3,子供を躾ける(偉い)。
ゾンビ解体工場へお邪魔するにあたって、チーム編成を決める。
「今回は、少数精鋭で行きたいと思います」
と宣言してから気づいた。
第1階層のモンスターって、もともと少数だった。
「じゃ小梨くんと美弥で」
ツンデレな小梨くん怒鳴る。
「なんで俺が行かなきゃなんねぇんだ!」
「飛行できる小梨くんって、重宝されるよね。というわけで、ちゃんと仕事しないと処分コースだよ」
「知樹くん、わたしは? わたしは連れて行ってくれるよね?」
僕の影の中から、早苗さんがズボンのすそを引っ張ってくる。
「……置いていくと言ったら、そこから出てくれるの?」
「え? 知樹くんの中から出るわけないけど?」
結局、ホブ雄さんに留守番を頼んで、第1階層ほとんど全員で行くことになった。
「ところで兄貴、ゾンビ解体工場ってどこにあるの?」
「まって、ググるから」
通称・ゾンビ解体工場。
工場とはいうけど、実際はアミューズメントパーク。
ゾンビを、敷地内で好きなだけ殺せるというもの。
客層は、最上級国民の子供たち。
ようは【無限ダンジョン】デビューがまだ早い児童たちのための、最上級国民版の【無限ダンジョン】。
ゾンビは噛まれるのさえ対策できれば、雑魚モンスターではある。狩りを教えるには最適なのかな。
ただ子供となると、ほとんどはまだ魔法も使えないはず。さすがにゾンビでも殺すのは大変では?
ふむ。公式サイトによると、どうやら銃器をレンタルできるらしい。
一般市民が持ち歩いたら銃刀法違反でも、最上級国民なら子供だって撃ち放題。
ゾンビ解体工場の運営トップは、萱野堅持という男。最上級国民のSランクだ。
次なるSランクの首は、これで決まりだね。
ゾンビ解体工場がある場所まで、小梨くんに運んでもらった。
「じゃ小梨くんは目立つから、どこかに隠れててね」
「……てめぇ、俺のことを送迎係と勘違いしてねぇだろうな?」
「誇りに思っていいよ」
ゾンビ解体工場は、ちゃんと廃工場を模していた。雰囲気が出てる。
僕たちはスタッフに化けて、工場内に侵入。
「さてと。カナさんを捜すとしようか」
工場内のイメージは、お化け屋敷。入り組んだ通路があり、銃装備の子供が進む。
そこを鎖につながれたゾンビが襲いかかるというわけ。
ゾンビが子供に危害を加えそうになったら、鎖経由で白魔法が送り込まれるようだ。白魔法はゾンビを苦しませる。
「美弥。手分けして捜そう」
「いいわよ。ところで最上級国民のガキと遭遇したら、どうするの? 殺していいの?」
「ダメ。ここで未来の冒険者を減らしたら、もったいないよ。食べごろになるまで我慢しなさい」
「仕方ないわね」
美弥と別れて、しばらく通路を進む。
すると曲がり角で、9歳くらいの少年と遭遇した。
その少年はテンション高く、僕にハンドガンの銃口を向けてくる。
「やった、ゾンビだぁぁ! ぶっ殺してやるぅぅぅぅぜぇぇぇぇ!」
「坊や、僕はスタッフだよ。ゾンビじゃないから撃っちゃダメ」
少年が発砲。
腹部を撃たれた。
「だからさ、僕はスタッフだって」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇええ!」
少年は楽しそうに撃ちまくってくる。こっちは全身に被弾。
うーん。この子供、まともな教育を受けてないな。
向こうが弾切れになったところで、完全再生する。
少年が驚いて、
「な、なんだ、おまえ! なんで死んでねぇんだよ!!」
「あのね、坊や。人の話は、ちゃんと聞かなきゃダメだよ」
少年を蹴とばして、仰向けに倒す。
その上にまたがって、少年の口をこじあける。
「いい子にしないと、こうなるんだよ~」
《地獄神》を召喚。
ドリルビットを少年の口に入れて──
奥歯を削る。
ぐぉぉぉぉ。
奥歯が砕けたので、神経まで抉っていく。
「あぎゃぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「この先も、誰かの話を無視しようと思うときがあるかもしれない。その時は、この痛みを思い出すんだよ。歯の神経を削りとられる痛みが、君を立派な大人に成長させてくれることでしょう」
「あぁぁあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!!!!!!」
白目をむいて気絶しちゃった。
僕が立ち上がると、影から早苗さんが顔を見せて。
「小さい子を躾けるなんて、さすが知樹くんだよ!」
「うん。いいことをすると、気持ちがいいものだね」
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