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家族か…


私は自室でよくわからない問題を解きながら放課後に麻代から聞いた話を思い返す


『2日前、土曜日に家族が、飼っていた猫が事故で死んじゃったんだ』


長ったらしく、涙を少しだけこぼしながら麻代の語った内容はこのたった一文で説明できる


最初は家族が死んだと聞かされ度肝を抜かれたが、そのすぐ後にその死んだ家族が猫と聞かされ拍子抜けした


なんだ、猫か。と


その時はそんなことで泣きやがって、驚かせやがってと悪態を胸の内でついてはいたが、こうして家でふと考えてみるとあの時の私は最悪ではないだろうか?


生きとし生けるもの全て平等であるとまでは言わないが、麻代の飼っていた猫は確かに麻代の家族である


家族が死んだら泣くのは当たり前だろうし、私だったら今日の学校を休むだろう


ならば、あの時の私のそっけない『それは残念だったね』という言葉は少々適切ではなかったのかもしれない


私の中にある冷めた思いに少し驚く


それこそ、あのあと事情を盗み聞きしていたクラスメイトの一人が『花を添えに今から皆で事故現場に行こう』という言葉は、私と違ってしっかり麻代の事を考えての言葉だったのかもしれない


当の麻代も一瞬その言葉にあっけにとられていたが、すぐに笑顔をうかべありがとうと言っていたしな


そのあとは、クラスメイトのほとんどが花屋に行こうとかお金は俺達が出すとか、何でお前らそんなにかいがいしくしてるのに麻代に声掛けなかったんだよとキレたくなるようなふるまいをしだした


勿論、私も一緒に行かないかと誘われたが、私がその死んだ猫なら見知らぬ人間どもが大挙して押し寄せてきても嫌なだけだから断った


決して団体行動が出来ないとかそういうやつじゃない


なので3時間後の私はこうしてテスト勉強にいそしんでいるわけだが、どうにも気になる


…事故現場は歩いて30分かからない所だったな


「…行くか」


猫だからと命を軽くみた考えを償うというわけではないが、無事天の国に逝けるように拝むくらいはしてやるか


…私は冷めた人間じゃないからな


シャーペンを置き立ち上がる


家から出ると外は、太陽が沈み暗くとても寒かった




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