恐怖の大魔王2007
僕は、学校帰りの途中だった。黒いランドセルは僕がまだ小学生である証だ。
いつもの帰り道 いつもと同じ頃の時間の帰宅、いつもと同じテンションで僕は歩いていた。少し行けば横には田んぼや畑が広がっている。車線も引かれていない狭めの道路を、僕は道なりにだけど真っ直ぐに歩いていた。
すると突然だ。僕の真上から、恐らく電柱の上から飛んで落ちてきたんだろう、いや飛んで『降りて』きたのか。誰かが降ってきた。
ストンと着地する。
黒い長ったらしい厚いマントを翻して、カッコつけていた。両手は腰に当てて仁王立ちだ。
「……」
僕は、一応驚いて そいつを見ていた。突然の事に頭の中の司令部がストップし、僕の動きを止めていたのだ。
「……」
僕は、相手の お腹を見た。まあまあ細い体型で白い服を着ていたんだが。堂々と墨で書いたような字で縦書きで、こう書かれていた。
恐怖の大魔王 2 0 0 7
「……」
また僕の頭の中の司令部が唖然とし、僕の動きを止めている。
恐怖の……?
いや、それより。
「今年2008年ですけど」
僕は言ってみた。
すると相手は。
「おっと間違えた」
そんな事を言って、「とうっ」という掛け声と共にジャンプして空高く何処かへ消えていった。
空には空気と夕方の始まる色が広がる。
消えたなぁ、あの人。
「去年何か事件でもあったっけ」
僕は考えた。特に何か恐怖と大魔王に関する事件があったとは聞いた事は無い。
という事は。
「何処に行ったんだろう」
僕の呟きには周囲からの誰も返事は来なかった。
《END》
【あとがき】
何を思って書いたか不明です。
ただ、はやらないという理由から危うくゴミ箱という別名の『短編集』行きになる所でありました。よかったね(そうかな?)
ご感想などあれば お気軽にどうぞです。
ありがとうございました。