12,時が動き出すよー。
御影さんを視認しているので、さっそく《一心同体》を再発動。
同時に《地獄神》のドリルビットで、僕は自分の右ひざを貫いた。
よって御影さんの右ひざにも、貫かれたのと同じダメージが発生。
「ぐぁぁ!」
御影さんは片膝をついた。だがまだ諦めていないようで、魔法の氷で全身を覆う。それこそ顔も含めての、魔氷による全身鎧だ。
「貴様、分かっているのか!? 私は【四徳家】がひとつ雲林院家の当主だ! 貴様ごときが手を出していい領域ではない! この私が消えたら、この国は船長を失うことになるのだぞ! それが分かっているのかぁ!」
「う~ん、分からんです」
御影さんの右眼にドリルビットを叩き込む。魔氷の防御など、《地獄神》の敵ではないので。
「き、ぎざまぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁああ!!!」
右眼球が弾けとんだ。
こんどは左眼球にドリルビットをねじ込む。
「や、やめろぉぉぉお!!は、はなしを聞けぇぇぇぇぇぇぇぎゃぁぁあああ!!」
左眼球も弾けとんだ。
御影さんの空っぽの眼窩を眺めて、さてどっちにしようかな、と迷う。
よし、左にしよう。
左の眼窩へと、改めてドリルビットを突っ込んだ。
こんどは脳味噌まで押し込んでいくぞー。ぐぉぉぉぉ。
「バぁぁガものぉぉがぁぁぁぁぁああああああ私は王だぁぁぁぁああ王をオウを殺ずなぁぁぁぁぁああああああああああああうううヴヴヴうヴヴヴうヴうぎぎきききぎぎきゃぁぁぁあああああああああああああ…………………………!!!!!!」
御影さんの脳味噌を壊していく。
両方の眼窩からは血の涙が流れる。
骨と血と脳漿が、耳の穴から噴き出す。
やがて雲林院御影は死に絶えた。
一息ついてポケットを漁ったら、昨夜のお弁当から剥がした値引きシールが出てきた。
せっかくなので、死体となった御影さんの額に貼り付ける。とくに深い意味はないけどね。
この半額シールを──!!
★★★
御影さんが死んだので、《時間支配》の効果も消えた。時が再び動き出す。
というわけで、美弥のもとに行った。
「お~い、美弥」
「兄貴! 雲林院御影は!?」
「さっき殺させてもらったよ。敵ながら凄い人だったなぁ」
「そう。やっぱり兄貴が殺したのね。さすが兄貴だわ!」
妹から尊敬の眼差しがきた。お兄ちゃん冥利に尽きる!
それから美弥は悔しそうに言う。
「あたしもスキル・レンタル機能とかで、いいところまで行ったんだけど」
「スキル・レンタル機能? なにそれ?」
「さぁ。《闇黒の爪》の新スキルみたいだけど──使いかたの説明がないのよね。チュートリアルとかやりなさいよね」
やはり、《闇黒の爪》は奥が深いスキルのようだね。一時的とはいえ、《時間支配》がレンタルで使えたなんて。
エレベーターが降りて来たと思ったら、ララさんだった。僕を見るなり、ホッとした様子で抱きついてきた。
「イコライザーさん! 良かった、ここにいたのね! いきなり消えたから心配しちゃった!」
僕は時間停止中に動いたので、ララさんからしてみたら消失したようなものだね。しかし別に抱きついてこなくてもいいんだけど。
美弥が舌打ちした。
「兄貴、モテるようで何よりね」
「……」
なんか怒ってる。
まぁいいか。
ララさんとは別れて、僕と美弥は地上に上がった。
すると楓さんが待っていた。
「イコライザーくん、元気そうだね。もしかして雲林院御影を──殺った?」
「殺りましたよ。ところで僕が殺せると思って手引きしたんですね、お姉さん? その割には驚いているような?」
「驚いている? まっさか~。キミならやってくれると思っていたよ、イコライザーくん!」
僕の背中をパンパン叩く楓さん。
「ちょっと急用を思い出したから、ボクは行くけどさ。またこんど、祝杯でもあげようじゃぁないか~!」
そう言い残して、楓さんは駆けていった。
何を急いでいるのだろうね。
★★★
──佐伯楓の視点──
楓は駆けながら、スマホで電話をかける。
葉島小夜はすぐに電話に出た。
〔御用でしょうか?〕
「葉島ちゃんさ、ちょっとおいでよ。これから一仕事するから、キミも協力してよ」
〔え、楓さまが仕事されるのですか?〕
「そうだよ。このボクが、汗を流して働くんだよ。そんな意外なこと? まるでボクがいつもサボっている人みたいじゃない」
〔い、いえ滅相もございません。それで何をされるのですか?〕
「うんっ、雲林院家の一族に会いに行くのさぁ」
最強のスキル保有者だった当主の御影が死んだ。
よって雲林院家を叩くのに絶好機。
「一族郎党、皆殺しだよ~♪」
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