加護①
地上へと巨龍と共に降りてくる、アレン。
それに魔物たちは歓喜を露わにした。
「ゆ、勇者様がお帰りだ!!」
フェアリーの声。
それを皮切りに、皆の咆哮或いは声が周囲にこだまする。
「ワオーン!!」
「しッ、しかもドラゴンと一緒に!?」
「次々とドラゴンたちが空から降りてきたのも……勇者様が加護を解いたからなのか?」
「そうだッ、それしか考えられない!!」
アレンに対する賛美。
それを口々に発した魔物たち。
そして。
ズシンッと、巨龍が地に足をつき--
短く咆哮。
それに応え、アレンは地面に降り立った。
マリアを抱え、ちいさく跳躍して。
そんなアレンの元へとガレアは歩み寄っていく。
「流石だ、勇者よ。よもやドラゴンさえも手なづけるとはな」
頬を綻ばせ。
「これもお主の加護の賜物なのか? それとも--」
「神龍の加護。それを受けたのか、アレン」
響くガレアの声。
それに応えるのは、クリスの声だった。
そのクリスの言葉。
アレンはそれに頷き、声を発した。
「はい。クリスさんの仰る通りです」
「……っ」
ゆっくりと。
マリアを足元に置き--
「そして。色々なことを知ることができました」
そう続け、ゆっくりと立ち上がるアレン。
その姿。
それをガレアは、表情を引き締め見つめた。
「色々なこと、か。機会があれば話してはくれぬか?」
アレンの側。
そこで足を止め、ガレアは柔らかな声音で問いかける。
己の瞳にアレンの顔をうつし、どこか憂いの表情を浮かべながら。
そんなガレアの表情。
それにアレンもまた、表情を和らげて応えた。
「はい、お話しします。ははは。そんなに心配しなくても、大丈夫。です」
掠れたアレンの笑顔。
それを見つめ、ガレアは言葉を飲み込む。
そして、震え蹲るマリアに視線を落とし--
「聖女」
名を呼び。
「再び会うことができるとはな。見たところ、勇者に助けられたようだが」
声をこぼす、ガレア。
そのガレアの声。
それにしかし、マリアはまともな返答を返すことさえできない。
「ごめんなさい……ごめんなさい……あれんっ、さま。わたしは、わたしは。ごめんなさい」
「マリア」
「……っ」
片膝をつき、マリアの背に手をのせるガレア。
それにマリアはビクッと身体を震わせ、更に謝罪を響かせた。
「ごめんなさいっ、マリアは。わたしは。アレンさまを。勇者さまを。ごめんなさいっ、ごめんなさい」
「顔をあげよ」
「……っ…っ」
ガレアの声。
それにマリアは、ゆっくりと顔をあげる。




