乙女ゲームみたいですが殿下、攻略やめましょうか?
こういう設定があったらすみません。
転生者王子と、過去に戻された悪役令嬢が手を組んだら面白いかな?と。
私はベルトウィルム公爵家の長女アレクサンドリア、17歳。
よくいる金髪に、ヘイゼルの瞳。
7歳からアルハザール王国のヴィクター第一王子の婚約者だった。
殿下は、プラチナに輝く綺麗な金髪、深い碧眼、成績優秀、非の打ち所の無い女の子なら誰もが憧れるような王子様。
魔力を持つ者は、貴族も平民もみんなが通う事になる学園で、二年過ごした。
殿下と一緒にはいなかったかもしれない。
私は彼を愛してはいなかった。
愛されていなかったとも思う。
それでいいと思っていたから。
彼は王になるために、私は王妃になるための教育を受けてきた。
「すまない。そなたとの婚約を解消させてはくれないだろうか。」
卒業を1週間後に控えたある日、殿下にそう告げられた。
好きな女性が出来たそうだ。
何とも思わなかったから
「殿下のお望みの通りに」
と、返事した。
そういえば、平民のエルミナさんと仲良くしてると噂に聞いた。
好きな人と添い遂げられるなら、それが一番だと思う。
王妃教育も辛かったし、私はもう少し自由になりたかった。
でも、父様には激怒され、家を追い出された。
行く宛もお金もなく、何か食べるものは無いかと森に入った所で魔獣に襲われ、呆気なく死にました。
何が無念だったのか、心残りがあったのか、気が付くと7歳に戻っていた。
朝食のテーブルで小さな手のひらを見つめボーッとしていると、父様から今日は王宮に行くと告げられた。
見覚えのある白いドレスに着替えさせられ、キレイに磨きあげられた。このドレス、綺麗で嬉しかったなぁ。また着られるのはやっぱり嬉しい。
馬車に乗り、王宮に着くと、たくさんの同じくらいの令嬢が来てた。
そうだった。王妃様のお茶会と言う名の集団でのお見合いだったんだ。
順番に挨拶して、私の番。
殿下にご挨拶すると、何だか前と違う。
「はじめまして、アレクサンドリアと申します。」
「よっ!よろしくな~」
「…」
こんな変な挨拶をする人だっただろうか?
怪訝な顔をしていると、「ちょっと外行こうか。」と右腕を掴まれ、呆然とする令嬢や、慌てる侍女、護衛の騎士を置き去りにして薔薇が咲き乱れる中庭に連れ出された。
二人きりになると
「お前さ、俺の事何か知ってるだろ。」
「恐れながら、自分の国の第一王子ヴィクター様を知らない令嬢はいないと思いますが…」
「そう言う事じゃねーよ。ヴィクター王子の事を個人的に知ってんだろ?今日は令嬢全員と初めて会ったはずだ。」
何を言ってるの?私の知ってるヴィクター王子じゃないって事?
王子をじっと見つめる。
「どうして、そう思われたのでしょうか?」
「お前の顔にこいつ誰だ?って書いてある。」
半笑いで言われた。
確かにこんな人だったっけ?とは思ったけど。
「殿下は…」
「俺は転生者だ。お前は?」
「……は?」
何言ってるの?
転生って?生まれ変わったって事?
もしかして私も同じものなのかしら?
どうしたらいいのか分からなくて、曖昧に微笑んでいると
「俺、この世界がゲームだって知ってるんだよ。悪役令嬢。」
ざわざわと不安な気持ちになる。
悪役令嬢?なんなのそれは。私の事?
「げーむ、とは何の事でしょうか?悪役令嬢とは?」
「そのまんまの意味だけど。で?お前は誰だ。」
「わたくしは殿下の婚約者でした。もちろん殿下の事も知っています。」
と、言ってしまった。
「へー、でした。か。前があるんだな。」
「……はい。17歳で死に、気が付いたら今朝でした。」
「ふーん。ヒロインがリセットしたのか?それとも俺かな。それか同時か。すでにヒロインはゲームに入ってるから、俺が引っ張り込まれたって所か。」
この人は誰なの?リセットって何だろう?言ってる事が何一つ分からない。私は慌てて
「あ、あの!あなたはヴィクター殿下では無いのですか?」
と問いかけてみると
「ああ、俺はスズキトウマだ。ニホンって所でこの世界のゲームしてた高校生だ。」
「ヴィ、ヴィクター殿下はどちらに?」
殿下は首をかしげながら、
「さぁ?それよりさ、俺らが15になる年に学園に入学するじゃん?そしたらヒロインと出会うんだけど、お前どうする?また婚約破棄されて死ぬの嫌だろう?俺らなら違うルートも可能だぜ。」
私は息を飲んだ。
読んで頂いてありがとうございました。
もっと本読んで、たくさん勉強します。