6,お給料は?
ダンジョンに必要なものとは何か。
それは『場所』と『モンスター』、そして『心意気』であります!
ふむ。『心意気』は溢れているけど、『場所』も『モンスター』もそろっていない。
まずは『モンスター』集めだ。
美弥、早苗さん、小梨くん、カナさんは決定済みでいいよね。しかしダンジョンを運営するなら、もっと仲間が欲しいところ。
そこで第50階層に向かった。このモンスター都市の中心部には、黒板とチョークによる古風な掲示板がある。
さっそく書き込もう。
『新しいダンジョンを始めまーす。熱い心意気を持った仲間、大歓迎! 詳しくは第656階層のイコライザーまで』
その後、第656階層に行くと、ララさんと阿修羅さんが昼食を取っていた。第50階層にある飲食店から、ダンジョン版ウー〇ーイーツで配達してしもらうのだ。
「阿修羅さん、退院されたんですね」
阿修羅さんはハッとして立ち上がり、敬礼してきた。
「これはイコライザー様、おはようございます!」
「おはようというか……もうお昼ですよね、出勤が遅れてすいません」
「あ、そんな皮肉とかではありません! 申し訳ございません!」
なんか前よりひどくなっているような。
「阿修羅さん。僕はあなたの部下なので、そんな敬語とか使われても困ります。敬礼もやめて」
「とんでもございません! かの〈時の支配者〉雲林院御影を倒されたイコライザー様に、そのようなご無礼を働くなど!」
「……まぁ、阿修羅さんがそれでいいのなら」
「はっ! 有難き幸せ!」
「……サラダもらえます?」
サラダをいただきながら、僕は起業する計画を話した。
「まだ本決まりではないんですけどね。ただ人生のプランは複数あったほうがいいですし」
ララさんが、なぜかしなだれかかってくる。食べづらいんだけど。
「イコライザーさん。わたし、そっちに移籍してもいいかも。どうかな? 移籍して欲しい?」
「ララさんなら大歓迎だよ」
飛べるモンスター大歓迎。
「本当~? 嬉しいっ! ところでイコライザーさん、あの……こんなことを聞くのは失礼かもしれないんだけど」
「なんでも聞いてよララさん。遠慮することはないんだから」
「お給料はどれくらいなの?」
「……」
僕は《地獄神》を召喚し、自分で自分の頭を打ち抜いた。
「えぇ! イコライザーさん、いきなりどうしたの!?」
完全再生してから、僕は白状した。
「ララさん。僕は自分が恥ずかしいよ。モンスターたちに支払う給料のことを、いっさい考えていなかったなんて。借金苦だった昔──バイトの時給が10円上がるだけで歓喜していたあのころの僕が、いまの僕を見たらなんというだろうか。
ところで、皆さんはいくらもらっているんですか?」
僕や美弥は、いまだに成功報酬でもらっているし。
「うーん。配属先の階層にもよるけど──平均月収は35万ボルくらいかしら」
ボルというのはダンジョン内で流通している貨幣で、価値は円とほぼ同じ。つまり、平均月収が35万円かぁ。
僕もダンジョンを経営し始めたら、それくらいは部下に支払わないとだよねぇ。
ところで【無限ダンジョン】は、モンスターの給料をどこから捻出しているんだろ? このダンジョン、入館料とかないし。
いったい資金源はどこ?
「【無限ダンジョン】って、どこで利益を出しているのかな? お金はどこから来るんです?」
僕の疑問に対して、ララさんと阿修羅さんは顔を見合わせた。それからララさんが言う。
「そんなこと、考えたこともないけど。重要なことかしら?」
うーん。【無限ダンジョン】の資金源を辿ると、どこかの暗部に行きつきそうだ。こんどオリ子に聞くとして、今は話題をそらしておこう。
「……僕のダンジョンの資金源は、どうしようかなぁ」
「イコライザーさんは雲林院家一族を潰したわけよね? それなら、そこから出るんじゃない?」
「え?」
「つまり、雲林院の資産を横取りできると思うんだけど? ほら、一族郎党が皆殺しじゃ、相続する人もいないわけだし」
なんという名案。
僕は、ララさんの肩をがしっとつかんだ。
「ララさん。君はいまから、財務大臣だ」
気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。




