11,秘技:《皆殺しにしたら借金完済》の技。
あみだくじを作成したところで、それぞれ名前を入れる。
小梨くんとカナさんが辞退したがったが、却下。
あみだの結果、1番手が早苗さんとなった。
「え~と、守谷という人を攻撃すればいいんだよね? じゃ、行きまーす!」
早苗さんが《影弾》を発射。
ここで、『みんなで代わるばんこに破壊していこう』作戦の問題が露呈。
「ふざけんじゃねぇ!」
転がされていた勝好くんが、早苗さんの《影弾》を簡単に弾いてしまう。素手でだよ。
そうかぁ。弱らせてもそこはSランク。
モンスターとしては発展途上な早苗さんや小梨くんの攻撃じゃ、勝好くんの防御力は上回らないのかぁ。というか、へたに近づきすぎたら、逆に殺されそう。
「方針変更でーす。小梨くん、早苗さん、カナさん、ホブ雄さんは遠くへ避難していてくださーい。僕と美弥で、勝好くんの相手をします」
美弥が《闇黒の爪》を出しながら、舌なめずり。
「初めから、こうすれば良かったのよ」
勝好くんも最後の気力を振り絞る。足首を破壊されていながらも、立ち上がったのだ。
そしてファイティングポーズを取る。
「クソが、来やがれよぉぉ! てめぇら皆殺しにしてやるからなぁぁ! この底辺のクズどもがぁぁぁ!!!」
勝好くんの《炎槍》を回避し、美弥が《闇黒の爪》を突き立てる。勝好くんの首に。
引き抜くと大量の血液が噴き出す。
「うがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
勝好くんは血噴射器と化しながらも、燃える手で美弥に掴みかかろうとする。
美弥は臆せず進み、勝好くんの腹部を裂いた。
裂け目から、『中身』が滑り出してくる。ほかほか湯気が立っているね。
よろけた勝好くんは、自分の腸に蹴躓いた。縄跳びに絡まる感じで、転がる。
意外だったのは、そこからまたも立ち上がったこと。
「うおぁぁぁぅがかかががががかぉぉぉぉ! ごろぉぉぉぉぉぉずぅぅぅ!」
僕は歩み寄って、勝好くんの両目にドリルビットを打ち込んでみた。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!」
「わぁ、さすがSランクよね、兄貴。しぶとさもS級よ。ちょっと感動しちゃった」
美弥の感動は本物だね。涙目だもの。
けど僕も同じ気持ちだ。
首からは血が噴き出し、ハラワタを引きずっているのに。
勝好くんはまだ倒れない。凄いものを見ているなぁ。
「ぐぎゃぁぁぁぁ! 下等国民どもがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 俺ぁぁ守谷ぁぁ勝好だぁぁぁぞぉぉぉぉ!!!」
「感動したけど、さすがに飽きてきた」
勝好くんを蹴とばして倒す。そして頭頂部へドリルビット。ぐぉぉぉぉ。
「ウブブブブブブブブブブブフ!!!…………………」
ようやく絶命した勝好くんが、大の字に倒れた。
美弥が溜息をつく。
「終わっちゃったわね、兄貴。お祭りのあとみたい。寂しいわ」
「そうだね、僕も寂しい。けど明日にはまた、新しいSランクが現れてくれるんだよ」
★★★
オリ子は感慨深そうに、勝好くんの死体を眺めていた。
「うーむ。さすがイコだ。まさか本当にSランクの首を獲ってしまうとは。
しかも守谷勝好とは、〈殲滅使い〉の二つ名で通っていた冒険者だぞ。召喚獣で無双し、【無限ダンジョン】第521階層まで攻略していたはずだ。まさか第1階層でリンチされるとは、夢にも思っていなかっただろうが。愉快、愉快」
「オリ子さん。ボーナスのほう、お願いしますね」
「うむ。さっそく借金の返済にあてるがいいぞ」
「そうします」
その日、さっそく僕と美弥は借金の一部を返済することにした。
オリ子からもらったボーナスを鞄につめて、金融会社に向かう。
ところがその途中、スマホでググっていた美弥が言うわけだ。
「あれ、兄貴。パパがお金借りていた《ユメミテファイナンス》って、俗にいう闇金融みたい。暴利だとは思ったのよねぇ」
「闇金融だろうと、借りたものは返さないと。それが人として正しい在り方だよ」
「そうね、兄貴。人として正しい在り方よね」
「うん」
《ユメミテファイナンス》で大金を見せたところ、笑顔で大歓迎された。
これまでは何かと脅してきた人たちなんだけどね。僕の臓器を売りさばくとか、美弥に客を取らせるとか。やっぱりお金があると人も変わるものです。
「これからも借金返済、頑張ります!」
社長さんとは握手して別れた。
ところが帰路の途中で、ふと思い出す。
「あれ、美弥。僕たち、もう人間じゃないよ」
「あ、そうよ兄貴。あたしたち、モンスターだったんだわ」
というわけで《ユメミテファイナンス》に引き返した。
ドアをノックすると、強面の社員さんの一人が現れて、
「あぁ? なんだガキども、まだ返すカネがあったのか?」
美弥が《闇黒の爪》を一閃させて、その人の首をチョンパ。
社内にいた社員たちが唖然呆然。
そこを美弥が走りまわって、一人ずつ丁寧に切断、切断、切断、切断、切断。
「ぎゃぁぁ! なにしやがるんだぁぁ!」
「うわぁぁぁ! 助けてくれぇぇぇ!」
「化け物だぁぁぁ!」
「やめでぁぇぇぇぇママぁぁぁぁあ助けぇぇぇ!」
「お、おおおおおおおれの右手がぁ、左手がぁ、左足がぁぁぁぁぁ、もうやめでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
僕は社長さんのもとに走って行って、その体にドリルビットを打ちまくった。
「痛い痛い痛いやべ痛い死ぬ死ぬぅぅぅぅぎゃぁぁぁぁぁあああ………!!!!」
皆殺しにしたところで、さっきのお金は返してもらった。
関係者が全員お亡くなりになったので、借金は完済。
やったね!
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