表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
り・くりーげりん 童話少女戦記  作者: 蒲生たかし
10/13

第10話 長靴をはいたネコは斬り裂き魔

第10話 長靴をはいたネコは斬り裂き魔


悪党を斬り殺す、という事件が多発している街があった。


赤ずきんメイジー、マッチ売りの少女アンネ・マリー、親指姫サンベリーナの三人はこの噂を聞きこの街にやって来た。


街の雰囲気は悪く、澱んだ空気が流れていた。


「元凶に近い」


メイジーが口を開いた。


「いやー、これマジヤバいっしょ。なんか気分悪くなってきたし」


「早く倒さないといけませんね」


キャー!


路地裏から悲鳴が聞こえた。


行ってみると、女性が数人の荒くれ者に襲われていた。


「やれやれ」


メイジーは刀に手をかけ進んだ。


何者かが荒くれ者どもの近くに飛び降りたかと思ったら、その男どもは全身から血を流し倒れた。


「天誅ニャリ」


男たちを切り裂いたのは長靴をはいたネコだった。


惨劇を目の当たりにし、襲われていた女性は走り去った。


「あんたが噂の斬り裂き魔ね」


「斬り裂き魔? 何のことニャ。我は悪党を成敗しているだけだがニャ」


「悪党だろうと、全てをその場で殺していい道理ではない。法の裁きを受けさせる必要がある」


「法? そんなもの、人が勝手に定めたもの、動物のオレにゃ関係ないニャ」


「確かに! その通りっす! このニャンコ頭が回るッスね!」


アンネ・マリーがうなずづく。


「いやいやだめですって! たとえ猫様であろうと、直ぐ殺してしまうのは問題だと思います」


アンネ・マリーの胸ポケットの親指姫サンベリーナが諭す。


「とにかく、あんたを野放しにすることはできない」


メイジーは刀を抜いた。


「ほう、我とやろうというのかニャ」


ネコも剣を正面に構えた。


剣と剣が交わる音が鳴る。


「お主、やるニャ」


「あんたも、獣の割にはね」



戦いはやがてメイジーに有利に流れた。


速いとはいえ、何度も見れば目は慣れる。くわえネコと人とのリーチの差を活かし、体術でダメージを蓄積したいった。


そして決着の時が来た。


メイジーが刀を振り上げ、ネコの剣が宙を舞った。


「ここまでね」


刀をネコの首に落としメイジーが言った。


「フ、煮るなり焼くなる好きにするニャ」


「生憎と猫を食べる習慣は無い。その代わり聞きたいことがある」


「なんだニャ」


「世界に邪気をばらまいているカエルの事を知らないか」


「もっと具体的な情報はないのかニャ」


「元々は王子だったらしい、魔女に呪いをかけられたカエルになったそうだ。呪いが解けないカエルは世界にも自分と同じ不幸を願い、そして世界に邪気が漏れ出した」


「ひょっとしたら、オレに殺人衝動を与えているのがそいつかもしれないニャ」


「場所は分かる?」


「いや、だが方向は分かる、ここより北の方ニャ」


「貴方も一緒にそのカエルさんを退治しに行きませんか?」


サンベリーナが聞いた。


「我を殺さないのかニャ」


「貴方は悪人しか相手にしなかったと聞いています。そして殺してしまうのもそのカエルさんが原因です。ならば貴方は全面的には悪くはないと思います。あ、あのあくまでも私の私見ではありますが」


サンベリーナは二人の顔を伺いながら伝えた。


「許してくれるのかニャ」


「許す、許さないはとりあえずおいておくってことだ」


メイジーは刀を鞘におさめた。


「分かったニャ」


すると、猫は跳ね木上に登った。


「一緒にいると、いつお主たちを襲ってしまうかわからないニャ。我は単身、そのカエルを狩りに行く」


そうしてネコは姿を消した。



「とにかく、次に行く方向は決まった」


「そうですよね、あの猫様もほっておけないですし」


「サッサとカエルやらないと、気分悪くてマジやばいっしょ」


こうして一向は北へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ