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始まり。

ある夏の日、太陽の光が眩しく入ってくる窓の外から大きな声が聞こえる。

そんな声を目覚ましに俺は目を覚ました。声の相手は妹の友達だろう。名前は知らないが、よくうちの前まで妹を迎えに来て大きな声で喋っているところを何度か聞いたことがある。

去年この家に引っ越して来たときはいつも一人でいた妹を見るのは少し心が痛かったが1,2ヶ月で友達を作ったらしく遊びにいったり家でお泊りなど、この一年楽しそうに過ごしていた。

そういえば今日から友達とキャンプに行くと言っていたような気がする。そんなことを思っていた途端部屋のドアが空いた。

「お兄ちゃん!! 今から行くキャンプ付いてきて!! もうみんな下で待ってるから10分できてね!!」

「え、、おい、、」

行ってしまった。我が妹ながら慌ただしいし強引だし、なんだか、、

「はぁ、、」

ため息を付いてから準備を始めた。ああなった妹はもう止まらない。そう知っていた俺はいやいや準備を始めることにした。確か一泊と言っていたのでそんなに荷物はいらないだろう。リュックに最低限のものを詰めて家の外に向かった。

外に出ると妹を含め男3人女3人の計6人の高校生がいた。

「もう! お兄ちゃん2分遅刻!」と俺に罵声を上げたあとみんなの方にふりむいて「さあ!いこう!」といって先頭を歩いていった。そんな妹のあとに続いてみんなが歩き始めたときふと俺の隣にそっと近づいて来た女の子がいた。

「すみません。急についてくることになってしまって。私の兄がついてくる予定だったのですが最近調子が悪いのか様子がおかしくて。今日も声をかけたんですけど返事がなくて、、」

申し訳無さそうにうつむきながら横を歩いていた。すると急にこちらを向き目が合った。

「あ自己紹介がまだでしたね、私、沙耶香さやかちゃんと同じクラスの神田未来月(かんだみくる)です。」

顔を見ると目がくっきりしているがどことなく落ち着いた雰囲気であーモテるんだろうあーなんて思った。

「いやいや、予定もなかったし大学も夏休みなのに夏らしいことができてなかったから別に大丈夫だよ。」

笑顔で返した。本当はクーラーの聞いた部屋でゴロゴロしたかったと言うのは心の中にしまっておこう。

「ところでこれはどこにむかってんの?」未来月ちゃんに聞いてみると

「レンタカーを借りに行くんです。結構な山奥のファミリーキャンプ場のコテージを借りれたのでテントとかはらなくて楽なんです。いつもは電車で言ってたのですが今回はお兄ちゃんが運転してくれるってことだったので、車で行こう!ってことになって、でも運転できる人がいなくなっちゃったので電車で行こうかと言たんですが、沙耶香ちゃんがうちのお兄ちゃんを連れて行こう!どうせ暇だろうし!って言ってお兄さんを呼びに行ったんです。 聞いてませんでした?」

聞いていない、何なら何が必要化なども聞かされていない。どうやら俺はこの後運転もしなければならないようだ。

「あいつせっかちだから部屋に来て「荷物まとめてこい」だけいわれたよ。」

なんて話をしていたらレンタカー屋さんに着いた。丁寧に8人乗りの車が一台用意されていてこれかーと思った。 免許を持っている俺がお店の中で手続きなどをしている間に妹たちは近くのコンビニに行って朝ごはんやなんやらを買っていた。なんで俺がレンタカーの料金を払っているんだか、、まぁいいか

手続きが終わり車の方に向かうと外で沙耶香が待っていた。ぶっきらぼうにコンビニ袋を渡して

「今日のお駄賃、急だったのにありがとね。」

中には俺の好きな飲物やおにぎり、グミが入っていた。俺はグミに目がない小さな時の夢はグミをお腹いっぱい食べる!だったくらいだ。沙耶香なりの愛情表現だと知っていたので受け取り

「ありがとな」とだけ返した。

車に乗り込みキャンプ場までの道のりをナビに設定して出発した。


車内では道中最近若者の中で流行っているのであろう曲が流れ、みんな楽しそうにしていた。出発してから1時間くらい経った頃だろうか男子の一人が

「お兄さんなんていうんすか?」と後ろから聞いてきた。俺は答えようとすると

陽太(ひなた)だよ!」と沙耶香が自信満々に答えた。なんでこいつは自慢げなんだ?てかなんでこいつがこたえるんだ?考えてもしょうがなかったので軽くうなずいでかから運転していると

「へー」と興味のなさそうな返事が帰ってきた。そっちがきいたんやないかいと内心思っていると、さっき名前を尋ねてきた男子が自己紹介を始めた。

「俺は、小芝洋介こばやしようすけっす。んでメガネのやつが佐々木風磨ささきふうま、音痴でずっと歌を歌ってるやつが山本斗真やまもととうまっす。」

俺はバックモニター越しに顔と名前を一致させていた。

「私は、遠藤りらです。よろしくお願いします。陽太さん!」

一番うしろに座っていた女の子がひょこっと顔を出してきて名前を教えてくれた。いきなりの名前呼びに少しドキッとしてしまったが、同じ苗字の妹がいるのだから自然なことなのだろう。

少し動揺しながらも深呼吸をしてハンドルを握り直した。その後は高校生同士楽しそうに会話をしていた。ただ一人を除いて


キャンプ場につき係員さんとの手続きをしている途中、事務所の窓越しから自分たちが泊まるコテージと車が見えたので眺めていた。高校生たちは自分の荷物などをコテージの中に車から移動していた。重いものは男子たちが率先して運んでいるのを見てはえ~と感心していると手続きが終わったようで係員さんからキャンプ場の注意書きを書いた紙を一枚渡された。俺はそれを受け取り皆のもとにむかった。


注意書きには以下のことが書いてあった。

・当キャンプ場での貴重品の損失などは一切の責任を負いません。各自きちんと保管してください。

・BBQなどで火を使うことは可能ですが花火や爆竹など近隣に迷惑のかかることは禁止します。なお花火に関してはキャンプ場入り口に専用のスペースがございますのでそちらをご利用ください。(ロケット花火禁止)

・事務所向かいにある温泉は無料です。外に30分置きの紙が貼ってあるのでご都合のよい時間に名前と当紙上部に記載されているスペース番号をお書きください。連続での利用は1時間までです。間を開けた場合一組三回までご利用いただけます。なお夜の22時から24時まではフリーでのご利用が可能です。他のお客様と混浴になる可能性がございますのでお気をつけください。

・トイレは風呂の横にあります。


以上の注意書きを読み終え皆に説明していると女子たちはすでにお風呂の予約に向かっていた。そういえば普段から利用していると言っていたのでなれたものなのだろう。始めてきたのは俺と沙耶香だけか。


車から荷物を運び終わった頃には時刻は16時を回っていた。みんなでBBQの準備をしていると人数が少ないことに気づいた。男子がいない。

「男どもはどこいったの?」と女子たちに声をかけると、

「どうせ近くの川だと思います。いっつもこのタイミングだけいなくなってご飯ができると戻って来るんです。今回もお肉の匂いがしてきたら勝手に戻って来るとおもいますよ。」と呆れながらりらが教えてくれた。

まあ高校男児なんてそんなものだろう。それにしても近くに川もあるのか、まさにキャンプ場になるためのような場所だな。

しばらくして、肉を焼き始めBBQを始めると洋介と斗真が水浸しで帰ってきた。

「ふたりとも風邪引くから早く着替えな! あれ風磨は?」とりらが言うと

「ごめんごめんトイレによっててさ」とあとから風磨が帰ってきた。

「足先だけ入ってお腹痛くなってトイレ行ったんだよな。戻ってきたと思ったら俺らはもう腹が減っちゃって川を引き上げてきたんだ。そしたら帰り道でまた腹が痛いとか言い出しやがって~。昨日拾い食いでもしたのか~?」とからかいながら洋介が言っていた。

お前らは濡れ過ぎだ。と心のなかで突っ込みながら

「さあ、お肉も焼けたしBBQにしよう!その前に二人は早く着替えてこい!」と声をかけた。


BBQも食べ終えみんなで火を囲み椅子に座っていると時刻は19時を回っていた。そろそろ風呂の時間だ。

先程お肉を食べながら男子と女子どっちが先に入るかじゃんけんをしていた。3対3の勝ち抜き戦らしい。代表者がじゃんけんすればよくね?なんて思っていたが高校生の楽しみをゴタゴタいうのはあれなので楽しそうにしている様子を見ていた。 ちなみに女子の圧勝だった。男子は一人も勝てずにまけていた。弱すぎるだろ。

女子たちがお風呂に行き男子のみの時間となった。

「で、今回こそ言うんだろ!風磨!」と洋介が言った。

「..........」黙り込む風磨

「何を?」と俺が聞くと「こいつ、未来月のことが好きなんすよ!毎年毎年星空の下告白するんだ!とか言ってるくせに当日になるとお腹が痛いだの頭がいたいだの色々言い訳して結局ここまで来ちゃって。」と洋介が教えてくれた。聞くと風磨と未来月は幼稚園からの幼なじみらしい。

「今回はもう呼び出しも予めしてあるんだ。22時30分に花火ができる場所まで来てほしいって。」と風磨が言うとふたりは「おーーーーー!がんばれよ!」と風磨を励ましていた。そのためとき使うために買ったであろう二人用の花火セットを高々と風磨は掲げていた。よく見ると打ち上げ花火が数種類と線香花火が入っているセットだった。

「それ、線香花火しかできないよ?」と俺が言うと風磨は顔を真赤にして「線香花火だけやるよていだ..たんです......」とどんどん小さくなっていった。全員爆笑してしまった。「まあ線香花火も風情があるしいいじゃんか」とフォローをすると

「男子ー!お風呂いいよー!」と女子が歩いてきていた。時刻は19時45分。

「あと15分しか時間ねーじゃん」と斗真が言うと「女の子はお風呂にじかんがかかるの!」と沙耶香が楽しそうな笑顔で返していた。

「俺は23時過ぎのフリーの時間に行くから行っておいで」といい男子たちを送り出した。たしか次の人の予約が21時だったと思うので少しくらい遅れても平気だろうと声をかけておいた。散々川で遊んだのだから風邪をひかれても困るしな。一人後で本番を控えてるやつもいるし。

女子たちは帰ってきたあともコテージにこもって化粧水やら乳液やらなんやらとアフアーケアをしていた。キャッキャと楽しそうに話している姿はとても微笑ましかった。青春っていいなーなんて思っていた。


時刻は21時過ぎ、都会では見ることのできない壮大な夜空が俺たちの上に広がっていた。

星空を見て星座の解説なんて全くできないほど星に興味などなかったがそんな俺でもあまりの綺麗さと感動で涙腺が少し緩んでいくのがわかった。感動で人って泣けるんだなと一人で外に座りながら黄昏ていた。一方子供たちはコテージの中でウノやら人生ゲームやら皆で持ち込んだであろうゲームで楽しんでいた。中から楽しそうな笑い声が聞こえた。

一人立ち上がり、トイレに行くことにした。中の奴らには伝えなかったがまぁ大丈夫だろう。暗い道を進みトイレに向かう。道中懐中電灯の光が反対側から歩いてくるのが見えた。逆光のため相手の顔は見えず近づいたときにチラ見をしようとしたがパーカーを着てフードを深く被っていたため相手の顔を確認することはできなかった。いくら夏といえども山奥のキャンプ場の夜ということもありパーカーを着ていることに違和感をおぼえることはなかった。

その後トイレで用を済ませ戻ろうと思ったとき自分が持ってきていた懐中電灯の電池が運悪く切れた。最悪だ。ケータイもバックの中においてきてしまった。トイレの周りは流石に外灯があり明るいが、コテージまでの道は真っ暗に等しかった。一寸先は闇とはよくいたものだと思いつつ着た方角へ進んでいくことにした。一本道なので迷うことはないだろう。

少し歩くとまた前から懐中電灯の光が見えた。その光のおかげで少し道が照らされていて助かった。対面から歩いてきたのは沙耶香だった。

「お兄ちゃんライトも持たないでどこ行ってたの?」

「トイレだよ。懐中電灯の電池が切れちゃってね」

「じゃあ私もトイレ行きたいから付いてきて!道が暗くて一人は心細かったんだ!」とまた強引に連れて行かれた。さっき通った道をまたもどるのか。なんて思っていた。


妹と戻り時間を確認すると時刻は23時になろうとしていた。意外と星をボーッと見ていた時間が長かったのだろう。コテージには例の二人の姿はなく残った三人がニヤニヤしながら寝る準備をしていた。ああ、今頃線香花火をしながら告白してるんだなぁ。青いな。なんて思っていた。俺は風呂がまだだったので風呂に向かった。風呂につくと少し先に線香花火の淡い光が2つ見えた。邪魔しちゃ悪いと思いすぐ風呂に向かった。

風呂を済ませてコテージに戻るとみんなシーンとした空気でなにか気まずい雰囲気が漂っていた。すべてを察した。しかし人数が一人少ないことがわかった。

「未来月ちゃんどこいったの?」と自然な雰囲気を作りながら尋ねると、

「考え事があるって戻ってきてないんです。」とりらが言った。どうやら風磨と二人で出ていったあとから戻ってきていないらしい。告白の返事でもかんがえてるのかななんて思っていた。このときちゃんと探しに行けばよかったと後々後悔するとは微塵も思っていなかった。


俺が戻ってから30分が過ぎようとしていた。未来月はまだ戻ってきていない。

「おれ未来月探してくる」風磨が言った。たしかにあまりにもおそすぎる、聞いたところによると俺が戻ってくる15分まえに風磨は戻ってきたらしい。45分も戻ってない。

「流石に外は暗いから俺が見てくるよ」というと風磨はあからさまに嫌そうな顔をした。

「ここで俺がいかなきゃだめなんです!!」とものすごい顔で迫られたので二人で探しに行くことにした。残りの奴らもソワソワしていたが寝ているように指示をし俺は風磨と二人でコテージを出た。


「俺、振られたんです。告白したあと風磨のことはそんな風に見れないって言われて。でもなんかすごく寂しそうな顔をしてたんですよ。未来月、あのとき泣いてた気が」

おれは返す言葉が浮かばづ、話を聞くことしかできなかった。

「考え事があるって言われて戻ってこないってりらが言ってたんですけど、あれ嘘なんです。俺が振られてその場から逃げ出しました。すぐに少ししたらもどってくるだろうと思ってコテージと花火できるところの中間らへんで待ってたんです。懐中電灯は俺が持ってきちゃったので流石に振られたとは言え女の子を暗い道一人で通すのは男がすたると思ったので....」

男がすたると思うなら振られたからって逃げるなよと思っていた。

「でもなかなか戻ってこなくて未来月を迎えに行こうと道を引き返したら未来月もういなくて...」

「!?」その発言で嫌な予感が体の全身が駆け抜けた。

「おまえあの時間に女の子一人にして探しもしなかったのか?」と風磨に問うと

「なんだか気まずくて...」

「バカ、もっと早く言え!」

俺は風磨を引っ張って走り出した。案の定花火場には未来月の姿はなかった。

「一回戻ろう。」と風磨にいい駆け足でコテージに戻った。コテージにつくと四人は異様な空気に包まれていた。

「なにがあった?」と聞く

「未来月の荷物の中から手紙とケータイが出てきて。そのケータイがさっきからずーーーとなりっぱなしなんです。あいては非通知だし、勝手に出るのも悪いなって思って」洋介が言った。

俺は手紙とケータイを受け取った。ケータイは鳴り止んでいた。手紙の裏を見てみると名前がかいてあった。

「柊 陽太様へ」 俺宛?

中にはちいさなメモ一つ

「  た  す  け  て  」

次の瞬間手に持っていたケータイが鳴った。



近いうちに続き出します。

初投稿、初執筆なのでご容赦お願いします。

何かあればご教授ください。

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