4,「もっと余分な肉を削りましょう」。
建物を出て気づいた。
まてよ。僕は追跡スキルとかないぞ。
さて困った。
すると近くの大樹の影から、早苗さんが現れる。せっかくの私服姿を捨てて、また全裸で。
「早苗さん。また生まれたままの姿になっちゃって」
「知樹くんにしか、見せないよ。それに《影化》するには裸が必須だし。好きで裸じゃないんだよっ」
「と言いつつ、裸って落ち着くなぁ、と思っているね?」
「ぎくり。そんなことより知樹くん。最上級国民がいる場所まで案内するよ」
「ありがと、助かるよ」
早苗さんが僕の影に飛び込む。
「知樹くん。最上級国民の3人は別れちゃったんだけど。誰から狩るの?」
「親切なことに僕を両断してくれた前広さんから」
早苗さんナビのもと、僕は進んだ。とある林間に、前広さんを発見。湯川さんを強姦しているところだった。
「お取込み中、失礼しまーす」
「あぁ、なんだ?」
面倒そうに僕を見てから、前広さんはギョッとする。
「な、なんだと? クソったれ、なんで生きている?」
「死ぬ気で逃げてくださいと、言ったじゃないですか~。それなのに、こんなところで湯川さんを襲ったりして、せっかくの逃走時間を無駄にして~」
「畜生が! 近づくな、キモい奴が! 《業火刃:連弾》!」
複数の回転炎刃が出現。乱舞しながら、僕を切り刻んでいった。
首にいたっては、字義通り『首の皮一枚』でつながった状態に。
手足も切断されたので、僕はうつ伏せに倒れる。
前広さんが歩いてきて、僕の頭を踏みつけた。
「今度こそ、死んだか。ざまあみやがれ下等市民が」
新しい試みをしてみよう。
《地獄神》の召喚場所を、僕の頭蓋内にしてみた。
そして起動したドリルビットを、僕の後頭部から外に突き出させる。
僕の頭を踏んづけていた前広さんの足の裏を、ドリルビットが貫く。
「痛ぇぇ!」
足を穿たれ、倒れる前広さん。かなりの肥満体型なので、凄い音がした。
「死んでませんよー」
完全再生した僕は前広さんに飛び乗った。《地獄神》は右手に移して。
贅肉たっぷりのお腹に、ドリルビットをねじ込んでいく。
「脂肪の層を掘り進んでいきますね~」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ! や、やべろぉぉぉぉぉぉお!!」
冒険者としての防御力も、贅肉の防御も《地獄神》は貫いていく。
血まみれの肉があたりへと飛び散る。
「こんなに肉が飛び散ったら、かなり減量しちゃいますね? 健康を考えたら、体重は落としたほうがいいですもんね。お礼はいいですよ」
「いだぁぁぁぁぁぃぃぃぃぃぃよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「もっと余分な肉を削りましょう」
内臓に到達する前に、ドリルビットの方向を転進。真横へと動き、さらに贅肉を削って削る。
「あああうぎゃぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「頑張ってくださいね~。これが終わったら、健康的な体になりますよ。ぜんぶの余分な肉を、丁寧に削り取っちゃいますからね~」
ある程度ドリルビットで裂け目を作ったら、今度は両手で肉をつかんで引きちぎる。
腹部の贅肉をブチブチと取り去ってからは、胸の贅肉に移行。
「こっちの贅肉も、切除しまーす」
「も、も、もう、こ、殺して、殺して、く、ください」
「前広さん、死んじゃダメですよー。ガンバです」
「ぎゃぁぁぁああああああああああ…………………!!!!」
あらかた贅肉を削り取った。
全身からダラダラ血を流しながら、前広さんが這いずっていく。
「……た……たす……たすけ……だれ……か」
「これで『贅肉切除』の手術は終了です。前広さん、頑張りましたね。次の人間ドックでは、もう『体重を落とせ』とか言われませんよ。健康体です!」
「……た……たすけて……し、死にたく……な……」
血の跡をつけながら、這っていく前広さん。
しばらく眺めてから、僕は前へと回り込んだ。
屈みこんで、前広さんの頭頂部にドリルビットを叩き込む。
「うががががかがぁぁぁぁぁぁぁぁああ……………!!!!」
「はい、どうもです」
1人目の狩りを終了。
影から早苗さんが顔を出す。
「知樹くん。全身が返り血で血まみれだよ」
「じゃ、綺麗にしようかな」
《自爆》で、跡形もなく吹き飛ぶ。それから完全再生。
着ていた衣服もちゃんと再生されるのが、《殺しようがない》のサービス精神だよね。
「知樹くん。次はどっちを狩るの?」
「まって。次に向かう前に──《影刃》を使ってくれる?」
早苗さんの《影刃》で、前広さんの頭の皮を剥いだ。
「これで、より狩りという感じがするよね」
「知樹くんにしては、つめが甘いね。頭の皮を剥ぐなら、生きているときにだよ」
「言われてみると、そうだね。さすが早苗さん」
早苗さんは親指を立てて、
「知樹くんの恋人として、常に学んでいるからねっ!」
気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。




