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魔眼②

響いたそのガレアの声。

それに、アレンは仰ぎ見た。


「今ッ、お主の為すべきこと!! それはーーッ」


バロールを滅すること」


ガレアの言葉。

その続きを呟き、バロールはガレアの背後へと現れる。

一切の気配。一切の音。それさえも発することなく。


ガレアの影。

そこから身を現し、闇に濡れた手をもってガレアの頭を掴むバロール。

そして、嗤う。


魔王ガレア。今やオマエはアレンの心の拠り所。セシリア、亡き今。オマエの存在がアレンにとって最後の砦。だとすれば、ここでオマエを滅すれば」


瞬間。

バロールは、見た。


こちらを見据える、アレンの眼差し。

そこに宿る、漆黒の瞬きを。


「離せ」


倒れ伏した、セシリア。

その瞬間を思い出し、アレンは言葉を紡ぐ。

涙を拭いーー


「ガレアを離せ」


と。


そんなアレンの言葉。

バロールはそれを一蹴しようした。

だが、アレンはソレを許さない。


「離せと言っている」


言霊の加護。

それを発現し、更に濃く自らの心を闇に染めていくアレン。

セシリアの真紅の加護。それを飲み込み、アレンは負の感情に身を委ねる。


心の中に浮かぶ、セシリアの笑顔。

その温かな真紅に彩られた思い出を、暗く黒く塗りつぶすかのようにして。


みしっ


言霊の加護。

その力により、バロールの手にヒビが走る。

そして、時をおかずパラパラとまるで砂のようにバロールのガレアを掴んだ手が粉末となり風に流れていく。


同時にその場に伏し、ガレアはアレンの姿を見つめる。

微かに身を震わし、「アレン」と小さく名をこぼしながら。


そんなガレアを意にとめず、バロールは嗤う。

アレンを見つめーー


「良い。その姿、実に」


「存在の加護。オマエの存在を解除する」


めきっ


バロールの全身。

そこに走る、亀裂。


だが、バロールの笑みは崩れない。


「委ねよ、その闇に。その歪な感情に」


己の魔眼。

それを見開き、バロールはアレンに力を行使しようとする。

視線を固定し、「破壊」と呟かんとした。


刹那。


「創造の加護」


「射出の加護」


「速さの加護」


揺らめく闇。

その中より創造されし、2本の短剣。

それがバロールの両目に向け射出される。


その速さ。

それは瞬きの間さえもバロールには与えない。


そして穿たれる、魔眼殺しの短剣。


ぐちゃっ


と音を響かせ、バロールのその身が僅かに後ろに逸らされる。


だが、アレンは止まらない。


一歩、その足を前に踏み出しーー


"「おね……さんは。ずっと、アレンくんの」"


セシリアの最後の言葉。

それさえも闇で塗りつぶし、アレンは力を行使していく。

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