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6,佐伯楓、嫌がらせの達人。

 


 改めて、楓さんが再生するのを観察しておく。

 微妙だなぁ。僕の仮説が正しいかどうかなんて、ここで一回くらい殺しても分からないよね。


 早苗さんが《影跳躍(シャドウ・ジャンプ)》で配置につくまで、楓さんの注意でも引いていよう。


 楓さんは僕を指さして、ニッコリした。


「はいイコ君、キミの負け確定」


「お姉さん。そういう決めつけは良くないですよ。僕も幼いころ、レタスと決めつけてキャベツを買ったことがありますけどね。決めつけは良くない」


「あのねイコ君。キミはまず、ボクじゃなくてこっちの男を殺すべきだったんだよ。まぁボクがそうはさせなかったけどね」


 そう言って、楓さんがお隣の甲山さんを示す。

 ふむ。楓さんの勧めに従って、甲山さんを先に殺しておこうか。


自爆セルフプレイ》しようとして、はじめて封じられていることに気づいた。


「楓さん。《スキル封じ》なんか持ってましたっけ?」


「ボクは持ってないよ」


 ああ、なるほど。

 甲山さんが媒介者となって、他人のスキルを楓さんに貸与しているのか。

 だけど無制限というはずがない。


 僕の疑問を読んだようで、楓さんが言う。


「説明してあげようか。甲山の《媒介(ミーディエーション)》が機能するのは、周囲500メートルまで。500メートル以内にいる『契約』した最上級国民のスキルを、ボクは甲山を介して使いたい放題なのだ」


「すると、すでに500メートル以内に複数の『契約』した人たちを潜ませているわけですね」


 なら、甲山さんを殺せば済む話だけど。

自爆セルフプレイ》は使えないし、甲山さんは《地獄神ヘル・ゴッド》の射程外にいる。僕の移動速度は、遅いしなぁ。


 そこで《一心同体(Iyou)》を発動。同時に自分の脳をドリルビットで抉ろうとした。成功したら、甲山さんの脳も抉れてわけだけど。


 まぁ当然ながら、楓さんの《神殺し(レジェンド)》の一ひねりで邪魔される。

 僕が自壊する前に、《神殺し(レジェンド)》で心臓を抉りだされて、僕は死んだ。


 それから《殺しようがない(ザ・インビンシブル)》で再生。


「イコ君。ボクが勧めたからって、甲山くんを殺そうとしちゃダメだなぁ」


「お姉さん。《自爆セルフプレイ》を封じられても、不便というだけですよ」


 僕が楓さんの注意を引いているうちに、早苗さんが着実に接近していた。

 そしてついに、楓さんの影に滑り込む。


 よし。早苗さんが、楓さんの影の中に入ってしまえば、あとはこっちのもので──


 瞬間。

 楓さんの影から別の女が現れて、早苗さんを《影槍(シャドウ・ランス)》で刺し貫いてしまった。


 その女が、早苗さんを大地に串刺しにする。

 早苗さんは苦鳴を上げるも、致命傷ではない。


「……早苗さんになんてことを。せっかく退院したばかりなのに」


 楓さんが僕に抱きついてくる。


「てかさ、影女の対策くらい講じているよね? キミ、ボクのことを舐めすぎだよね?」


 早苗さん対策に、同じく影系スキルを使える手下を忍ばせていたのだね。


 これは正直、してやられた。


「ちょっとお姉さん、どいてくださいよ。早苗さんとは温泉旅行に行く予定があるんですから」


 楓さんのくびをドリルビットで穿つ。血が噴き出すが楓さんは意に介した様子もなく。

 僕の肩に、『荷札』を貼り付けてきた。


「なんですか、これ?」


「ばいばい、イコライザー君。キミね、ボクとの相性が最悪だったんだよ」


 刹那。

 なんか強制的に空間転移させられた。


 気づいたら真っ暗なところで、寝っ転がっていた。

 起き上がろうとして頭をぶつける。手足を伸ばそうとしても、すぐに妨げられる。


 よほど狭い場所にいるらしい。

 スマホのライトをつけてみたら、5センチ先が天井だった。そこに便箋が貼り付けてある。


 そして楓さんの手書きのメッセージが書かれていた。可愛い字だね。


『どうもイコライザー君。

 キミがこれを読んでいるということは、ボクの計画が成功したようだね。キミは《配達(デリバリー)》というスキルで、そこに飛ばされたんだよ。

配達(デリバリー)》は、事前に指定したポイントまで、強制転移させるスキルでね。あ、転移は片道のみだからね』


 ははぁ。楓さんが貼り付けてきた『荷札』。

 あの『荷札』は、ただの荷札ではなく《配達(デリバリー)》が具現化したものだったんだね。


配達(デリバリー)》の『荷札』を貼り付けた人間を、強制的に空間転移させてしまうと。

 もちろんこの《配達(デリバリー)》も、《媒介(ミーディエーション)》したスキル。


 それで僕は、どこに空間転移させられたんだろ? 


 メッセージはまだ続いていた。


『いまキミが閉じ込められている〔棺〕はね、実は生命維持の機能があるんだよ。だからね、イコ君。ぜっーーーーーーーーーーーーーーーーーたいに、その〔棺〕から出ちゃダメだよ』


 うーん。出るよね、普通。


地獄神ヘル・ゴッド》で〔棺〕に穴を開けたとたん、内部の空気が一気に吸い出された。うん?

 ついで〔棺〕の蓋が勝手に開く。


 僕は〔棺〕の外に出て、すぐに死んだ。


 死んでから再生したけど、またすぐに死んだ。

 なぜか、ここには大気がない。大気がないので酸素不足ですぐ死ぬ。


 再生するたび死にながら、周囲を確認してみた。

 まず僕がいるのは荒れ地。


 そして地球が見えます。

 地球が……


 すると、ここは月面かぁ。

 

 ……楓さん、嫌がらせの達人。


 とりあえず真空でも、人体は爆発しないみたいだね。残念。爆発してくれれば完全再生で、地球に帰還できたのに。

 

 ところで地球は青かったよ、美弥!


 また死ぬ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] これはまた死んでいるとみなされるパターンですかねえ
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