加護②
そして、そのマリアの眼前。
そこには、ガレアのなにかを悟った顔があった。
しかし、マリアは謝罪を続ける。
涙を流し、己のした所業。
それを悔いて。
「ごめんなさいっ、アレンさま。わ、わたしは」
そのマリアの謝罪。
それはしかし、アレンの耳に届くことはない。
「魔王様。竜騎士は、聖女のことを利用価値があると言っていました。その意味。それは、俺にはよくわかりません」
マリアに意識を向けず、ガレアだけを見据えアレンは声を響かせる。
その瞳の闇。それを一切、和らげることなく。
そんなアレンに、ガレアは応えた。
「利用価値、か。勇者の加護が無き今も、この聖女には我らの知らぬなにかが秘められているやもしれぬな」
頷き。
「アレン。この聖女が人間の手に渡れば……少なからぬ恩恵。それをやつらにもたらすやもしれぬ。なれば--」
立ち上がり、アレンを見据えるガレア。
そして。
「奴等の手に渡らぬよう取り計らおうと我は思っておる。お主はどう思う?」
そう声を発し、ガレアはアレンの意を伺う。
それに、アレンは応えた。
マリア等、頭の片隅にない。
そんな表情をたたえながら--
「聖女の処遇。それはお二人に任せます」
声を響かせ、ガレアの側を無表情で通り過ぎていくアレン。
そのアレンの横顔。
それを見つめ、ガレアは押し黙る。
その光景。
しかし魔物たちは、そんなアレンを取り囲む。
興奮した表情。
それを皆、その顔に浮かべながら。
「アレン様ッ、アレン様!!」
「その巨龍もアレン様に従うのですか?」
「それにッ、地に降りたドラゴンたちも皆!! アレン様に首を下げています!!」
フェアリーを中心に、盛り上がる面々。
「ちなみにこの人間たちはどのように!?」
「見たところ。元はこの者たちがドラゴンたちを操っていたようですね。だが、今や。ドラゴンたちはアレン様に従っているご様子」
「ドラゴンたちの餌。それにするのもひとつの選択肢」
ゴブリン剣士。
ゴブリン騎士。
そして、ゴブリン賢者。
そのゴブリンたちは、力を失った竜騎士たちの処遇。
それをアレンに提案していく。
その盛り上がり。
それを制する、ガレア。
「静まれ、皆の者」
それに、魔物たちはしんと静まり返る。
「人間を甘く見るな。いくら、勇者と剣聖がこちら側についたとはいえ……まだ、底が知れぬ」
ドラゴンの奇襲。
それを思い返し、ガレアは表情を険しくした。
「この世界には我等が知らぬ加護。それが、未だある。勇者の加護。それが解かれてもなお……このような、ドラゴンを操る騎士たちが存在するようにな」
「お、仰る通りです」
「「……ッ」」
ガレアの忠告。
それに魔物たちは気を引き締め、場から弛緩した空気を消失させる。
再公開です!!これからは表現に気をつけて執筆を頑張っていきます!!
タイトルと冒頭。そして内容の一部を変更しました!!
所々、おかしなところがあるかもですが随時改稿していく予定ですのでよろしくお願いします!!