。ならぼくも」


更に大きくなる、マーリンの火球。

それはアレンの火球より倍以上の大きさ。


「ど、どうだい? これでもまだ本気じゃないよ? 白旗を振るなら今のうちだよ?」


先程までの余裕。

それが若干薄れている、マーリン。


そこに、更に響くアレンの声。


「魔力の加護が五つ」


「へ?」


五倍になる、アレンの火球。


「魔力の加護が10」


10倍になる、アレンの火球。

その大きさ。

それは、ひとつの山に匹敵する。


だが、アレンは止まらない。


「魔力の加護が100」


「……っ」


息を飲み、後ずさるマーリン。


アレンの火球。

それはもはや、火球の次元ではない。

言うなれば、ひとつの太陽がそこに現れたようなもの。


「魔力の加護が1000」


空一面を覆う、アレンの火球。

それに、マーリンの顔から生気が失せる。


尻餅をつき、震えるマーリン。


それを見つめ--


「魔力の加護が10000」


トドメとばかりにアレンは声を響かせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ