表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/180

5,拷問すると心が清らかになるのよ、と女子中学生は言いました。

 


 ~主人公の視点~


 早苗さんが心配した様子で言う。


「知樹くん。美弥ちゃんを置き去りにしちゃったなんて──引き返して助けにいかないと」


 僕は腕組みして、ふーむと感じ取った。


「まった。お兄ちゃんアンテナが言うには──」


「兄妹って、そんなアンテナがあるものなの?」


「いまこのとき、美弥は生き生きと誰かを拷問している。だから、とくに助けにいかなくていいような気がするなぁ」



 ~美弥の視点~


 つい先日、美弥は《闇黒の爪(ダークマター)》の新たなバージョンを入手していた。

 そこには33の機能があり、《空間短縮(ショートカット)》もそのひとつ。


 ようは空間を飛び越えて、《闇黒の爪(ダークマター)》の一撃を食らわすことができる。ただし飛び越えられる距離は、5メートルまで。長距離攻撃できないのは残念。


 とにかく《空間短縮(ショートカット)》で、逃走に入った聖羅の手足の腱を切断した。

 おかげで聖羅が無様にこける。


「ふむ。あんた、拷問特化スキルなんか持っちゃったせいで、戦闘力はフロアボスにもなれないレベルね。神子島とかいうのは、自分の戦闘力が高いせいで、まともに戦える部下を必要としていなかったんじゃないの」


 聖羅が必死になって這っていく。そんな聖羅の背中を、美弥は踏んづけた。それから蹴とばして、仰向けにする。


「まったく、なに逃げようとしているのよ。こんどはあたしのターンだと言ったでしょ」


 涙と鼻水を垂らしながら、聖羅が懇願してきた。


「ま、まって美弥ちゃん。許して。神子島様には逆らえなかっただけで、好きで拷問していたわけじゃないんだからっ!」


「ふむ、ふむ。あたしは、実は心が清らかで優しいのよ。『ごめんなさい』と謝ってくれたら、拷問なんてしないでいてあげるわ。生きとし生きるもの全てに感謝を」


 希望の光が見えてきたので、聖羅の顔も少し明るくなる。


「ご、ごめんなさい」


 美弥は繊細な左手の小指で、聖羅の右眼を抉り出した。毎度、視神経というのは長いものねぇ、と感心するのである。


「きゃぁぁぁあ痛い痛い痛いひとさまの右眼を抉るなぁぁあ!!ってか、謝ったら許してくれるんじゃないのぉぉぉぉ!!??」


 美弥、平手打ち。


「心がね、心がこもってないの。心がこもっていたら、あたしだってこんなことはしないの。あのね、聖羅さんだっけ? まさかあなた、あたしが拷問してHAPPYになる、そんな頭ビョーキな猫娘だと思っているの? そんな女子中学生だと思っているの?」


 こくこくと聖羅がうなずくので、美弥は左耳を千切り取ってやった。


「やめてやめてやめてやめて、顔が、美しい顔の形が壊れるから、もうやめて」


「なんでそこで肯定するの。あたしが拷問好きのネジが外れたJCって、なんで肯定しちゃうの。そこは否定するところでしょ。『美弥ちゃんはイカレていません正常ですって』。そこは言うところでしょ」


「だって、あんたはぜったい、聖羅より頭おかしいしぃぃぃい!!」


 美弥がブチ切れたのは、聖羅の発言内容にではなかった。

 聖羅が自分のことを『聖羅』と言ったからである。美弥は、自分のことを『自分の名前』でいう輩が、無性に許せないのだった。


「はい、無口にな~れ!」


 聖羅の口を開かせ、舌をつまむ。ここで美弥は、舌を引きちぎるつもりだった。ところが聖羅の舌は、意味なく頑丈だった。なんだか知らないが、千切れそうで千切れない。


「舌舌舌舌ぁぁぁ舌ぁぁぁあ!!!!!!!!!」

 と絶叫する聖羅。


 しかし美弥としても、ここは汗を流しながら、聖羅の舌を引っ張っているわけである。最後は諦めて、《闇黒の爪(ダークマター)》を一閃。下あごをまるごと切断した。それから、爪で舌を切断すれば良かったのに、と素朴に思う美弥だった。


「あぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁ!!!」


 下あごを切断されても、人は叫べるものらしい。


「こうしてアホを拷問殺人すると、心が清らかになるわ。だから、あたしの心はいつまでも清らか、それは青空のごとく。ちょっと、あんた五月蠅い」


 聖羅の首をチョンパしてから、美弥は行動を開始した。


 神子島と佐伯楓の組み合わせは、強力すぎる。いくら兄貴でも辛いだろう。なんとか突破口を見つけてあげよう。


(なんて、あたしはできた妹なのかしら。きっと『素晴らしい妹を決める世界大会』とかあったら、優勝間違いなしね)


面白いと思ってくださった方、下の☆☆☆☆☆から評価や、ブクマなどしていただけますと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ