たとえ君に変人だと蔑まれても ―芸術変態論を聴いて―
私はあまり自分の昔の作品を読み返す方ではありません。
大体どんな話なのかは知っているし、読み返すよりは書く方に時間を使いたいし、書けない時は他のことをするなり積読を解消するなりしたいからです。
そんな私でも、他の小説投稿サイトに作品を転載する際には、自然と自分の作品を読み返すことになります。最近書いたものはそれなりに整っているのですが、初期に書いたものは改行やら何やら手直ししなければならない箇所が結構あるからです。
自分の初期の作品を読み返して思うのは、すごく楽しそうに書いてるなぁ、ということ。
それまで自分の頭の中にしか存在しなかったキャラクターやストーリーを、キーボードを叩いて文章にし、小説という形で具現化する。今ではごく当たり前に行っている一連の手続きが、当時はとても新鮮で楽しかった。初心に返るってこういうことなんでしょうか。
今でももちろん楽しいです。楽しいからこそ続いている。ただ、少しずつ産みの苦しみを感じるようになりました。その意味では、当時ほど純粋に楽しめているとは言えないかもしれない。
私の作品を認めてくれる人ができて、なろうコンでもそこそこのところまで残る作品が書けた一方、発想にも文章力にも自分の限界が見えて来て、時々ふっと我に返る。
そんな現状で出会ったのが、ALI PROJECTの最新アルバム『芸術変態論』、その一曲目、『芸術変態論』でした。
歌詞をここに掲載するわけにはいかないので割愛しますが(ググれば出てきます)、この楽曲のおかげで、私の創作へのモチベーションは再び燃え上がりました。自分の世界を創造する喜び、産みの苦しみ、創作の本質的な滑稽さ、その全てが、この楽曲の中で作品として昇華されています。筆が止まりそうになった時、この曲を聴けば勇気をもらえる、そんな曲です。
『芸術変態論』のような狂おしい情熱を持って、これからも創作を続けていこうと思います。




