2,イコライザーの攻略法を教えましょう。
──佐伯楓の視点──
『オイシイ堂』で人肉を購入した楓は、帰路の途中で葉島小夜に連絡した。
自邸に入ると、すでに葉島小夜が到着している。
「や、呼び出して悪かったね葉島ちゃん」
「とんでもございません」
楓はキッチンに行き、フライパンを出した。人肉を取り出し、叩いて厚さを同じにしてから、格子状の切れ込みを入れる。
美味しさの秘訣は、焼く前に塩とこしょうを振りかけておくこと。
「葉島ちゃん、ついにキミの眼球の仇を討つときが来たよー」
葉島小夜が身をこわばらせる。
「では、イコライザーとその妹を?」
「そうそう。イコ君と妹の猫娘を殺しちゃおう。殺るときは徹底的に殺るボクだからね。兄妹だけじゃなくて、仲間も皆殺しだ。
小梨祐一、東浦早苗、潮崎佳奈。
人間だったころの住所は特定してあるんだからね。なにも、ダンジョンにいるとき襲うこともない。自宅で寝込みを襲おう。家族も近所の連中も、殺しまくろう。わーお、愉しくなってきたね!」
「はぁ」
「話は変わるけどさ、葉島ちゃん。《スキル封じ》のスキルは知っているよね?」
「はい。敵が《スキル封じ》を持っていると、こちらのスキルが封じられてしまいます」
「うん、《スキル封じ》を持っている最上級国民は少なくないよ。だからかな、対策も簡単でね」
「対策ですか?」
「そう。保護スキルで、プロテクトをかけておけばいいんだよ。
たとえば故・雲林院御影くんだったらね、《時間支配》にプロテクトをかけていたのさ。それで《スキル封じ》から、大切な《時間支配》を守れていた」
「では楓さまも?」
「もち。《残機無限》にプロテクトをかけてあるよ。そして──イコ君は保護スキルを会得していないので、プロテクトはかけられない。これは確実さ」
「ではイコライザーの《殺しようがない》を封じることができれば──」
「ボクのところに来た報告では、イコ君はすでに戦っているよ。《スキル封じ》を持った最上級国民とね」
葉島小夜は不可解そうに言う。
「でしたら、その最上級国民は《スキル封じ》で《殺しようがない》を封じなかったのでしょうか? 封じる前に殺されたとか?」
「ううん。《スキル封じ》は使ったようだね。けどイコ君の《殺しようがない》が勝ったのさ」
葉島が理解できていないようなので、楓はさらに説明した。
「《スキル封じ》が効力を発しているのは、イコ君が死ぬまでだからねぇ。死んでから発動する《殺しようがない》にとって、《スキル封じ》は意味がないのさ」
楓の《残機無限》にも同じことが言える。それでも楓は大事をとって、プロテクトもかけてあるわけだ。
「楓さま。失礼ですが──イコライザーを殺せるとは思えないのですが?」
「そうだね」
楓はあっさりと認めた。
当然、葉島は驚く。
「え?」
「けどね、殺したのも同然にはできる。どこかに永遠に閉じ込めることはできる。たとえば鋼鉄の棺に入れて、地下1キロの土中に埋めることはできるよね」
「いえ、それは失敗に終わるかと。イコライザーには《自爆》というスキルがあります。棺に入れて土中に閉じ込めても、イコライザーは《自爆》するでしょう。
そして跡形もなくなってから、《殺しようがない》で地上に完全再生するのです」
そこまで話してから、葉島はハッとした。
「まさか、そんな簡単な方法で──?」
「そう、手順さえ明らかにすれば簡単な話さ。《スキル封じ》で封じるのは、《殺しようがない》じゃないわけ」
「封じるのは、《自爆》のほうなのですね」
「イコ君はただ死ぬだけじゃ、別の場所で完全再生はできない。ただ死ぬだけじゃ、その場で再生するだけ。
別の場所で完全再生するためには、跡形もなく消し飛ぶ必要がある。そのための《自爆》なのさ。
イコライザーが化け物じみて強いのは、《殺しようがない》だけではなく、《自爆》も持っているから」
「その《自爆》さえ封じてしまえば──」
焼きあがった人肉ステーキを皿に移しながら、楓は断言した。
「イコライザー君、敗れたり~」
★★★
──主人公の視点──
「くしゅん」
僕がくしゃみすると、そばにいた美弥が言った。
「誰かに噂されているわね、兄貴」
「僕がどんなに働き者か噂しているに違いないよ」
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