表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/128

反転攻勢①

 〜〜〜


「これまで勇者一行が魔物の手より奪還した街や村。そして洞窟や山や川や森。その数は既に平和であった頃に戻っております。このままいけば、数週間。いや数日で、世界は我ら人間の手に」


「うむ。流石、勇者だ。あやつがこちら側にある限り、我らの勝利は固い」


「その通り。資源の量も日に日に増え、我らの懐も潤うばかり」


 魔王城より遥かに離れた王城。

 そこにある絢爛豪華な玉座の間。


 その闇とは無縁の場所に、王とその側近の声が響く。


「後はあの勇者アレンの処遇。魔王無き後、あやつだけが我らの障害」


「その件については」


「うむ。奴の生まれ故郷。それを廃墟とし、村の者全てを磔の刑。それ全てを魔王の所業と称し、お主がもう少しはやく魔王を倒しておればと伝えれば」


「はい。あの正義感が強く責任も強い勇者アレンなら、タダでは済まない。自らその命を絶つ可能性もあれば精神を病み……異常者となって牢獄にぶち込むことも可能かと」


「「はっはっはっ」」


 王と側近。

 その二人は目の前に広がる輝かしい未来に笑いを響かせる。


 しかし、二人はまだ知らなかった。


 勇者アレン

 その存在が既に、魔王ガレア側になっているということを。


 〜〜〜


「おッ、おい!! これはどういうことだ!!」


「い、いつになったら日がさすんだ!?」


 響く焦燥の声。

 それは村の門番の声。


 時刻は既に朝の5時。

 いつもなら夜明けによる日の光が差し込む時間。

 しかし、空は未だ暗いまま。

 それは見ての通り夜そのもの。


「これは嫌な予感がする」


「あぁッ、今すぐ戦闘態勢を整えろ!!」


「「はッ!!」」


 声を響かせ、戦闘態勢を整えていく兵士たち。


 その兵士たちの姿。


 それを宿屋の窓から見つめるのは、寝巻き姿の聖女マリアだった。


「なんだか騒がしいわね。まだ夜だっていうのに」


 そんなマリアの声。

 それに宿屋の主人ゴウメイは、なにも知らず声を発する。


「おい、マリア。いいからこっちに戻ってこいって。俺はまだま愚痴が聞きたいんだが?」


「いいですわよ。 やっぱり勇者アレン様より、貴方のほうが男らしいですね」


「かわいい奴だな。ったく」


「ありがとうございます」


 踵を返し、再び椅子へと向かうマリア。

 テーブルを挟み、話す二人。

 仲睦まじい、二人の雰囲気。


 しかし、そこに。


「グォーンッ!!」


 突如として響く、重々しい鳴き声。


 二人の視線。

 それが窓の外に向けられる。


 果たしてそこには。


「ガルルル」


 口から涎を垂らし、二人を威嚇する巨大なダークウルフの顔があった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 仮にヤった後ならピロートークが他人の愚痴とかゲスにも程があるぜよ…… ヤッてねぇなら男らしさとは……?となる
[一言] いやぁ、絵に書いたような猿鳶ッチーズぶり!(• ▽ •;)(ロクドナシ友共、お勘定は頃頃ゴミッ苦でとしか)
[一言] いいですね、こういう?復讐物は。 期待してるので頑張ってください!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ