表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/180

4,雲林院 御影。

 

 ──佐伯楓の視点──


 雲林院うんりんいん家は、戦前から巨万の富を築いてきた。純資産でいえば、四徳家でもトップ。

 現在、雲林院家の当主は御影みかげという男。


「お久しぶり御影くん。あいかわらず人生を無駄にしてる?」


 7か月ぶりに御影と会うことになった。楓が要請した会合だ。


 御影という男は眉目秀麗、年齢不詳。氷のような目をしていて、楓はいつも抉り出したい眼球だと思っている。


「というかさ、ボクの人肉への愛をお忘れかな?」


 御影は冷ややかに言う。


「貴様の変態食への嗜好を、なぜ私が覚えている必要がある?」


「いやいや。そこは友達の食の好みくらい覚えておこうよ。ってか、変態って酷くない?」


「私はヒマではない。用件を早く言え」


「都内の人肉専門の精肉店を摘発させているのは、お宅だよねぇ? いやね。初めは特高に影響力のある四十万しじま家かなと思ったわけだよ。けど探りを入れてみたら、キミからの要請だったという話じゃないか」


 四徳家の中では、佐伯家と良好関係にあるのが四十万家。

 だから四十万家が好んで、楓の人肉喰いを妨害したとは思えなかった。


 で、聞いてみたら案の定。


「カニバリズムという悪しき食習慣が、最上級国民の中に蔓延し始めた。これは思想的にも健康的にも悪以外のなにものでもない。ゆえに私は、四徳家の一員としてやるべきことをやったまでだ」


 楓は、御影の眼球を見続けていた。

 抉りたい抉りたい。


 しかし楓のスキルでは、御影とやり合うのは分が悪い。

 御影は時の流れを支配しているし。


「用件は以上か?」


「ふむ。キミに耳寄りな情報があるんだよ。そのネタをあげるからさ、ボクのために『オイシイ堂』くらい復活させてよ。あそこには四代目がいるからね。彼女に継いでもらいたい」


「私が知らないことで、貴様が有している情報などあるとは思えんがな」


「どうかな。【無限ダンジョン】の情報は、ボクのほうが豊富のはずだよね?」


 現在の四徳家当主で【無限ダンジョン】に入ったことがないのは、御影のみ。

 まったく興味がないらしい。


「【無限ダンジョン】のとあるモンスターが、キミを殺そうと企んでいるんだよ。そのモンスターたちの情報を提供できる。ね? ボクが有益な情報を渡すんだから、キミも譲歩してくれなきゃ」


「なぜ、貴様の言うモンスターの情報を知る必要がある? 現れたら、ただ殺せば済む話だ」


「そのモンスターは、≪原初の王(オリジン)≫のお気に入りだからね。イコライザーというんだけど。名前だけは、いま教えてあげる。とにかく≪原初の王(オリジン)≫がイコライザーに与えたスキル、これがチート級。知っておかないと、キミでも足元をすくわれるかも」


 御影はしばし考えていた。即断即決のこの男にしては珍しい。


(そこまでして、ボクから人肉を奪いたいのかコイツは~)


 御影の眼球をスープの具材にして食べたい。


「よかろう。すべてを話せ」


「『オイシイ堂』の件よろしく」


「イコライザーというのを、こちらが片付けた後だ」


「ふむ。まぁいいでしょう。じゃ交渉成立で~」


 楓としては、どっちに転んでも美味しい。


 イコライザーが雲林院御影を殺してくれるならば、四徳家の一角が滅んで『やったー』。


 イコライザーたちが殺されたら残念だけど──御影に恩を売れたのでやはり良しとなる。

 そして見返りに、『オイシイ堂』が復活するわけだ。


 ただ楓の本音としては、後者しか有りえないだろうとも思う。


 御影の《時間支配タイム・ドミネーション》スキルは、《殺しようがない(ザ・インビンシブル)》を上回る。

 イコライザーの存在だけを、永遠に時間停止できるのだから。


 それは時の牢獄といえるし、《自爆セルフプレイ》で逃れることも不可。


 よってイコライザーたちが雲林院家を滅ぼすのは無理な話だが──。


(まぁ、万が一イコライザー君が御影をっちゃったとしよう。そうしたら、大変だぁね)




気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ