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4,【取締役会】の皆さんです。

 


 ドリルビットを抜くと、バルバロさんの脳味噌がこびり付いていた。


 バルバロさんは玉座の上で激しく痙攣しながら、息絶えようとしている。その口から、長~い舌をだらりと垂らしながら。

 さすがカエルですね!


 ふいにインターフォンが鳴った。最下層に来客らしい。


 自分でも何を思ったか、僕は《自爆セルフプレイ》してからバルバロさんの死体の中に完全再生した。

 バルバロさんは僕より一回り大きい。だから体内に入って、着ぐるみのように動かせる。巨大なカエル口に頭をねじ込んで、そこの隙間から外の様子もうかがえる。


 この最下層に、5体のモンスターが入ってきた。そのうち一体が、オリ子に似ている。

 つまり、幼女です(見た目が)。


 桜色の髪をツインテにした、その幼女が言った。


「バルバロよ。ぐったりしているが、具合でも悪いのかね?」


 うーん。ダメ元精神でいこう。できるだけ声を低くして、バルバロさんの死体の口から言った。バルバロさんが話している感じで。


「も、問題ないぞ──」


「ふむ? 貴様、そんなに女みたいな声だったか?」


 女みたいって失礼じゃない? 僕は男なんですけど。あんまり声がわりしてないね、とはよく言われるけども。


「そ、それが、喉の病気で」


「そうか。お大事にな」


「あ、ありがとう」


 ……というか、騙せてるの? 自分でやっておいて何だけど、こんなので騙せていいものなの?


「うむ? バルバロよ……額に穴が開いているぞ。しかも脳味噌がこぼれているような」


 バルバロさん的に答える。


「お、おお。見た目ほどのダメージではないのだ。カエルなので、脳味噌が少し漏れても問題ない」


「そうなのか……まてよ。そのダメージは、イコライザーの仕業だな? それでバルバロよ、イコライザーの死体はどこにあるのだ?」


 そう言って周囲を見回す幼女さん。

 まてよ。さっきのバルバロさんの話と、この幼女を含めた5体のモンスターたち。そこから導き出される結論は。


「そうか。あなたたちが【取締役会】の皆さんですね! あ」


 幼女がビックリした様子で、バルバロさんの口の中を──つまり、僕を指さす。


「な、なんだ! バルバロの中に誰か入っているのか!」


 バレてしまっては仕方ありません。バルバロさんの腹部を《地獄神ヘル・ゴッド》でぶち破ってから、外に出た。


「僕でーす!」


「あぁぁ貴様! イコライザーではないか! えーい、新しいダンジョン・マスターを殺しおって!」


「死んでしまったバルバロさんの悪口は言いたくありませんが──」


「『死んでしまった』というか、お前が殺したんだろ」


「バルバロさんはダンジョン・マスターとして、雑魚すぎでしたよ。オリ子さんだったら、僕なんかに殺されることはなかったはずです。このさいですから、オリ子をダンジョン・マスターに戻してくださいよ。

 あと幼女さん、お名前は?」


 幼女が胸を張って言う。いや胸はないんだけど。


「わしの名は、サニ子だ。よく聞け、イコライザー。貴様はこのダンジョンに不要だ。とっとと去るがよい」


「解雇理由が納得できないですよ。【四徳家】のひとつを潰したのが直接の解雇理由みたいですが──彼らはダンジョンの敵なんじゃないんですか?」


「貴様はバカか。【四徳家】が潰れたら、必然的に起こるのは日本帝国の革命だぞ。それが【無限ダンジョン】の利益になると思うのか? 我々は最上級国民と適度に距離を取っていれば良いのだ。とくに【四徳家】とは仲よくやっていれば良いのだ」


「えー、ぜんぜん納得できないですよー。というか【四徳家】さんが滅んだら、この国はもっと暮らしやすくなるような。だいたいモンスターがダンジョンの外に出られないのも、どうなんですかね」


 ララさんは地上に出ようとしただけで吐いてたし。


 サニ子さんが地団駄を踏み出した。


「とにかく解雇だ! 解雇だ! お前は解雇──」


「──ではないぞ!」


 という声とともに、オリ子が空間転移してきた。


「あ、オリ子さん。バイトはいいんですか?」


「タピオカ店はやめてきたのじゃ! もうタピオカの時代は終わりじゃ! わらわはダンジョン・マスターに返り咲くぞ、イコよ!」


「そうこなくっちゃですよ~オリ子さん~!」



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― 新着の感想 ―
[一言] 作品中の日本の倫理観なんて、戦国時代の修羅の国以下干魃全盛期並みだわな(笑)
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