6,序盤なのでテンポ良くいこう。
第656階層に戻ったところ、すでに交戦中だった。
第656階層モンスター軍vs最上級国民(冒険者)パーティ。
エレベーター付近には誰もいないけど、ダンジョンフロア全体から戦いの音が響いてくる。にしても、盛大すぎるような。
「〈灼熱の蹂躙者〉さんのパーティって、何人いるの?」
ララさんに聞いてみたところ、次のような回答。
「28~32人構成よ」
「えー。それって多すぎじゃない?」
「そう? 最上級国民たちの戦いかたって、戦争と似ているわよ。戦闘要員だけではなく、負傷した者を運びだし回復する治癒要員もいたりとか。あとMP切れを起こした者は、回復まで待機するしかないし。深い階層で攻略するには、数が多いに越したことがないんじゃない?」
「う~ん。僕のパーティのイメージって、最大でも8人までなんだけどね。よし、まずは8人まで減らそう」
「え?」
走り出しながら、《地獄神》を召喚。序盤なのでテンポ良くいこう。
本日はじめての最上級国民を発見。つまりは『第一村人発見』!
朗らかに声をかけよう。
「すいませーん、ちょっとよろしいですかぁー?」
ここで面白い現象が起きた。
第一最上級国民は、僕を見て首を傾げたのだ。
「お前さん、新入りか?」
ははぁ。あまりにパーティ人数が多すぎて、全員を把握できていないんだ。で、僕を人間と勘違いしたらしい。つまり最上級国民の仲間と。
ここで不意打ちしてもいいけど、それはモンスター美学に反する。
「違いますよー。僕はイコライザーです」
とたん、第一最上級国民さんの顔が青ざめる。
「イ、イコライザーだと! まさかそれは、葉島彰浩を殺したという!?」
あれ。もう葉島彰浩さんを仕留めたことが広まっているの?
というか、彰浩さんを殺したの僕じゃないんだけど。手柄を横取りされたといって、美弥に恨まれそう。
「とにかくイコライザーです」
名乗ったので、もういいでしょう。殺していいでしょう。
「ちくしょぉぉぉぉう! なんでこんなところにいやがるぅぅぅ!」
第一最上級国民さんが、魔法弾を連射してきた。
防御の術がない僕は、魔法弾を食らいまくって破壊される。
破壊されながらも破壊されたところを再生しながら走る。走るぞ走る。
「来るなぁぁぁぁぁ!」
「行きまーす」
「来るなってんだろうがぁぁぁぁぁあ!」
第一最上級国民さんが背中を向けて走り出した。最近、モンスターになったせいか足の速力もついた僕です。追いついて、背中に飛び掛かる。
「来ましたー」
後頭部に、ドリルビットを叩き込んで──脳味噌をかき回す。
「あぎゃぁぁぁあああああぁぁぁあ…………!!!」
ひととおり痙攣してから絶命した第一最上級国民さん。
さぁ、第二最上級国民さんを探すぞー。
あ、見つけた。
通路の先を通りかかった第二最上級国民さん。こんどは女性です。
「な、なんなの、あんた?」
と、得体の知れないものを見つけたように言うので、答えましょう。
「イコライザーです」
「イコ──? 誰よそれ?」
うーん。この人は、イコライザーをまだ知らないのか。
最上級国民サイドって、どこまで情報共有できているのだろうね。意図的に遮断されている感じもあるし。それが事実なら、楓さんあたりが工作していそうな。
まぁ、僕にはどうでもいいことだけど。
「モンスターですよー」
僕はそう答えて、第二最上級国民さんに向かって走り出す。
「雑魚モンスターの分際で、このアタシに歯向かうんじゃないよ!」
第二最上級国民さんが、風の刃を放ってきた。
切れ味抜群で、僕は胴体から真っ二つ──上半身が落ちきる前に、再生。当然、下半身は走るのをやめません。
「な、なんで! あんた、なんで死なないのよぉぉお!」
第二最上級国民さんに飛びつく。なんかハグになった。
ドリルビットを第二最上級国民さんの右眼にねじ込みながら、
「よく言われます」
「ぎゃぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ………!!!」
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