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り・くりーげりん 童話少女戦記  作者: 蒲生たかし
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第7話 三匹の子ブタは解体屋

第7話 三匹の子ブタは解体屋


ある街でブタが暴れていた。

三匹の子ブタだが、なかなかなサイズに巨大化し、既に子ブタと呼ぶのもはばかれる。


子ブタどもは人間の様に二足歩行で器用に手(前足・正確には豚足?)を使い、それぞれの獲物で暴れていた。


一匹目は藁に火を付け家に投げる、要は放火。


二匹目は丸太を振り回し家の破壊。


三匹目はレンガを投げ付けガラスを割り続けた。



迷惑した住民たちは「ハンター」にこのブタどもの駆除を依頼した。


そしてやって来たのが、ハンターであるヘンゼルとグレーテル、そして同行しているラプンツェルだった。


街に入るやすぐさま一匹目のブタと出くわした。


ブタは鼻歌を歌いながら藁に火を付けようとしていた。


「ブー♪ ブー♪ そんな家じゃ狼に食べられちゃうブー♪」


ヘンゼルが弩をブタの鼻先に押し付け言った。


「何をしている?」


「な、なんだブー!?」


「語尾にブーだなんて! な、なんてベタな!」


ラプンツェルが突っ込む。


「うるさいブー、馬鹿にするなブー! せっかく気持ちよく放火をしようとしていたのにブー」


「気持ちよく放火をするなこのブタ野郎」


「ブー! 野郎って言うなブー! おれっちを人間呼ばわりするなブー!」


「プッ。おれっち、って頭悪そう」


「ブー! また馬鹿にしたブー! そこの髪の長い女超ムカつくブー! これでもくらえブー!」


怒ったブタは火の着いた藁をラプンツェルに投げつけた。


あっさりと避けてラプンツェルが怒鳴る。


「ちょっと! 危ないじゃない!」


「うるさいブー、このブス!」


美的センスなど皆無であろうブタにブス呼ばわりされたラプンツェルが切れた。


無表情となり髪にスパイク付きの鉄球をセットし、振り回し始めた。


「ちょっと、ラプンツェル、ブタは捕まえて話を聞くって」


グレーテルの静止に聞く耳を持たず、それは終わった。


ラプンツェルのモーニングスターがブタを潰したのだ。


ブタの断末魔は「ブヒ!」だった。


「もー、これじゃ話が聞けないじゃない」


「ごめん、つい」


「まぁ、いいわ。残りの2匹から話を聞きましょう。頼むからラプンツェル、たかがブタに何を言われても切れたりしないでね」


「……はい」



街を徘徊し、音のする方へ向かうと二匹目のブタがいた。


今度は丸太を振り回し家を破壊していた。


「ブー♪ ブー♪ そんな家じゃ狼に食べられちゃうブー♪」


やっぱり鼻歌交じりだ。


ヘンゼルは弩をブタの鼻先に押し付け言った。


「何をしている」


気分よく破壊活動をしていたブタは止められ、急に切れた。


「うっせぇブー! この短足!」


豚足のブタに短足呼ばわりされ、ヘンゼルは逆ギレをし矢をブタの顔面に打ち込んだ。


ブヒ


静かな断末魔と共に二匹目のブタも倒れた。


「ちょっと! ヘンゼルまで何してるの! 話聞くって言ったでしょ」


「いや、つい」


「ついじゃないわよ! 相手はブタよ! 短足を指摘されたからって切れないでよ!」


「た、短足じゃねーし!」


「いいから、もう二人とも、もう最後の一匹だからくれぐれも慎重にね!」


二人を怒鳴りつけるグレーテル、振り向くと顔面に何か硬い物がぶつけられた。


「痛った! 何すんじゃボケェ!!」


何かを投げつけた相手に渾身のハンマーを叩きこむグレーテル。


それは、三匹目のブタだった事は、肉塊になった後に気付いた。


「あ」


傍らにはレンガが転がっていた。



その夜、飯屋の厨房を借りブタの丸焼きを三人で作り、静かな晩餐を過ごした。


「……ゴメン」


謝るグレーテル。


「いや、しょうがなかった」


「そ、そうよ、きっと次の街で情報が得られるわよ」


妖獣をしっかりとハントとし、贅沢なはずの祝勝会は、終始残念な空気だった。

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