リリス②
賢さ0。
それが意味すること。
それは即ち--
「あ、アレン。今何をしたの?」
どこかおかしくなった自分の頭。
しかし身体のどこにも異常はない。
リリスはそれに安堵し、再び声を張り上げた。
「ねっ、ねぇ。助けてよっ、アレン!! こ、こんなにたくさんの魔物に囲まれちゃったわたしっ、可哀想だと思わない? と、ところで魔物ってなに?」
胸の前。
そこで手を合わせ、リリスは同情を誘おうとした。
だが、賢さ0の影響。
それが現れはじめる。
「と、ところで。みんな」
キョロキョロと辺りを見渡し--
「わたしの為にこんなに勢揃い。パーティーでも開いてくれるの? な、なら。ジュースを用意してくれない? わ、わたしお酒は飲めないの」
とんでもないことを言い放つ、リリス。
「や、野外パーティーも中々楽しそう。と、ところでパーティーってなにをするの? 料理はこのおいしそうな草と砂でどうかな? うふふふ。な、なんだか楽しくなってきちゃった」
蹲り。
リリスは地面を弄り出す。
そして更に響く賢さ0の歌。
「こ、こんばんは雑草さん♪ お砂さんもお元気そうですね♪ わたしはリリス♪ わたしはリリス♪ 魔法使いのリリスさん♪」
その歌声。
それを聞きながらも、魔物たちの殺意は決して衰えない。
皆、リリスに照準に合わせいつでも攻撃できる態勢を整えていた。
「……」
無言で、リリスの元へと歩み寄っていくアレン。
その瞳。
そこには、リリスに対する情は欠片もない。
「魔物たちに賢さの加護を付与」
呟き、魔物たちの知能レベル。
それを賢者並みに引き上げるアレン。
それが意味すること。
それは--
魔物たち全員が人間以上の知能を有し、あらゆる分野において人間を上回ることを意味していた。
鍛治。
商売。
その他のありとあらゆる、分野。
その分野で魔物たちは人間を上回り、自分たちでなんでもこなすことができてしまう。
「す、すばらしい」
「ワオーン!!」
「魔物たちの時代がやってきた!!」
響く魔物たちの歓声。
ガレアもまた自身の知能。
それが引き上げられたことを実感し--
「この知能レベルならば。ふむ、新しい魔法でも創れてしまいそうではないか」
そう声を漏らし、アレンの加護。
その凄まじさを改めて思い知ったのであった。
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