6,妹が拗ねる、世界が終わる。(お兄ちゃん主観)。
美弥が拗ねた。
「あたしを置き去りにして≪人狩りゲーム≫に参加していたなんて。兄貴は妹のことを何とも思ってないのね。どうでもいいと思ってるのよ」
先日、早苗さんと≪人狩りゲーム≫狩りデートをしていたことがバレたのだ。
なぜか?
早苗さんがカナさんに話しているのを美弥が聞いたというわけ。
「美弥、そんなことないよ。僕は妹が一番だよ」
すすり泣く美弥。
いや、これはウソ泣きなのだけど、ウソ泣きと分かっていても無視できない兄心。
「信じられないわ。兄貴もどうせ恋人のほうがいいのよ。妹よりも、エッチできる恋人のほうがいいのよ!」
そもそも早苗さんは恋人なのかな。
つまり、デート行ったら恋人確定なのか。そういう社会的ルールでもあるのか。僕は断じて認めないぞ。
まぁ別に恋人でもいいんだけどね。
「美弥。どうしたら機嫌を直してくれるの? こんどAランクが最低4人は、【無限ダンジョン】に来てくれるんだよ。愉しく狩ろうよ」
「それって仕事でしょ。妹だけのサプライズ企画じゃないじゃない。はいやり直し」
「じゃ、こんど休日にSランクを狩りに行くとか?」
「兄貴。そんなふうに妹に聞いてばかりでどうするのよ? サプライズの意味がないじゃない。あとSランクもピンからキリがあるからね。この埋め合わせをするには、並大抵のSランクじゃダメよ」
並大抵のSランクではない。
つまり、飛び抜けたSランクかぁ。
★★★
2日後。
境野さんが約束を守って、4人のAランクを第1階層に連れて来てくれた。
約束を守るなんて、大人の鑑だよね。
4人のAランクは、第1階層ということで余裕の様子だ。
境野さんの提案で、『30分で何階層まで行けるか競争しよう』ということになった。
5人が散開したので、僕はこっそりと境野さんとだけ会う。
「約束は守ったわ。私だけは助けてくれるんでしょうね?」
「境野さんだけは助けると約束しましたもんね。あれは嘘です」
境野さんの眉間にドリルビットをねじ込んで、脳を大破壊。
仲間を裏切るとは、けしからんです。
「さてと、早苗さん。他のAランクたちの足を止めないとね。第2階層に降りられたら、僕たちは追えないし」
ダンジョンで気持ちよく働きたければ、よそのフロアボスの縄張りには入らないことです。
あとAランクの4人は、01、02、03、04とナンバリングしておこう。
僕は、早苗さんの『《影同化》+《影跳躍》』で移動。
Aランクたちを一人ずつ『損壊』していった。
手順は簡単。
まず早苗さんとともに、標的のAランクさんの影へと飛び込む。
そして影から、僕の右手だけが出る。右手には《地獄神》が握られていて。
あとはAランクさんのアキレス腱を両方とも破壊するだけ。
これを4人分。
「ぎゃぁぁぁあああ!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
Aランクをまともに動けなくしたところで、僕の仕事はお終い。
あとは可愛い部下たちの出番です。
まず美弥。
Aランク01を見つけるなり、嬉々として襲いかかる。
Aランク01も抵抗したけど、最後には生きたまま首をギコギコされていた。
ちなみにギコギコとは、《闇黒の爪》でゆっーーーーーくりと切断すること。
だからスパッではなく、ギコギコ。
Aランク02を仕留めたのは、意外や意外のカナさん。
このときカナさんは、かなりお腹が減っていた。ゾンビが食べるものは何か。
もちろん、人肉。
そんなとき見つけたのが、Aランク02。
首筋からガブリと噛み千切っていたね。
Aランク03は、ホブ雄さんとその家族が餌食にしていた。
そうなのだ。ホブ雄さん、実は大家族だった。子供が58体もいる。
普段は第2階層の自宅にいるそうだ。今日は第1階層まで上がってきていて、Aランク03をリンチしていたね。
Aランク03は、58体の子供ホブゴブリンに、ひたすら棍棒で殴り殺されたわけ。痛そうだよね。
ところでAランク04はどこに行った?
「あ、知樹くん。最後のAランクさんが、【無限ダンジョン】から出ようとしているよ」
出入り口へ向かって、這っていくAランクさんを発見。
「もうお帰りですか~?」
「ひいぃぃぃ! た、助けてぇぇぇ! 誰かぁぁ! 誰か、来てくれぇぇぇぇぇ! こ、殺されるぅぅぅぅぅぅ! た、助けてぇぇぇ!! ひぃ!」
気づくと、全員が集合していた。
美弥、ホブ雄さん、カナさん(まだ空腹らしく、目がヤバい)。
「兄貴、ラストのAランクは誰が殺るの?」
「じゃ、全員で」
Aランク04さんの悲鳴は、いつまでも木霊していたね。
★★★
さてと。
美弥のサプライズ企画をどうしようかなぁ。
飛び抜けたSランクというと、僕が知る限り佐伯楓さんしか思いつかないんだけど。
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