↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/137

マリア③

「ゆ、勇者さま」


 胸を抑え、アレンの言葉に震えるマリア。

 そんなマリアに、アレンは続けた。


 片膝をつき。


 これまでの思い。

 それを闇で塗りつぶし、マリアの頬に冷たく触れながら。


「ありがとうな、マリア。お前のおかげで俺は人間の本質を知った」


「勇者様。わっ、わたしは」


「初めて会った時のあの気持ち。アレも全て偽りだった。あの温かくて、優しい気持ち。あれも全て、まやかしだった。ははは。そうだ、そうに。決まっている」


 淡々と声をこぼし、アレンはマリアの言葉に一切耳を貸さない。

 今更贖罪をしたところで。

 アレンの心に宿った闇。

 それが晴れることなどない。


 目から光を無くし、涙を流し続けるマリア。

 その姿。

 それは、思考を無くした人形そのもの。


「マリア」


 名を呟き、アレンはマリアの髪を撫でた。

 無機質な表情。

 それをもって、マリアを見据えながら。


 それに、マリアの胸の痛みが更に強くなる。


「ごめんなさい。ごめん、なさい。ゆうしゃさま。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


 届くことのない、謝罪。

 それを延々と繰り返し、マリアは頭を抱えて蹲る。


 "「マリア。その、世界を救ったらさ」"


 "「世界を救ったら?」"


 "「な、なんでもない」"


 "「勇者様。どうしたのですか? 顔が赤いですわよ」"


 "「そ、そういうマリアだって」"


 焚き火を囲み、頬を赤らめあったあの日。

 あの日のように、心から二人が笑える日はもう二度と来ない。


 震え、嗚咽を漏らすマリア。

 それを、アレンは見下ろす。


 立ち上がり--


「魔王(ガレア)様。先を急ぎましょう」


 そう無機質に声を響かせて。

 そんなアレンに、ガレアは静かに頷き応えた。


「お主がそれでいいのなら」


 しかし、そこで。


 震えるマリア。

 ガレアは、そのマリアを一瞥し更に声を響かせる。


「こやつはどうする?」


 心が壊れた、マリア。

 その永遠に謝罪を続ける聖女の処遇。

 それをガレアはアレンに問う。


「このままここに捨て置くというのなら、それでも良い。だが、人間(やつら)のことだ。この聖女を使い、なにか良からぬことを企むやも知れぬ。リリス。あの魔法使いのように、こちら側に引き込むというのも手ではあるが」


「魔王(ガレア)様ッ、勇者(アレン)様!! この糞はどのように!?」


「生意気にもまだ息をしてやがる!!」


「ワオーン!!」


 ガレアの声。

 それに呼応し響く、魔物たちの声。

 皆、ゴウメイの身体を足蹴にし或いは後ろ足で砂をかけアレンとガレアの「処刑」宣告を今か今かと待っていた。


 だが、ゴウメイは未だ諦めていない。


「た。たすけてくれよぉ、アレン。お、おれはまだ死にたくねぇんだ。そのマリアみてぇに。な? 命だけはたすけてくれって」


 それにアレンは手のひらをかざす。


 そして。


「てめぇは死んでろ。免疫の加護を解除」


「!?」


 瞬間。


 ゴウメイは大気に漂う細菌と病原菌。

 その全てに対する免疫を無くし、文字通りの無防備になってしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 免疫の加護いいな この世界の医療が思ったより進んでる、、
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。