黒い読み聞かせ⑤「白黒つかなったパンダの国会」
パンダ国会は会期末を迎え、
与野党の攻防が激しさを増していました。
焦点は、
パンダ大学の獣医学部新設を巡り、
首相官邸の関与があったのか、なかったのか、でした。
政府側のノラリクラリとした答弁に
疑惑は深まるばかりです。
きっかけは、
文科省の内部文書が公にされたことでした。
内部文書は、
白い丸「○」で箇条書きにされており、
「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などの
文言が記されていました。
この文書が本物か否か。
文科省の前事務次官は「本物だ」と証言。
「黒いものを白とは言えない」と主張しました。
一方、首相官邸は
「だれが書いたかわらない」
「怪文書のようなもの」と突っぱね続けました。
マスコミ各社の世論調査でも
「説明が不十分」「納得できない」が
大多数を占めました。
野党パンダたちは、攻勢を強めました。
「国民の期待に応え、説明責任を果たせ」
「この際、白黒はっきりさせよう」
でも、政府・与党側が
一方的に国会を閉じてしまいました。
同じころ、
上野動物園では、国民待望の
パンダの赤ちゃんが生まれました。
ピンク色だった体は、
ようやく、白黒ハッキリしてきました。
やがて、
お腹が白いことも確認されました。
「よかった。この子は政治家のように腹黒くない」
国民の期待通り、
清い心で健やかに育っていきました、とさ。
めでたし、めでたし。
(了)
んとに、白黒ハッキリさせてほしいですね。
【「黒い読み聞かせ」シリーズ】
①「虐げられたシイタケ」
②「微塵も反省しないミジンコ」
③「ブチ切れる青筋アゲハ」
④「思う壺だったウツボ」
⑤「白黒つかなかったパンダの国会」
「ホラー館」(第18話までUP済)もよろしくね。