進撃②
そんなマリアに、ゴウメイは苛立つ。
「おいッ、マリア!! てめぇッ、ここに来て怖気付いたわけじゃねぇだろうな!?」
「うぐっ」
女兵士の首。
そこに力をかけ、締め上げていくゴウメイ。
そんなゴウメイの姿。
それに、周囲の兵士たちは怒り立つ。
「貴様ッ、なにをやっている!?」
「さっさとその人を離せ!!」
「さもなければ--」
眼光。
それを鋭くし、剣を抜いていく兵士たち。
だが、ゴウメイは動じない。
「うるせぇッ、こいつを解放してほしいなら転移の翼を寄越せ!! 言っておくッ、俺は本気だぜ!!」
めきっ
「……っ」
女兵士の顔。
そこから消えていく、生気。
「もって後数分と言ったところだな。はははッ、おら!! はやくしねぇと--ッ」
だが、そこに。
突如として、床に現れる六芒星。
そして、その中から姿を現したのは--
「ねぇっ、わたしリリス。魔王様の命を受けたウンディーネさん。そんな彼女から一足先にここに行ってきてって言われてきたの」
漆黒のローブに、赤色の双眸。
そしてその小さな体躯から闇をたぎらせる、幼い魔法使い--リリスがその姿を現す。
その闇を纏うリリスの姿。
それに兵士たちは息を飲み、一斉に距離をとる。
まとわりついた闇。
それは明らかに常軌を逸していたから。
「〜〜♪」
鼻歌。
それを楽しそうに響かせる、リリス。
そのリリスの姿を見据え、ゴウメイはしかし余裕を崩さない。
「リリス? リリスじゃねぇか? た、助かったぜ」
リリスの様子。
それは明らかに違う。
だが、一夜を共にしたリリスが相手となればすぐに手駒にできる。
そう、ゴウメイは踏んでいた。
「な、なぁ。リリス」
「んー?」
「お、俺のこと覚えているよな」
「んー? うーん?」
ゴウメイのにやけ面。
それを、小首を傾げ見つめるリリス。
「俺だよ俺。宿屋のゴウメイ。あの夜、一緒に楽しんだ仲じゃねぇか。わ、忘れちまったのか?」
刹那。
リリスの表情。
そこから笑顔が消える。
そして、響く声。
「なんだ、オマエ」
「えっ?」
「鬱陶しい」
ちいさな手のひら。
それをかざし、リリスは呟く。
「潰れろ」
瞬間。
ぶちぃッ
「ぐぎゃぁぁ!!」
ゴウメイの股間。
そこに向け放たれた、闇の意思。
それにより、ゴウメイの股間は文字通り潰れてしまう。
解放される、女兵士。
そして、よろけ。
顔いっぱいに汗を滲ませ--
「……っ」
股間を抑えながら、ゴウメイは逃げようとした。
だが、更に。
「勇者様と、魔王様。そのお二人がこられるまで、殺しはしない」
リリスはゴウメイを闇の力で束縛。
「ぐっ、そ。ぅ、動けねぇ」
全く身動きがとれない状態。
それにゴウメイはなってしまう。




