表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/180

10,「足首、失礼しま~す」。

 


 守谷邸には中庭があった。

 サッカーの試合ができそうなほどに広い。


 勝好かつよしくんは、この中庭で待ち構えていた。

 僕を待っていてくれるとは、そこは好感が持てる。


「てめぇ、一体なんなんだ? なんだって俺たちに付きまとう!」


「飯山智子さんを殺すからですよ。智子さんにはミカンの恩義があったのに」


「ミカンの恩義だとぉ?」


「とはいえ、もともとSランクのお宅にお邪魔することは決定していましたからね。ある意味ではありがたかったです。初めにどのSランクを選ぶべきか、迷わずに済みましたので」


 勝好くんは頭をかきむしりだした。


「ふざけんじゃねぇぞ。さっきから訳のわからねぇことを言いやがって。

 俺たちを何だと思ってやがる? いいか、俺たちこそがこの国を動かしているんだぞ。てめぇらのような雑魚──自分たちだけじゃ、まともなことができねぇ庶民どもを、俺たち選ばれた人間が使ってやってんだ。

 だからよ、ちょっとガス抜きに殺したっていいだろうが! てめぇら掃いて捨てるほどいるんだから、何人か減ったって構わねぇだろうが!」


 長話する人だなぁ。


 勝好くんが右手を突き出すと、そこに魔法陣が現れる。


「それを何がミカンの恩義だぁぁ? てめぇいい加減にしやがれよぉぉぉぉぉ!」


 魔法陣から異形が現れた。だけどモンスターではない。


 ははぁ、あれが召喚獣か。

 一説には最上級国民が操る召喚獣とは、悪魔とか天使らしい。授業でそう習った。


 勝好くんが荒い息を吐きながらも、勝ち誇る。


「覚悟しろよ、クズが。コイツは俺様の召喚獣アドだ。てめぇをミンチにして食っちまうぜ。命乞いしてももうおせぇ。ハラワタまき散らして死にやがれぇぇぇぇぇ!」


 アドという召喚獣が突進してくる。

 うーん。悪魔と戦うのは初めてだ。


 僕が《地獄神ヘル・ゴッド》を召喚した瞬間──

 アドが大地にひざまずいた。そして人間の言葉で、


「おお、陛下!」


 陛下? 僕が? 違うな。

地獄神ヘル・ゴッド》のことかな。


 …………ああ、これ召喚獣だったの!


 僕が衝撃を覚えていると、勝好くんが怒鳴り散らす。


「アドぉぉぉ! てめぇサボってんじゃねぇぇぇ! そいつを殺せぇぇぇ! 血の契りを忘れたのかぁぁぁぁ!」


 しかしアドは動かない。《地獄神ヘル・ゴッド》はよほど高位の悪魔らしい。オリ子はどうやって、そんな悪魔を電動ドリルにしたんだろ。


 アドのそばを通り過ぎて、勝好くんのもとに向かう。


「く、くるんじゃねぇぇ!」


 勝好くんが《炎槍ファイヤ・ランス》を連射してくる。


 僕は歩きながら、炎の槍に串刺しにされていく。そのたびに完全再生するのも面倒だ。よって少しは我慢。

 5本くらい貫かれたあたりで、歩くのが大変になるので完全再生。


「ふ、ふざけるな、お、俺はSランクだぞ、こ、こんなこと、あって、たまるかぁぁぁ!」


 Sランクにしては、《炎槍ファイヤ・ランス》しか出さないのはガッカリだ。

 ただ勝好くんのジョブは、召喚士。

 最大の強みであった召喚獣アドが戦意喪失では、迫力不足なのは仕方ないか。


 ついに勝好くんの眼前へ。

 手を伸ばせば届く位置まで来た。


 苦労したなぁ。

 苦労したからこそ、歓びもひとしおだよ。


「どうも、どうも勝好くん」


 勝好くんはショックのあまり呆然。


「こ、こんなことあって、た、たまるか。こんなことが、こんな──」


「足首、失礼しま~す」


 屈みこんで、勝好くんの右足首へドリルビットを叩き込む。ぐぉぉぉぉ。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!! ふ、ふざけんじゃねぇぇぇぅぅ!」


 抵抗を見せるが、僕は構わず左足首もドリルビットで破壊。

 これでまともに歩けなくなった。


「早苗さん、よろしく~」


「は~い」


 影から早苗さんが這い出してきて、勝好くんに抱きつき、影へと引きずり込んでいく。


「や、やめろぉぉぉぉぉ……!」


 勝好くんと交代して、美弥が出てくる。今のところ早苗さんが一緒に影化できるのは、一人までだから。


「美弥、自力で脱出できる?」


「猫ちゃんの運動能力を舐めないでよ」


「じゃ、【無限ダンジョン】で」


 美弥が猫の敏捷さで走っていき、守谷邸の塀を乗り越えて行った。さすが猫娘。

 一方、上空からは小梨くんが急降下してきて、僕をつかみあげて飛びあがる。


 守谷邸を脱出したところで、まっすぐ【無限ダンジョン】第1階層へ。


 そこで勝好くんを影から引きずり出す。


「や、やめろぉぉぉぉ! 考え直せよぉぉぉ。お、俺を殺したら、【無限ダンジョン】なんか報復で潰されちまうぞ! そ、それでいいのかよぉぉぉ!」


 うるさいので、脾臓をドリルビットで破壊しておく。


「ぎゃぁぁぁぁぁああああああ!」


 そのころには、第1階層のみんながそろっていた。

 美弥、早苗さん、小梨くん。さらにカナさん、ホブ雄さん(ホブゴブリンの名前)も。


「せっかくのSランクです。そこで、みんなで代わるばんこで破壊していきたいと思いまーす」


「賛成だけど、順番はどうするの? 誰からSランクを痛めつけるのよ!」


 切り刻みたくて仕方ないという美弥。


「まぁ落ち着いて美弥。公正な方法として──あみだくじで決めるよ!」



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 守谷家は生け贄になったのだよミカンの代金としてな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ