7,リハしよう。
阿相良汰というのが、守谷勝好の取り巻きの一人だった。
というわけで、こちらは阿相家。
先ほど美弥が殺したのは、阿相家のパパ。
親の罪は子供には関係ない。一方で、子供の罪は親の責任もある。育て方が悪い。
なので殺されてしまっても、文句はないはず。
文句があっても、僕らはモンスターなので倫理的にはOK。
ちなみに肝心の阿相良汰くんは、いまは僕たちの足元に転がっている。
今夜は好調な美弥によって、両膝をスパッとやられて。
何が凄かったか、といえば。
両膝の下側が、いまだ佇立していること。切断面を天井に向けて。絵になる。
良汰くんが恐怖のあまりか、引きつけのようなものを起こし出した。
「ひ、ひひひ、ひどすぎる、お、お前たちは、き、鬼畜だぁぁあ」
違いますモンスターです。
僕は屈みこんで、良汰くんの額を指でつつく。
「よく聞いてくださいよ。飯山家を惨殺した罪は重いのです。なぜならば飯山智子さんは、僕にミカンをくれた人だったのだから。あのミカンは美味しかった」
「あ、あ、あれは、ぜ、全部、勝好が命じたんだ。お、おれはただ、し、従った、だけで」
「命令されたから仕方なく? まぁ、あなた達にも上下関係とかあるでしょうし。分かりましたよ、阿相良汰さん。あなたを許します。ただし勝好さんの居場所を教えてくださいよ。そうしたら、救急車を呼びましょう」
「か、勝好が、ど、どこにいるかって?──守谷家に決まってんだろうがぁぁぁ!」
「いや、だからどこ?」
「ググれよカスがぁぁぁ!!」
あー、ググれば出るのか有名人だし。
なぜ今まで気づかなかったんだろう。高校生3人と中学生1人いて、誰か思いつこうよ。
「兄貴。コイツさ、もう用なしよねっ!」
美弥が良汰くんの腹部を裂いて、『中身』を引きずり出し始めた。
今夜は本当に好調だね、美弥。
叫ぶ良汰くん。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! 出しゃないでぇぇぇぇぇぇ!」
うーん。まてよ、僕は良汰くんを『許す』と言ったような。
まぁいいか。
僕の影から顔を出して、早苗さんが興味深そうに言う。
「腸ってあんなに長いんだねぇ」
あと小梨くんは吐いていた。
モンスターとしての素質、ないなぁ。見た目はこんなにモンスターしているのに。小梨くんの将来が心配です。
朝陽が昇っていく。
長い夜だった。守谷家にお邪魔するのは、明日の夜になりそうだ。あぁ、もう今夜か。
玄関ドアが開いて、大学生くらいの女性が入ってきた。朝帰りか。
「ただい……」
リビングの惨状を見て言葉を失う。
《個人情報取得》で見てみよう。
最上級国民ランクB。
本名:阿相 華 22歳。
これまでの主な悪事:イジメ。
得意な魔法:《土槍》。
「兄貴、アレも殺していいの?」
「まって、美弥。最上級国民だからって、片っ端から殺すのはどうかと思うよ」
悪事がイジメだけかぁ。なら命を奪うのは気の毒かな。
ところが気づいた。『イジメ』の隣にうっすらと『殺人』とある。
なるほど。華さんが主犯となったイジメが原因で、被害者が自殺したのか。間接的には殺人だ。
「決めた。華さんで予行練習しよう。守谷勝好を拉致って【無限ダンジョン】へ連れていくにあたっての、リハーサルだよ」
ようやく華さんのショックが解けた。
「あ、あんた達、なんなのよ! ふざけんなクソっ!」
《土槍》が発動される。
文字どおり土の槍が射出。土といっても、これは硬度がある。
あっけなく、僕は胸部を刺し貫かれた。
早苗さんが影から這い出して、
「知樹くんに何するの!! 《影弾》!!」
早苗さんが影の弾丸を発射。
対して華さんが土盾でガード。
「この化け物が!」
しばらくの間、早苗さんと華さんの攻防が続いた。
その隙に僕は完全再生してから、こっそりと華さんの背後に回る。
「続きは【無限ダンジョン】で」
首筋を《地獄神》で軽く打って、華さんの動きを完全に封じた。
「これで動けなくはしたけど、さてどうしよう。小梨くんは2人は同時に運べないし」
「兄貴がリュックみたいに背負ったら? この女の余計な個所を切り取ったら、いけるんじゃない?」
「パーツを削るわけだね。じゃ、そうしよう」
美弥がテキパキと《闇黒の爪》を動かす。
最小限だけ残したところで、華さんをロープで縛って背負う。
「じゃ小梨くん、よろしく~」
小梨くんはまた吐いていた。小梨くんの将来が以下略。
その後【無限ダンジョン】に移動してから、華さんの息の根を止めた。
よし、リハは終了~。
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