8,土葬から伺う。
──主人公の視点──
ララさんに運んでもらって、再度の雲林院邸を目指すことになった。
しかし──序盤で大問題が。
僕たちはエレベーターで第1階層まで上がり、そこから地上に──
出ようとしたところで、ララさん吐いた。
「え? ララさんまさか毒状態だったんですか? モンスター病院で解毒剤をもらってきます?」
「ち、違うのイコライザーさん。わたし、実は──」
「実は?」
「ダンジョンの外に出たことなくて」
「はぁ」
「緊張とストレスで吐き気が、おえっ」
で、また吐き出した。
ララさんの背中をさすってあげながら、しみじみと思う。
やっぱり全滅エンドかなぁ。
★★★
──美弥の視点──
真空弾で小梨の翼を撃ち抜いた敵は、雲林院御影ではなかった。
美弥は御影の姿を見ていないが、小梨とカナは見ている。そして2人とも否定したので。ならば雲林院邸の守備隊の一人だろう。
そうやって確認できたのも、真空弾の敵が中庭に現れたから。ハゲの大男なので、美弥は〈たこ坊主〉と命名した。
この〈たこ坊主〉が連れているのが、イヌ型のモンスター(?)。
この敵の2人を、美弥たちは『土の下』から観察している。
カナの《葬送遊戯》のおかげだ。土葬されながらも、呼吸は可能。
ようは地面の下に潜り込む能力。
しかも地面の下からは、地面の上を見ることが可能。一方、向こうからこちらは視認されない。
ただし自然の土でないと潜れないそうだ。つまりコンクリートとかは無理。
「なんで〈たこ坊主〉の奴、犬型のモンスターと組んでいるのかしら?」
美弥はヒソヒソと言った。
あまり大きな音を立てると、地面の上にいる〈たこ坊主〉に聞こえてしまう。というのも、《葬送遊戯》には防音設定はないので。
早苗がヒソヒソと答える。
「あれは犬型モンスターではなくて、獣化スキルを持った最上級国民だと思うよ」
「あ、なるほど。じゃ〈猟犬野郎〉と名付けましょう」
犬型の最上級国民、つまり〈猟犬野郎〉が、いきなり地面を睨んできた。
地面ごしに美弥は目があう。
「おかしいわね。向こうからは、あたし達の姿は見えないはずなのに」
すると小梨が鋭いヒソヒソ声で言う。
「バカか。向こうは犬なんだから、聴覚も鋭いに決まってるだろ」
〈たこ坊主〉が〈猟犬野郎〉に尋ねる。
「どうした?」
〈猟犬野郎〉は犬の形態のまま、ちゃんと言葉を発した。
「何か地面の中からヒトの声がした。連中、この下に潜んでいるのかもしれん」
「なんだと?」
カナがヒソヒソの中のヒソヒソ声で言う。
「できるだけ音を立てず移動しましょう。それと敵を混乱させるため、2組に分かれたいと思います」
《葬送遊戯》のもと、美弥たちは泳ぐようにして地面内を移動する。
ちなみにあまり深く潜りすぎると、《葬送遊戯》の効力が無効化されるそうだ。だいたい深度5メートルまでだとか。
美弥は早苗と同じ組になっていた。
「美弥ちゃん。お義姉ちゃんと一緒だね♪」
(お義姉ちゃんと呼ぶくらいなら、死んだほうがマシ)
そう思う美弥だった。
★★★
──楓の視点──
執務室を覗いてみると、もぬけの空だった。
雲林院御影の姿はない。
さらに言うと、イコライザーの肉体も砕けていた。御影が破壊したのではなく、自壊したようだ。ただし《自爆》とは違う。
楓はふむふむと、仮説を立てる。
イコライザーは別の場所で完全復活に成功した。
そのため、ここで『時の牢獄』に閉じ込められていたイコライザーの肉体は、勝手に壊れたのだろう。
つまり、イコライザーの《殺しようがない》が、御影の《時間支配》を上回った?
(いやいや、まだ分からないよね~。とくにここに御影がいないのが気になるなぁ。そもそも雲林院邸の敷地内にいないっぽい?)
そこまで考えて、楓はハッとした。
御影が向かった場所が分かったのだ。
「なーるほど。【無限ダンジョン】だね」
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