龍騎士②
ドラゴンの背。
そこに辿り着く、アレン。
そして。
そこで、見つける。
「……っ」
頭を抱え、震えたままのマリア。
その姿を。
それに、アレンの眼光は鋭くなる。
「おい」
「あ?」
「聖女をどうするつもりだ?」
「"たまたま"見つけた落とし物を拾っただけだろ? まっ、今から死ぬ奴に教えるわけにはいかねぇな。どれ。下に降りてやるか」
アレンの姿。
それを確認し、なおも動じないラグーン。
「地上へ向え」とドラゴンに命を下し、ゆっくりと降下していくドラゴン。
「俺はな、勇者。上の命令に従ってるだけなんだよ」
「上?」
「あぁ、そうだ。そういや、てめぇっ。ゴウメイをやっただろ?」
響く、ラグーンの声。
「どうして知ってんだ。って顔してんな。いいぜ、教えてやる。ただし」
「……」
アレンの瞳。
そこに宿る殺気。
「地上までてめぇが生きてたらの話だがな」
ラグーンの声。
それと呼応し、響く竜騎士たちの嗤い声。
「風の加護ごときで粋がるなよッ、アレン!! んなもんで、ドラゴンを倒せるとでも思ってんのか!?」
「たった一人でここまでやってくるとはなッ、命知らずにも程があるぜ!!」
アレンに向け、牙。或いは爪を突き立てようとするドラゴンたち。
だが、アレンはそれを瞬きひとつで返り討ちにする。
「風の加護を解除」
「「!?」」
途端。
ラグーン以外のドラゴンたち。
それが風を失い、地上へと降下していく。
それに、ラグーンはしかし動じない。
「流石、アレン。つぇぇな、おい」
「……」
言葉を発することなく、アレンはラグーンに歩み寄っていく。
風の加護。
それをかけた状態で。
そのおかげで、アレンは空に居ても風の影響を全く受けないで済む。
そのアレンに、ラグーンは向き直る。
そして。
「アレン。知りたいだろ?」
「……」
「どうして、あの野郎に。てめぇのパーティーメンバーが奪われたのか。何故安々とてめぇを裏切りたったの一夜で心を許したかを」
響く、ラグーンの言葉。
それに、アレンの足が止まる。
それを見つめ、ラグーンは笑う。
「やっぱり知りてぇか。本来ならあの野郎の口から言うべき捨て台詞だったてのにな。まっ、死人に口無しだ。俺の口から話してやる」
側に蹲る、マリア。
その震える聖女を一瞥し、ラグーンは続けた。
「奴は。ゴウメイは、な。使えたんだよ」
「……」
「てめぇや剣聖みてぇな立派な加護じゃねぇが、な」
響く、ラグーンの声。
同時に、アレンの拳が強く強く握りしめられていく。
ラグーンに対して。
そして、これから発せられるであろう言葉の続き。
それを待ち受けて。
執筆に集中したいので感想欄といいね!閉じました!! どうもすみません!! お寄せ頂いた貴重なご指摘やご意見。粛々と受け止めてこれから頑張っていきます!!




