舞い散る花に思う心は
最初にもしかしてと思ったのは、馬車に揺られて向かった学校の正門を、正面から見た時だったと思う。
入学式に満開の桜、舞い散る花びら。
どこの日本だ……
どうして今日まで考えてもみなかったのか、昨日までの自分を力いっぱい叱りたい。
「まさかの……これ……乙女ゲーム…………か?」
つい昔の言葉遣いで呟いてしまうほど私は混乱していた。
フレイル国ジェラルダイン公爵家令嬢、リディアーネ・ジェラルダインそれが私の名前。
昔の?っと若干15歳が変な事言ってると感じたそこの貴方、良いカンをしている。
何を隠そう私は転生者だ。
頭おかしくないよ、本当におかしくないからね!
そんな目で見ないで……そりゃあこんな事言われれば、妄想癖のある危ない人だと思われるだろう。
でも残念ながら真実だ。
前世の私は、高校出て就職したばかりのOLだった。
実家通いだったから生活費も安かったし、ゲームやら漫画やら買い漁ってくらしてたよ。
広く浅くといった感じで、ジャンルもバラバラでいろんなものに手を出した。
BLも少しはかじったさ、だからカップリングはどれでも萌えれる!
でも、覚えてるのはこのあたりまでなんだよね。
ここに転生してるって事は、OLだった私は死んでるはずなんだけど。
どうやって死んだのか、細かい事は覚えてない。
正直ありがたいけれど、誰でも死んだ瞬間とか覚えてたく無いでしょう?トラウマになるよ。
思い出したのは3歳の誕生日、家族と庭でガーデンパーティ中見事に池にダイブ。
泳げないとか、溺れるとかの前に思い出した前世の記憶。
あまりの情報量にぼーっとしてたら本当に溺れかけた。
二度目の死が目の前にあったよ……
前世で読んだ転生物の小説みたいに寝込むのかな?って思ってたら、溺れて水飲み過ぎて気持ち悪くなっただけで終わった。
令嬢なのに……頭も神経も図太かったよ……うん。
まぁ思い出した時の第一声が『やった!転生チート万歳!』だったから、倒れたり熱出したりする繊細さは私には皆無だったって事だね。
本当に……令嬢なのに……
勿論喜んだだけでは終わらず、転生チートを謳歌してた。
まぁ、転生チートと言っても3歳に19歳の頭があるだけだから大した物じゃ無いけど。
五歳の時には才女と呼ばれ、周りから一目置かれる存在になっていた。
だって、この世界剣とか魔法とかあるんだよ、魔法とかあるんだよ!大事な事だから二回言った
有るとわかったら勿論覚えるでしょう、それも魔力が有るのは貴族が殆どなのだけど、有力貴族ほど強い魔力を持って生まれる傾向にある。
その中で私は公爵令嬢、勿論生まれ持った魔力も絶大だった。
今じゃとうとう全属性持ちだ。
しかし、ここに来てそんな事してる場合じゃ、無かったかも知れないとも思っている。
もっと他にやる事あったよね、フラグ回避とかフラグ回避とか。
だってここが乙女ゲームの世界なら、どう考えても公爵令嬢って悪役でしょう?
本当に昔読んだラノベのように転生してしまっているのなら、没落したり、婚約破棄されて国外追放されたり、悪くすれば何もしてないのに冤罪かけられて投獄とかも有り得るわけで……
折角魔法チートに生まれたのにそんなの嫌。
取り合えず、今の私の立場からすると第一王子の婚約者候補。
これは確実に破滅フラグだよね。
今すぐお父様通してお断りしたら、何とかなったりしないかな?
あくまで候補だし、まだ間に合うよね?
私は桜の花びらを見つめながら、早速お父様に書く手紙の内容を考えた。
連載始めてみました。
亀更新にならないように頑張りますが、遅くなったらごめんなさい……