1,クラス替えの季節になりましたね。
翌日。
【無限ダンジョン】第1階層に行ったところ、スケルトンさんがフロアボスをされていた。
「あの~、すいません。ここ、僕の階層ではありませんでした?」
スケルトンさんは顎をかきながら、
「あんた知らんのかぁ? 【無限ダンジョン】で配置転換があったんだぜ」
「そうでしたか。ありがとうございます──」
そういえば早苗さんも配置換えの話をしていたっけ。
ただ、まさか第1階層から追い出されるハメになるとは。
「あの【無限ダンジョン】で配置換えって、よくあることなんですか?」
「いんや。オレがここに勤めてから、もう長いことになるがよ。配置換えはこれが初めてだな」
エレベーターで第50階層を目指したところ、途中階層でホブ雄さんも乗り込んできた。
「あ、ホブ雄さん。配置換えらしいけど、僕たちはどこの階層に異動になったんです?」
「オレは第28階層のフロアボスだ。だが、お前さんは知らんな」
「え? まさか僕たち、離散?」
「第1階層の全員が、別々の階層に配置転換となったのかは知らんが。とにかく、俺はあんたとは離れちまったらしい。イコライザー、短い時間だったが楽しかったぜ」
「僕もです」
ホブ雄さんと握手して別れた。
にしても、オリ子は何を考えているのだろう。
第50階層のサー○ィワンに向かったが、オリ子の姿はなかった。
かわりに僕のスマホにショートメッセージが来た。
よく分からないが、僕の新しいフロアボスからの連絡らしい。
あれ。もしかして僕は、フロアボスからも左遷された?
向かったのは第656階層。
随分と深いところに来たものです。
「どうも、イコライザーですが──」
ズシンズシンと重い足音を立てて、サイクロプスさんがやって来る。
体長25メートルはあるね。どうりで天井も高い階層なわけだ。
「ここのフロアボスさんですか?」
「いいや。阿修羅さまは、お前なんぞに構っている暇はねぇんだよ。だいたい、なんだその脆弱な姿は? 本当にモンスターなのかよ?」
「はい。第1階層でフロアボスしていました」
するとサイクロプスさんが大笑い。
そんな陽気な笑いにつられて、他のモンスターたちも集まってきた。
「みんな聞いてくれよ。この人間もどきは、第1階層のフロアボスだったんだとさ。雑魚モンスターどもの第1階層のな」
「第1階層が雑魚モンスターばかりだったのは、昔の話なんですけどね」
まぁ配置転換された現在は知らないけど。
少なくとも先日までは、Sランクも狩っていたわけで。
ところが、僕がその指摘をするとまた笑われた。
「てめぇみたいな人間もどきが、Sランクを狩れるわけがないだろうが!」
「えー」
第1階層の武勇伝、ダンジョン全域には広まっていなかったらしいね。
「まぁ、それはいいですよ。フロアボスの阿修羅さんに、お会いしたいんですけど?」
配属された以上は、ちゃんと仕事するけどね。まずフロアボスに挨拶くらいはしておかないと。
「何度言ったら分かるんだぁ? てめぇみたいな雑魚モンスターに、用はねぇんだよ」
サイクロプスさんが片足を上げて、何をするのかと思ったら。
僕を踏みつぶした。
モンスター同士の殺し合いはご法度なはずなのに?
これはショックな出来事だ。
サイクロプスさんの踏みつけ足から離れたところで、完全再生。
「あの~。仲間うちで暴力沙汰はやめてくださいよ」
サイクロプスさんが驚く。
「なんだ? なんで生きてやがる? あまりにチビすぎで、足の指のあいだから逃げやがったか?」
「えー、ですから話を聞いて」
「うるせぇ、雑魚が!」
また踏みつぶされた。
昔からクラス換えは苦手だったんだよねぇ。とくに友達と違うクラスになったときとか。また一から、新しい人間関係を築く難しさ。それは【無限ダンジョン】でも同じらしい。
とりあえず、サイクロプスさんの体内で完全再生した。
位置的には、腎臓のそば。
そこから《地獄神》で肉を掘り進めて、体外に出る。
皮膚を突き破って、
「話を聞いてくださーい」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
なんかサイクロプスさんが悲鳴を上げている。
気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。




