2,問題:2回目のデートで《人狩りゲーム》に遭遇する確率を答えよ。電卓は使って良いものとする。
2回目のデート場所は、僕が決めることになった。
さて、どうしようか?
Dランク冒険者の頭頂部にドリルビットをねじ込みながら、僕は悩んでいた。
女の子が喜ぶデートスポットって、どんな場所だろう?
せっかくなので、美弥に聞いてみることにした。
ちなみに美弥は今日退院。さっそく冒険者を血祭りに上げている。生き生きしているなぁ。
「女の子が喜ぶデートスポット? 兄貴、バカなの? この殺し放題の【無限ダンジョン】こそが、最高のデートスポットじゃない」
聞く相手を間違えた。
カナさんにしよう。
「お勧めのデートスポットですか? わたし、水族館でペンギンを見たいです!」
誰もカナさんを誘うとは行っていない。
ホブ雄さんに聞いてみたところ、
「大自然がいいぞ」
ということでハイキングにした。
次の休日。
日帰りで行けて、あまり人のいなさそうな山地を選んだ。
「早苗さん。今日は殺しはなしで、のんびりと大自然の中を歩こうね」
「うんっ。知樹くん。お弁当、作ってきたんだ。良かったら、食べてくれる?」
「もちろんだよ。早苗さんのお弁当、楽しみだなぁ」
晴天に恵まれ、緑豊かな自然の中を歩む。心も洗われるようだ。
前方から、血まみれの男の人が走ってきたけど。
「知樹くん。前から男の人が駆けてくるよ?」
「ハイキングのマナーだとね、元気に挨拶することだね」
というわけで、僕と早苗さんは朗らかに挨拶した。
「おはようございます。いい天気ですね?」
「おはようございます。おひとりですか?」
一方、血まみれの男性は叫ぶ。
「た、頼む! 助けてくれ! こ、殺される! 殺されちまう!」
あれ、挨拶は?
この人、挨拶忘れているよ。
よく見ると、男性の背中には鎌が刺さっている。さらに鎌には、透明な鎖が繋がっていた。透明なのに視認できたのは、僕がモンスターだからかな。
あとこの人、首輪を付けられているね。
「どうされたんです?」
「人狩りだ! おれ達は、《人狩りゲーム》の獲物にされちまったんだ!」
男性は本間と名乗った。
はじまりは本間さんがネットで見つけた、高額のバイト。
バイト内容は『山地でのゴミ拾い』。少し怪しくもあったが、なんといっても日給3万円だ。家賃も滞納しているし、これを逃す手はない。
そこで応募したところ、日時と集合場所を知らされた。
今朝。その集合場所で待っていると、ワゴンが迎えに来た。他にもバイト応募者はいて、全員がワゴンに乗り込む。
しばらく走っていると、コーヒーが配られた。ありがたく飲んだが、とたん眠くなる。睡眠薬入りだったらしい。
そして目覚めると、この山地で首輪をつけられ放置されていた。
他のバイト仲間も同じ状況。スマホなど外部と連絡を取れるものは没収されていた。かわりに剣や斧などの武器が、そばに置かれてあった。
混乱していると、バイト仲間の一人の首が刎ね飛ばされる。
一般市民の本間さんにも、それが魔法攻撃だと分かった。
「どこからともなく『炎の回転刃』が飛んできたんだ。どう考えたって、魔法だろうが。それで思い出したのさ。ある噂をな」
「噂ですか?」
「最上級国民どもが、趣味でやっている《人狩りゲーム》だよ。一般市民をさらって来ては、遊びで狩るのさ。畜生。気をつけなきゃならなかったのにな」
「とにかく、ここから離れましょうか。肩を貸しますよ」
「おう悪いな」
「あ。その前に、鎌を抜きましょう」
瞬間。本間さんの背中に刺さっていた鎌、そこから伸びる透明の鎖が引っ張られる。
本間さんは物凄い勢いで、引きずられていく。
「うわぁぁぁぁぁ! 助けてくれぇぇぇぇぇ!」
そのとき、さっきの話にも出てきた『炎の回転刃』が飛来。
本間さんを胴体から両断してしまった。
「どうする、知樹くん? この山地に、最上級国民がいるようだよ? 狩っていく?」
「う~ん。早苗さん、この《人狩りゲーム》で、僕たちは部外者だよ。だからさ、ちゃんとゲームに参加してあげたいよね」
「出直すんだね? 本間さんが応募したバイトを見つけて、知樹くんも応募するつもりだね?」
「うん。定期的に開いているだろうからね、この《人狩りゲーム》とやらは」
「獲物として参加して──」
「逆に僕たちが、彼らを狩るんだよ。自分たちの獲物に狩られるんだから、最上級国民たちもビックリだよね」
その日の夕刻。
『山地でのごみ拾い』と日給3万円のキーワードから、目当てのバイトを見つける。
早苗さんと一緒に、さっそく応募。
日時と集合場所が、捨てアドに送信されてきた。
「これが3回目のデートだね。だから美弥には黙っておこう」
美弥が来たら、僕たちの獲物がなくなるし。
気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。




